《解 説》
Xは、生命保険の募集等を業とするYの従業員であり、その従業員の一部で結成されたA組合の執行委員長として昭和四八年以降、組合活動に有給で専従していた者である。Yは、同五九年にA組合等との間で労働協約を締結し、組合専従者は専従期間中、無給休職とすることと定め、さらに同六一年九月に九...
《解 説》
一 必要な範囲で本件の事案を簡略に説明すると、Xは本件土地の大部分(甲部分)を不動産貸付けの事業(土地を賃貸していた)に供し、残りの部分(乙部分)を無償で五男の居住の用に供していた、Xはいわゆる等価交換方式によりビルを建築することとし、まず、甲部分の借地権を借地人から取得したう...
《解 説》
一 Xは、平成元年二月当時、設計事務所の事務員として勤務していた女性であるが、同月四日午後、JR荻窪駅南口の地下一階に通ずる階段を降りかけたところ、後方より駆け降りてきた小学生Y1に激突され、階段下まで転落して、肋骨亀裂骨折等の傷害を負い、通院加療を余儀なくされた。
そこで、...
《解 説》
一 Xは弁護士であるが、昭和六一年五月一日、公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕され、代用監獄である愛知県警本部留置場に勾留中の被疑者の弁護人となるべく、勾留場所に赴き接見を申入れたところ、県警係官は、被疑者については接見禁止決定があり、検察官から一般的指定書の送付を受けているので、...
《解 説》
原告は、昭和五八年五月一〇日、開業歯科医師である被告との間で、欠損歯部(前歯右上一番)についてブリッジ(架工義歯)補綴治療を受ける旨診療契約を締結し、被告からセラミック前装鋳造冠ブリッジの補綴を受けたが、その後、二年目、四年目の二回にわたって同ブリッジが脱離し、改めてブリッジ補...
《解 説》
本件は、共有持分の移転請求権仮登記権者に対して増価競売を求める事件である。
申立債権者は、共有持分の移転請求権仮登記権者に対して抵当権実行通知をしたところ、仮登記権利者から滌除の通知があったので、裁判所に対して、増価競売の申立てをした。仮登記権利者が申立債権者に対して、滌除の...
《解 説》
本件建物は、一階、二階とも二部屋で一階に共用の炊事場、便所があるアパートで、Xはそのうち、一階の二部屋と二階の一部屋を以前から賃借していた。Yは平成二年五月本件建物の所有権を取得し、Xが賃借していない残りの一部屋を改造して定員八ないし一〇名のもっぱら外国人労働者、旅行者向けの簡...
《解 説》
本件は、競技ダンス技術の向上・ボールルームダンスの普及発展等を目的とする権利能力なき社団であるYの会員資格の停止処分を受けたXが理事会決議の無効確認を求めたケースである。この処分の理由は、XがYの理事選挙が不公正であったかの如くY及び会員を中傷誹謗してその面目を毀損したばかりか...
《解 説》
本件は、貸金業者から貸金債権を譲り受けた原告より、借主(被告)に対する単純なる譲受債権(貸金債権)請求の事案である。
論点は、弁済期に元本の弁済をしないまま、借主が貸主に対して、定期的に利息に相当する金員(損害金相当の金員ではない。)を支払い、債権者がこれを異議なく受け取って...
《解 説》
一 Xは、「荒城の月」などの作詞で著名な詩人、土井晩翠の孫であるが、昭和五八年に晩翠の所有地を公共目的のためY(仙台市)に売却したのに租税特別措置法所定の譲渡所得等の特別控除を受けられなかったのは、Yの職員の不法行為によるものであるとして、Yに対して、損害賠償を請求するとともに...
《解 説》
一 本件は、殺人罪の共謀共同正犯者中、直接実行行為に出た者については過剰防衛の成立が認められたが、共謀者である被告人については過剰防衛の成立が認められなかったという事案である。
本件の事実関係については、本決定がその理由中において、控訴審判決(東高刑時報四一巻五~八号五〇頁、...
《解 説》
一 A(申述人、抗告人)らは、被相続人の子であるが、被相続人が死亡したことをその当日(平成三年二月二一日)に知り、同年一〇月二九日相続放棄の申述の申立てをしたところ、原審が右申述を熟慮期間経過を理由に却下したため、家庭裁判所では相続放棄の申述の熟慮期間について一応審査するにとど...
《解 説》
本件は、未熟児網膜症訴訟についての最高裁判決である。本件請求は、昭和四七年九月に出生した未熟児Xが未熟児網膜症により失明したのは担当の小児科医二名及び眼科医Aの注意義務違反と病院の医療体制の不備によるものであるとして、Xら(患児及びその両親)が、同病院の経営者であるYに対して、...
《解 説》
一 Y株式会社は、Aが個人で経営していた家具販売店が法人成りして設立された同族会社であり、その資金繰りに窮したときは、Aやその長男のB、次男のXら一族で資金を提供して切り抜けてきた。そして、それらの資金提供はYの帳簿上借入金等の負債として計上されていた。その後、BはAに替わりY...
《解 説》
土地及びその地上建物の所有者が、土地と建物を共同担保として、抵当権を設定した後、旧建物を取り壊し、土地を賃貸した。そして、土地の賃借人が新建物を建築して、これに抵当権を設定した。土地と旧建物を抵当にとっていた債権者の申立てにより、土地と旧建物について競売が開始された。旧建物は、...
《解 説》
本件は、いわゆる関西水俣病訴訟において、原告患者側から、原告ら又はその被相続人ら(以下原告らという)の公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病認定手続において作成された検診録、疫学調査記録について、これを所持する熊本県知事又は鹿児島県知事に対して文書提出命令の申立をした事...