《解 説》
一 本件は、公判期日において、弁護人が、勾留中の被告人に対し弁護人が持参しているメモ用紙及び筆記用具の使用を認めること及び被告人が公判廷で作成したメモを直接弁護人に交付することを求めたのに対し、原審裁判官がこれを許さず、前者については拘置所の方で用意しているメモ用紙及び筆記用具...
《解 説》
一 本件は、いわゆる明治大学替え玉入試事件としてマスコミに大きく取り上げられた事件である。本判決で認定された犯罪事実は、明治大学の元職員や替え玉受験生らが共謀の上、同大学の入学選抜試験に際し、替え玉受験生らが志願者本人になりすまして受験し、答案を作成・提出したというものであり、...
《解 説》
一 本件訴訟は共同相続人間で、特定財産である借地権が民法九〇三条一項に定める「みなし相続財産」に属することの確認を求めるものであるところ、このような訴訟が許されるかどうかが争点になったもので、一審・二審とも、かかる訴えを不適法として却下したものである。
二 本控訴審判決は、①...
《解 説》
一 本件は旧河川法二条に基づき原告(控訴人)先代甲所有の本件土地(旧四〇五〇番・四六八七平方米)が信濃川の河川区域に認定されたが、本件土地を含む地域が昭和五〇年四月河川区域の廃止がされたのに、旧河川法四四条但書に定める下付は行なわれなかった(なお、本件土地近くの四〇四〇番の土地...
《解 説》
有罪判決には、理由として「罪となるべき事実」を示さなければならないが(刑訴三三五条一項)、傷害等の罪においては、傷害の部位、程度を明らかにしなければならず、かつ傷害の程度を表すためには、加療期間を判示するのが例であるとされている(司法研修所・六訂刑事判決書起案の手引一三〇頁)。...
《解 説》
一 本件は、両親が死亡し、配偶者も子供もおらず、長年一人で暮らしてきた明治四四年生まれの資産家の女性で、昭和六〇年一一月に脳出血で倒れて病気入院中の甲と、その兄弟姉妹(いずれも死亡)の子供、配偶者あるいは孫の乙らが、昭和六一年四月から昭和六二年一〇月にかけて養子縁組をしたのに対...
《解 説》
Xは、生命保険の募集等を業とするYの従業員であり、その従業員の一部で結成されたA組合の執行委員長として昭和四八年以降、組合活動に有給で専従していた者である。Yは、同五九年にA組合等との間で労働協約を締結し、組合専従者は専従期間中、無給休職とすることと定め、さらに同六一年九月に九...
《解 説》
一 必要な範囲で本件の事案を簡略に説明すると、Xは本件土地の大部分(甲部分)を不動産貸付けの事業(土地を賃貸していた)に供し、残りの部分(乙部分)を無償で五男の居住の用に供していた、Xはいわゆる等価交換方式によりビルを建築することとし、まず、甲部分の借地権を借地人から取得したう...
《解 説》
一 Xは、平成元年二月当時、設計事務所の事務員として勤務していた女性であるが、同月四日午後、JR荻窪駅南口の地下一階に通ずる階段を降りかけたところ、後方より駆け降りてきた小学生Y1に激突され、階段下まで転落して、肋骨亀裂骨折等の傷害を負い、通院加療を余儀なくされた。
そこで、...
《解 説》
一 Xは弁護士であるが、昭和六一年五月一日、公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕され、代用監獄である愛知県警本部留置場に勾留中の被疑者の弁護人となるべく、勾留場所に赴き接見を申入れたところ、県警係官は、被疑者については接見禁止決定があり、検察官から一般的指定書の送付を受けているので、...
《解 説》
原告は、昭和五八年五月一〇日、開業歯科医師である被告との間で、欠損歯部(前歯右上一番)についてブリッジ(架工義歯)補綴治療を受ける旨診療契約を締結し、被告からセラミック前装鋳造冠ブリッジの補綴を受けたが、その後、二年目、四年目の二回にわたって同ブリッジが脱離し、改めてブリッジ補...
《解 説》
本件は、共有持分の移転請求権仮登記権者に対して増価競売を求める事件である。
申立債権者は、共有持分の移転請求権仮登記権者に対して抵当権実行通知をしたところ、仮登記権利者から滌除の通知があったので、裁判所に対して、増価競売の申立てをした。仮登記権利者が申立債権者に対して、滌除の...
《解 説》
本件建物は、一階、二階とも二部屋で一階に共用の炊事場、便所があるアパートで、Xはそのうち、一階の二部屋と二階の一部屋を以前から賃借していた。Yは平成二年五月本件建物の所有権を取得し、Xが賃借していない残りの一部屋を改造して定員八ないし一〇名のもっぱら外国人労働者、旅行者向けの簡...
《解 説》
本件は、競技ダンス技術の向上・ボールルームダンスの普及発展等を目的とする権利能力なき社団であるYの会員資格の停止処分を受けたXが理事会決議の無効確認を求めたケースである。この処分の理由は、XがYの理事選挙が不公正であったかの如くY及び会員を中傷誹謗してその面目を毀損したばかりか...
《解 説》
本件は、貸金業者から貸金債権を譲り受けた原告より、借主(被告)に対する単純なる譲受債権(貸金債権)請求の事案である。
論点は、弁済期に元本の弁済をしないまま、借主が貸主に対して、定期的に利息に相当する金員(損害金相当の金員ではない。)を支払い、債権者がこれを異議なく受け取って...
《解 説》
一 Xは、「荒城の月」などの作詞で著名な詩人、土井晩翠の孫であるが、昭和五八年に晩翠の所有地を公共目的のためY(仙台市)に売却したのに租税特別措置法所定の譲渡所得等の特別控除を受けられなかったのは、Yの職員の不法行為によるものであるとして、Yに対して、損害賠償を請求するとともに...
《解 説》
一 本件は、殺人罪の共謀共同正犯者中、直接実行行為に出た者については過剰防衛の成立が認められたが、共謀者である被告人については過剰防衛の成立が認められなかったという事案である。
本件の事実関係については、本決定がその理由中において、控訴審判決(東高刑時報四一巻五~八号五〇頁、...