《解 説》
一 訴外Aは、昭和六三年一月当時、建設関係のビル型枠工事を主な業務とする工務店に勤務していた者であるが、同月一〇日、同僚の運転する普通貨物自動車に同乗して作業現場に向う途中、センターラインを越えて進行してきた大型貨物自動車と衝突し、脳挫傷、頭蓋骨骨折等の傷害を負った。
そして...
《解 説》
一 本件は、精神疾患で入院治療中の者が自殺したことにつき、病院の責任が争われた事例である。
訴外A(判文に年齢は現われていないが、認定事実中に「若い子」という表現がある。)は昭和五二年以降幾つかの精神病院に入院したことがあり、昭和五六年一二月以降は被告・被控訴人Yが運営する病...
《解 説》
本判決は、いわゆる「沖縄ゼネスト警察官死亡事件国家賠償請求訴訟」の差戻後の控訴審判決である。
一 重複をいとわずに同事件の内容と訴訟経過の概要を示すと、以下のとおりである(詳しくは、後記各審級における判決文を参照)。
1 昭和四六年一一月一〇日、那覇市内で「沖縄返還協定批...
《解 説》
一 本件は、いわゆるベトナム難民を偽装して日本に入国した中国人女性の原告が、その際受けた出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)による退去強制手続の適法性を争った事案である。
なお、原告は、いわゆる天安門事件に発展した中国の民主化運動に参加し、中国政府の追及を逃れる...
《解 説》
一 本件はアスピリン喘息(アスピリン等酸性解熱鎮痛剤によって発作が誘発される喘息)の患者が酸性鎮痛剤(「ボルタレン」)によるアナフィラキシー様ショックによって死亡したという事案で、原審は広島地判平2・10・9本誌七五〇号二二一頁である。
昭和五六年八月、当時四二才であったA女...
《解 説》
一 事案の概要等
1 本決定は、競売建物の所有者以外の第三者が執行妨害を目的として、競売建物に入居したことが、競売不動産の価値を著しく減少する行為に該当し、また、右第三者は所有者の占有補助者であると認定したうえで、同人を相手方とする建物退去の保全処分を認めたものである。
...
《解 説》
Xらは、資産運用に関するコンサルタント業務を行うA社との間で投資顧問委任契約を締結したが、その契約は、顧客であるXらが所定の管理費用をA社に支払い、金銭貸付とその保証を業務とするB社を通じて取引口座に運用資産を預託し、右口座による有価証券売買につきA社に委任し、その指示する株式...
《解 説》
本件は、大型ダンプカーを運転していた被告人が、渋滞の最後尾について、横断歩道をまたいで一時停車したのち、発進するに際して、横断歩行者の有無、動静に注意しなかった過失により、青信号に従って自車の直前を横断歩行中の被害者を自車に衝突させ、轢過し、死亡させた事実について、加害車両と被...
《解 説》
本件は、法定相続人のうちXら二名が共同法定相続人であるYら三名に対し、Yらは被相続人Aの遺言書を隠匿したから相続欠格事由があると主張し、YらがAの遺産につき相続権を有しないことの確認を求めた事案である。XらはYらに隠匿行為があったとする根拠として、Xら及びYらが弁護士立会いのも...
《解 説》
本件は、著名な俳優である被告人が、布袋に入れた麻薬(塩酸コカイン)約一グラムと大麻約九グラム(以下、「本件薬物」と総称する。)を着衣内に隠し持って、羽田発ホノルル行きの航空機に搭乗し、羽田空港を出発して、本件薬物を輸出したとして起訴された事案である。
公判において、被告人は、...
《解 説》
本件は、おにぎりを包装袋で包装し同包装袋を食用時に引き抜くというタイプのおにぎりについて実用新案権を有する原告が、同タイプのおにぎりに使用するための包装袋(被告製品)を製造販売していた被告に対し、被告製品で包被したおにぎりは本件考案の技術的範囲に属し、かつ、包装袋は原告の登録実...
《解 説》
Xは、平元・12・3号のサンデー毎日(Y1発行、Y2編集長)の記載中で前科があることを掲載され、プライバシーを侵害されたと主張して、Y1Y2に対して、慰謝料と「判決の結論の広告」を求めた。最大の争点は、前科の掲載の違法性の有無であった。
本判決は、要旨次のとおり判示して、請求...
《解 説》
X(国)は昭和三三年に八郎潟の干拓事業を始め、同四一年に完成させ、入植希望者に対し農林大臣が定める基本計画に従わない場合には土地取得後一〇年内に限り、Xが負担金相当額をもって買収することができるとの売買の一方の予約を付して農地を配分した。Yは昭和四四年に約九ヘクタール、同四九年...
《解 説》
一 本件の事実関係は、次のようなものである。
Yは、アメリカの多国籍企業の金融部門の中心をなす銀行であって、日本国内の二か所で営業所を有している。A社は、Yと資本系列を同じくするアメリカ法人の全額出資により設立された日本の株式会社であって、当初は営業活動をしない休眠会社であっ...
《解 説》
一 事案の概要は、以下の通りである。
昭和六三年五月一一日夜、当時四三才であったAは、吐血のためYが開設、運営する外科病院で診療を受け、翌一二日朝には吐血及び下血のため同病院に入院したが、その後Aの状態は急激に悪化して、入院から一七時間後の一三日未明に死亡した。Yは、その死因...
《解 説》
一 本件は、原告らが市長個人を被告として、被告のした市議会議員の海外出張費の支出につき、その目的地が有名な観光都市ばかりであることなどを理由に、右海外出張は行政事情視察に名を借りた観光旅行であり地方自治法第二〇四条の二に違反し、その費用分の損害が市に生じたとして、住民訴訟による...
《解 説》
一 本件は東京地判昭58・7・20訟月三〇巻二号二六一頁、判時一〇九一号三〇頁の控訴審判決(なお、原審ではXは裁判官に対して、国税犯則取締法二条に基づく許可状発布を処分としてその取消しを求めているが、これに関しては控訴されていない)である。東京国税局はA外四名に対する犯則嫌疑事...
《解 説》
一1 本件は、いわゆるロスアンジェルスの妻銃撃殺人の被疑者として逮捕状の執行を受けた段階でした新聞報道について、現在刑事訴追を受けている被疑者甲(現同殺人事件について刑事被告人・別件の殺人未遂被告事件については一審有罪判決で無罪を主張して控訴中)の、名誉毀損を理由にする損害賠償...
《解 説》
Xら夫婦は郷里の村に合計一億二〇〇〇万円を寄附した者であるが、所得税の確定申告に当たり、これを全額控除して申告した。Y税務署長は、所得税法七八条の規定に従い、寄附金額を所得金額の二五パーセントを限度とし、それから一万円を引いた額のみを控除額として更正及び過少申告加算税の賦課決定...