《解 説》
X(佐賀市消防吏員)は、昭和四四年八月消防車に乗車中の事故により、下顎骨骨折、下大腿骨骨折、歯牙欠損などの傷害を受けたところ、この傷害については公務上の災害との認定を受け、そのうち歯牙欠損については、義歯を装着するなどの治療を受け、昭和四五年四月末ころまでに治療を受け終わった(...
《解 説》
一 本件は、一三年前に心筋梗塞の既往のある患者が二回目の心筋梗塞を起こして入院中、入院後五日目に三回目の心筋梗塞を起こして死亡した事案であり、相続人らが原告となり病院と担当医師を被告として、不法行為または債務不覆行を理由に慰謝料等の支払いを求めたものである。
二 争点は多岐に...
《解 説》
本件は、裁判所の競売で土地を競落した原告が、執行官の現況調査に誤りがあったため、意図したのとは別の土地を買わされ損害を蒙ったとして、国家賠償法一条一項に基づき、国に対し損害賠償請求をした事案である。
原告は執行裁判所に備え付けられていた現況調査報告書の写しを閲覧して、廃屋が存...
《解 説》
本件は、長野県のリゾート地にある預託金会員制クラブ施設の利用権(会員権)を有するXら一五名が、このクラブを運営するY1株式会社及び会員権を媒介した百貨店Y2に対して、主位的に債務不履行、予備的に不法行為に基づいて損害賠償を請求したケースである。Xらは、Y1の債務不履行の事由とし...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、東京地判平2・3・28本誌七四三号一六〇頁、金法一二八一号二八頁の控訴審判決である。
Y(被告、控訴人)が、A(本件判決では「ユーザー」と呼んでいる。)に対して住宅資金を融資し、これについて住宅販売会社であるBが連帯保証し、さらに右連帯保証債務を被担...
《解 説》
一 外国為替公認銀行である原告は、被告から外国向為替手形を買い取ったところ、右手形は、支払人(米国の会社)が米国で破産宣告を受けており不渡りとなった。右手形には輸出手形保険が付保されていたので、原告は保険者である政府から手形金額の八〇パーセントに相当する保険金の支払いを受けたが...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Zは、本件建物において印刷業を営んでおり、本件当日、ガソリンを使用して作業をしていた。そこへ、Zと取引のあるY1信用金庫の営業員Y2が同所を訪れた。Zは右ガソリンを一升瓶に入れて作業机脇の床上に置いていたのであるが、ZとY2が右作業机...
《解 説》
(一) Xらは、もとA社の役員又は従業員であり、昭和五七年六月末日をもってA社を退社した者であるが、同五九年二月七日、A社から、四〇〇万ないし三二三五万円の金員(以下「本件金員」という。)を支給された。A社は、Xらに対し本件金員を支給した際、これらが給与(賞与)の支給に当たると...
《解 説》
判示事項一について
刑法四五条後段、五〇条の適用を遺脱した場合の判決への影響につき、名古屋高判昭31・2・28裁特三巻六号二四二頁、東京高判昭63・8・2本誌六八二号二三七頁は、特に理由を付していないがこれを消極に解している。刑法五〇条を、その文言どおり、さらに余罪につき処断...
《解 説》
一 本件は、先物取引に関して詐欺罪の成否が問題になった事案である。先物取引に関しては、昭和三〇年代後半から四〇年代半ばにかけて国内の公設市場を舞台とする不正事犯が多発した後、乱立した私設市場における詐欺事犯が急増した。そして、更に、海外先物取引をめぐる不正事犯が登場し、今後もな...
抵当証券に基づく不動産競売の申立てにおいて抵当証券に記載のない期限の利益喪失条項による弁済期の到来を他の文書で主張立証することの可否(積極)
《解 説》
一 事案の概要
申立人は、民事執行法一八一条一項一号ないし三号及び二項の法定文書(以下「法定文書」という。)として抵当証券を提出して不動産競売の申立てをし、その際、添付資料として抵当証券に記載のない失権約款の合意があり、この約款により期限の利益を喪失し弁済期が到来したことを示...
《解 説》
一 本件は、大阪―神戸間の幹線道路をめぐり、沿道住民が往来する自動車の一定量以上の騒音や排ガスの差止と損害賠償を求めていた事件で、先に本誌六一九号一三九頁に掲載された神戸地判昭61・7・17の控訴審判決である。本件の争点は多岐にわたり、差止請求の可否、一律請求、被害認定の方法、...
《解 説》
一 本件事案は、次の通りである。X1(相手方、原審申立人)、X2(抗告人、原審申立人)は、S(昭和六三年一月死亡)の生前に、Sと内縁関係にあったと主張し、Sの死亡と同時に内縁関係が解消したから、Sに対して、財産分与請求権があったとし、Sの相続人であるYら(抗告人)に対し、Sの遺...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年七月当時、Y2が設置する習志野市立第七中学校二年に在学中であったが、同月三日、給食時間に遅れたことを理由として、担任教諭Y1から床に正座させられ、その顔面を運動靴で蹴るなどの体罰を受け、通院四か月を要する歯牙脱臼、口唇裂傷等の傷害を負った。
そこで、Xは、...