《解 説》
一 本件は、先物取引に関して詐欺罪の成否が問題になった事案である。先物取引に関しては、昭和三〇年代後半から四〇年代半ばにかけて国内の公設市場を舞台とする不正事犯が多発した後、乱立した私設市場における詐欺事犯が急増した。そして、更に、海外先物取引をめぐる不正事犯が登場し、今後もな...
抵当証券に基づく不動産競売の申立てにおいて抵当証券に記載のない期限の利益喪失条項による弁済期の到来を他の文書で主張立証することの可否(積極)
《解 説》
一 事案の概要
申立人は、民事執行法一八一条一項一号ないし三号及び二項の法定文書(以下「法定文書」という。)として抵当証券を提出して不動産競売の申立てをし、その際、添付資料として抵当証券に記載のない失権約款の合意があり、この約款により期限の利益を喪失し弁済期が到来したことを示...
《解 説》
一 本件は、大阪―神戸間の幹線道路をめぐり、沿道住民が往来する自動車の一定量以上の騒音や排ガスの差止と損害賠償を求めていた事件で、先に本誌六一九号一三九頁に掲載された神戸地判昭61・7・17の控訴審判決である。本件の争点は多岐にわたり、差止請求の可否、一律請求、被害認定の方法、...
《解 説》
一 本件事案は、次の通りである。X1(相手方、原審申立人)、X2(抗告人、原審申立人)は、S(昭和六三年一月死亡)の生前に、Sと内縁関係にあったと主張し、Sの死亡と同時に内縁関係が解消したから、Sに対して、財産分与請求権があったとし、Sの相続人であるYら(抗告人)に対し、Sの遺...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年七月当時、Y2が設置する習志野市立第七中学校二年に在学中であったが、同月三日、給食時間に遅れたことを理由として、担任教諭Y1から床に正座させられ、その顔面を運動靴で蹴るなどの体罰を受け、通院四か月を要する歯牙脱臼、口唇裂傷等の傷害を負った。
そこで、Xは、...
《解 説》
建築基準法四二条一項四号は、道路法等による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のあるものとして特定行政庁が指定したものを建築基準法上の「道路」の一つとしている。Xらは同条によりされた本件道路指定には、①二年以内に事業が執行されることが客観的に不...
《解 説》
固定資産税については、昭和四八年法律第二三号による地方税法の改定により住宅用地に対する固定資産税の軽減特例制度(以下「減税特例」という。)が新設され、施行された(同法三四九条の三の二第一項)。これは、住宅用地のうちその上に存する家屋の床面積の一〇倍以下のものについては、その土地...
《解 説》
一 本件の控訴審の認定を概要すると、母(被相続人)と同居した長男(原告・被控訴人)夫妻が感情的に対立不和になったことからその依頼に基づき、他の兄弟(二男及び三男[原告・被控訴人])の了解のもとに、娘(被告・控訴人)夫妻が自己が漸く確保した環境のよい公社住宅の優先使用権を放棄して...
《解 説》
X1(個人)とX2会社とは、Yとの間で、特定の用地(所有権、借地権、借家権)買収について委任契約を締結し、所有者から売渡承諾書の差し入れを受け所有権の移転までこぎつけたが、YがAに借地権、借家権の買収を委任したためXらは買収業務の遂行ができなくなってしまった。そこで、X1X2は...
《解 説》
本件は、本誌七六三号二二五頁で紹介した札幌地判平2・12・25の控訴審判決である。Y(北海道地方労働委員会)は、ネッスル日本労働組合(A1)及びネッスル日本労働組合日高支部(A2・法人格を有する。)を申立人とし、X1(ネッスル株式会社)及びX2(日高乳業株式会社)を被申立人とす...
《解 説》
一 Xは、東京都内のマンション建設分譲業者であるが、JR清里駅付近に地上七階建のリゾートマンションを建築することを計画し、平成三年三月、山梨県に建築確認申請書を申請したが、同県が、右建築確認申請について、山梨県景観条例に定める関係機関との協議、同意を得られないとして、右申請につ...
《解 説》
一 本件は、自家用砂利船と営業砂利船との一本化に伴い、「一身限り」の制限(自家用船から営業船に転用した船については、引当資格が当該船舶所有者とその相続人に制限されていること)が付されたことに端を発し、これを撤廃しようとした全国砂利石材自家用船組合連合会(以下「全自連」という。)...
《解 説》
本件は、地方労働委員会が発した救済命令を維持した中央労働委員会の再審査命令に対する取消訴訟の控訴審判決である。
本件救済命令は、Xが自己の経営する病院のパートタイムの看護助手(ナースコンパニオン)二名を雇止めにしたことが、労働組合法七条一号及び三号の不当労働行為に該当するもの...
《解 説》
本件は、X1X2が弟のYに対して、①その占有するX1所有建物部分の明渡し及び賃料相当損害金を請求したほか、②YがX1X2の居住する建物への立入り及びX1X2ほか同居の親族に対して訪問、面接、架電などして直接交談することを強要したり、右以外の場所でつきまとってはならない旨の請求を...
《解 説》
一 本件は、ある新聞記者の著書を批判する雑誌記事に関して、右記者からする反論文掲載請求の可否等が争われた事件で、新聞でも報道された事件である。
当事者双方の主張は、判決「別紙」に詳細であるが、その要旨は概ね以下の通りである。まず原告Xは昭和五二年一二月当時朝日新聞の記者であっ...