《解  説》
 一 本件は、売却のための保全処分の申立が却下された事例である。
 本件の申立人は、更地に抵当権の設定を受け、その実行としての競売を申し立てた差押債権者である。相手方(土地の所有者兼債務者)は、隣地所有者と共同して、隣地をあわせた土地全体の上に共同ビルを建築中である。申立人は、こ...
《解  説》
 内航海運業法によれば、総トン数一〇〇トン以上又は長さ三〇メートル以上の船舶による内航運送業等を営もうとする者は、運輸大臣の許可を要し、許可を受けた内航海運業者が、事業の用に供する船舶の代替船を建造する等事業計画を変更する場合には運輸大臣の認可を要することとなっている。また、内航...
《解  説》
 一 本件は、「事案の概要」欄にも記載されている通り、麻酔薬テトカインに関する薬害訴訟である。
 昭和六二年六月、当時一五才であったAはB病院において、脊椎麻酔による虫垂炎の手術を受けたが、手術終了直後から呼吸困難、低血圧、不整脈を生じて死亡した。Aの相続人であるX1、X2(両親...
《解  説》
 一 本件は、カーポート兼バルコニーの設置及びこれに附随する工事契約につき、訪販法の適用の有無が争われた事例である。
 Xは、YとY所有建物につき改修工事請負契約をし、施工していたところ、Yは民法六四一条により契約を解除したので、Xは工事出来高相当の損害を被ったとして、その賠償を...
《解  説》
 一 外国裁判所の判決による強制執行は、わが国において執行判決を得た場合にのみ許され、執行判決を付与するには、外国裁判所の判決が確定したことが証明されること及び民事訴訟法二〇〇条各号所定の要件を満たすことが必要である(民事執行法二四条一項、三項)。本件は、アメリカ合衆国テキサス州...
《解  説》
 一 X1とX2の二男A(昭和四八年六月生)は、昭和五八年九月三〇日、学校からの帰りに友人三人と高知県吾川郡所在の仁淀川付近の導流堤(以下「本件導流堤」という。)に遊びに行き、蟻地獄状の砂穴(以下「本件砂穴」という。)に砂を落すなどして遊んでいたところ、足を滑らせて本件砂穴に落ち...
《解  説》
 一 本件は、①母Zから出奔した父Y(公示送達)に対する不貞行為、悪意の遺棄を理由とする慰藉料請求権を原告ら子供二名X1X2が母から相続したとして、また、②養育看護を受けられなかったことによるX1X2固有の慰藉料をYに対して請求した事案である。本件訴えは、Yが相続した(X1X2も...
《解  説》
 本判決は、いわゆるみなし公務員である国鉄清算事業団の幹部職員が、測量会社の社長ら三名の業者に対し、職務上の便宜をはかったなどとして積極的に金品を要求し、前後五回にわたり、現金合計三四〇万円および時価一三〇万円相当の外国製中古自動車を賄賂として収受したという事案である。収賄事犯の...
《解  説》
 一 本件は人間ドックでの癌の看過に対する医師の責任が争われた事例である。
 昭和五八年七月当時Aは五二才であったが、便秘症のためY医師が開設、運営している診療所で人間ドック検査を受けた。Yは直腸指診、次いで注腸検査を実施した結果、便通異常として便秘症に対する治療をしたが、Aは翌...
《解  説》
 一 X(原告・反訴被告)は、茅ヶ崎市東海岸に自宅を所有して居住していた者であるが、昭和六三年春ころから、自宅の建て替えを計画し、同年一〇月、茅ヶ崎市から、地上四階建の店舗兼共同住宅の建築について確認を受け、自宅の解体工事に着手したところ、近隣の住民Y(被告、反訴原告)らは、Xの...
《解  説》
 Xは、その父Aが昭和六三年一〇月四日死亡したことにより、遺産たる「第一建物」を相続取得した(Aの相続人としてはX1のほかX1の妹X2があるが、第一建物をX1が単独取得したのは、遺産分割協議によるもののようである。同建物は未登記であったが、平成元年七月一二日X1名義に所有権保存登...
《解  説》
 Y2は、Xと婚姻したものの二か月余りで別居するに至り、慰謝料及び財産分与請求権を保全するために、代理人弁護士Y1がY2に代わって銀行と支払保証委託契約を締結する方法で合計一一〇万円の担保を立てて、X所有建物、預金を仮差押えした上、離婚、慰謝料六〇〇万円、財産分与一二〇〇万円を求...
《解  説》
 Xら三名は、Yら二名が運行の用に供していた自動車に追突され、X1は通院二八七日間、X2は入院一三九日間、通院一九三日間、X3は通院一五五日間のいずれも頚椎捻挫等の傷害を負ったと主張し、合計約八〇〇万円の損害賠償を求めて提訴した。これに対しYらは、工学鑑定書等を提出し、Xらが本件...
《解  説》
 一 本件は、Y社と共同してゴルフ場開発にかかわっていたAが、Y社に対し、①主位的に、AとY社との間にはゴルフ場建設を共同事業目的とする組合契約が成立しており、右組合契約終了後の残余財産清算金として一億円、②二次的に、Y社とAとの間には委任又は準委任契約が成立しており、右に基づき...
《解  説》
 一 本件は、殺人等の罪で第一審において死刑を言渡され控訴を申立てた被告人が右控訴を取下げたのに対し、弁護人から右控訴取下の効力に関し疑義が提出されたため、裁判所が決定によりその見解を表明したものである。
 弁護人は、(1)被告人は本件控訴取下書を提出した当時、その意味を認識し理...
《解  説》
 一 近時、弁護過誤訴訟や弁護士報酬をめぐる紛争など弁護士が訴訟当事者となる訴訟類型が増加する傾向が顕著になってきている。本件も、弁護士ともとの依頼者との間に発生した紛争にまつわる損害賠償請求訴訟である。また、「裏切られ余計な裁判、弁護士に『一四〇〇万円支払え』」という見出しで新...
《解  説》
 一 本件は、全国税関労働組合(全税関)神戸支部(以下「原告組合」という。)とその組合員一四一名(以下「原告組合員」という。なお、一部の者の地位を相続人が承継している。)が、神戸税関長が原告組合員に対して組合員であることを理由に昇任、昇格、特別昇給において差別的な不利益取扱いをし...
《解  説》
 Xは強盗殺人等の罪により第一審で死刑判決の言渡しを受け、上告中の者であるが、Xが購読していた新聞及び差入れを受けた週刊誌に掲載された記事中の別の被疑者Aの顔写真について拘置所長が閲読を不許可とし、墨塗りする抹消措置を施したことを違法であると主張して、Y(国)に対し慰謝料の支払を...