《解 説》
一 本件は、職業病罹患を原因とする損害賠償請求事件であるいわゆる日鉄鉱業松尾採石所じん肺訴訟である。
Xらは、Y1(日鉄鉱業株式会社)の松尾採石所においてY1との間の請負契約に基づいて坑道掘進等の作業をしていたY2(合名会社菅原工業)に雇用され、昭和四一、四二年ころから右作業...
《解 説》
一 昭和五四年九月、鹿児島県の屋久島地方に台風一六号が接近襲来したが、その際、多量の降雨による山地崩壊により土石流が発生し、これが土面川と永田川に流れ込んだことにより河川が溢水し、民家一二棟が流出又は全壊するなどの災害(以下「本件災害」という。)が発生した。
そこで、本件災害...
《解 説》
一 X1とX2の子A、Bは、平成元年五月当時、佐賀県神埼郡神埼町に居住していたが、同月二八日午後、友人らとともに近くの馬場川排水機場に赴き、門扉を乗り越え、フェンスの隙間を通り抜けて導入路に入り、アメンボ狩り等をして遊んでいたところ、Bが斜面を滑り落ちて沈砂池にはまり、これを助...
《解 説》
一 X1、X2は、いずれも京都市内のタクシー会社であるが、両会社のタクシー運転手三名が、昭和五二年から昭和五九年にかけてタクシー運転手として業務に従事中に追突事故にあい、むち打症として労災認定を受けて災害補償給付を受けたため、事業主として多額の保険料を徴収されることになった。
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《解 説》
一 Yの有する発明に対して、Xが無効審判を請求したところ、特許庁は本件明細書の特許請求の範囲の記載等が不備であるとの理由で本件特許を無効とする旨の審決(一次審決)をした。Yは右審決の取消訴訟を提起し、訴訟係属中に、本件明細書の特許請求の範囲の記載等の訂正を、特許請求の範囲の減縮...
《解 説》
一 XはAに本件土地を賃貸し、Aは本件土地上に本件建物を所有していた。本件賃貸借契約には、賃借人が本件土地の賃借権を譲渡または転貸し、もしくは賃借権を担保に供し、賃借地上の建物を第三者に譲渡するときは、事前に賃貸人の書面による承諾を得ること、などの特約があった。Aは死亡し、相続...
《解 説》
一 X(原告)は、持ち帰り弁当等の加工販売店経営の総合指導およびそのチェーン店の総合指導を目的とする株式会社であるが、Y1、Y2(被告ら)との間で、次のような内容の本家かまどやチェーン店加盟契約を各々締結した。(a)Xは、加盟店に対し、本家かまどやの登録商標等の通常使用権を許諾...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年六月当時、東京都下大島町役場の職員であったが、同月二日の深夜、Y1~Y4の少年四名がバイク二台に分乗し、騒音を発しながら町内を走行していたので、「騒音がうるさい」などと注意したところ、バイクから降りてきたY1、Y2が、これに腹を立てて殴る蹴るなどの暴行を加...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年一〇月当時、下着関係の訪問販売会社の会長をしていたというのであるが、同月三一日、知り合いの運転する普通乗用車に同乗して倉敷市内を走行中、普通貨物自動車と側面衝突して腰部、陰部打撲等の傷害を負い、九六日間の入院治療を受けたと主張して、保険会社Y1~Y14に対し...
《解 説》
一 本件の事案は、次のとおりである。①倉庫営業者であるY(被告・被控訴人)の従業員(営業所長)であるAは、Bの依頼に基づき物品(本件物品)をYの倉庫に保管し、その後本件物品をBに返還したが、それにもかかわらず、Bの依頼に応じ、Yが右倉庫に本件物品を保管した旨の内容虚偽の預かり書...
《解 説》
本件は、覚せい剤を注射して使用した被告人が、帰宅途中に気分が悪くなりサウナで覚せい剤を抜こうと考えてホテルに行きそのホテルで異常な言動に及んだことから、ホテルの従業員の通報で駆けつけた警察官によってとり押さえられて警察署に連行され、そこで尿を任意提出して緊急逮捕されたという覚せ...
《解 説》
一 本件は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下、暴力団対策法という)による暴力団指定手続で行う同法五条一、二項の聴聞終結、差置送達を行政処分にあたるとして、暴力団対策法が違憲、違法による処分の取消ないし無効確認を請求した事件である。
二 暴力団対策法二条は、そ...
《解 説》
Xら六名はY1生産森林組合の臨時組合総会の決議について、不存在確認、無効確認、取消しの各選択的請求及びY2ら一八名がY1組合の組合員でないことの確認請求の各訴えを提起した。本訴の最大の争点は、Y2ら一八名がY1組合の組合員資格(Y1組合の地区内に住所を有する個人で、林業を行うも...
《解 説》
一1 Xは昭和六二年一〇月甲・乙に対し七〇〇〇万円を貸し付け、その担保のため本件建物を含む乙ら所有の不動産について譲渡担保契約を結び、同六三年四月Xと甲・乙間で本件建物を含む不動産の所有権をXに確定的に移転し、清算金六五〇〇万円を支払う旨を合意した。Yは本件建物を占有しているか...
《解 説》
一1 本決定は、競売建物の占有者を相手方として、建物退去を命ずる売却のための保全処分(①事件)及び執行官保管を命ずる売却のための保全処分(②事件)が認められた事例である。
2 本件建物は、不動産業者である債務者兼所有者会社の所有する、分譲用の高級一戸建新築住宅六棟のうちの一...
《解 説》
一 Xは、第三者の建造物侵入未遂事件について捜索差押許可状に基づき自宅の捜索差押処分がされたことに関して、Y(国)に対し捜索差押許可状を発付した裁判官の行為について、Yら(東京都及び行為者である警察官三名)に対し捜索差押許可状の請求、捜索差押に至る過程でのXに対する取調べ、尾行...
《解 説》
一 本件で、更正の対象となった判決(本件判決)は、X①ないしX④らが、Xらの各所有地と国有里道との境界が本件判決の別紙図面表示のaないしjの各点を順次直線で結んだ線であると主張し、その境界線(本件境界線)を前提としてYに対しXらの各所有地のうち係争部分についての所有権確認、Y所...
《解 説》
本件は、XがYに対し、土地を時効取得したとして、所有権移転登記を求めた事件である。すなわち、Yから土地を賃借していたAが、昭和三三年一月二七日に死亡し、Aを相続したBが土地を耕作していた。その後、Bは土地をXの父Cに対し売却し、Cの死亡後、Xが相続し、昭和五三年一月二七日に土地...
《解 説》
本件は、逆飛込み(両腕を頭の先へ伸ばし、耳を挾むようにしてそろえ、頭から先に水に入り、水中に手が入ると同時に指先を反らす飛込み)の授業中に中学三年の生徒がプールの底に頭部を打ちつけて負傷した事故につき、生徒及び両親が損害賠償を請求した事案である。一審は、担当教師の過失を否定した...