《解 説》
一 本件は、原告が、米国企業のM社に対して貸し付けた金員(以下「本件貸付」という。)につき、弁護士である被告らがそれぞれ一部保証をしたとして、被告らに対して右各保証金額の支払いを請求した事案である(原告は、予備的に右貸付が無効であるとしても、被告らはM社の不当利得返還義務を保証...
《解 説》
本件は、建物の強制競売事件において、執行官が、現況調査をした際、債務者の借地権が存在するとの陳述や敷地所有者と債務者が姉弟の関係にあること等を根拠に、敷地所有者に確認しないまま、既に借地権が終了していることに気づかずに、現況調査報告書を作成し、これにより評価書、物件明細書が作成...
《解 説》
Xは、隣家Yのいくつかの窓から覗かれているのではないかという精神的な不安を感じ、また窓からの不快な騒音・臭気や排水パイプからの騒音により不快感を受けており、かつ、隣家の屋根の部分はXの土地の境界から五〇センチメートル未満しか離れていない状態であった。そこで、Xは、Yらに対して、...
《解 説》
本件は、いわゆる租税法律主義に関し、一つの視点を提供する裁判例である。税務訴訟において通常右主義を援用して、その立場を擁護するのは、課税庁側であるが、本件では、納税者側であるというのであって、その点で本件は極めて稀なケースと言えよう。本件は、天然ガス業界における税務会計が問題と...
《解 説》
本件は、京都地判平3・4・23本誌七六〇号二八四頁の控訴審判決である。
Xは、Y1の強制執行が不法行為に当たるとして損害賠償請求訴訟を提起して、勝訴し(判決確定、債務名義①)、一部弁済を受けた。ところが、Y1は、弁護士Y2を訴訟代理人として、右債務の残部とABのXに対する事前...
《解 説》
一 本件は、Yら三名(被告・被控訴人)が融資斡旋の話にかこつけてX(原告・控訴人)から金員を詐取しようとして共謀し、融資の担保となる不動産の鑑定書を作る費用に必要であると欺いて右費用名下にXから一〇〇〇万円を詐取したとして、XがYらに損害賠償を求めた事案であり、原判決はXの請求...
《解 説》
一 本件は、区分所有建物の増築の要件及び増築を実施する旨の集会決議の効力が争われた事件である。
四〇戸の専有部分からなる区分所有建物であるA棟では、専有部分の面積が狭く、増築を求める居住者の声が高まり、区分所有者の集会において、各戸当たり一室を増やすための増築工事を管理組合の...
《解 説》
本件は市であるYが施行する土地区画整理事業における仮換地指定の適否が争いとなっていた事例である。Yは土地区画整理法五二条一項・五三条一項に基づき条例で事業施行規程を定め、これを受けて土地評価基準(案)を定めた。土地評価基準(案)では、土地の評価方法として路線価方式によることとし...
《解 説》
一 Xの先代Aは、戦前の昭和一九年四月、Yらの先代Bに対し、都内新宿区下落合所在の木造瓦葺平屋建居宅(四七・一〇平方メートル)を、賃料一か月二〇円で賃貸した。
しかし、その後右建物の賃料が極めて不相当となったため、Aは、昭和五八年一〇月以降一か月五万円に増額する旨意思表示をし...
《解 説》
一 本件は、都市銀行系列の住宅融資会社X会社(原告・控訴人)から借主Y(被告・被控訴人)及び連帯保証人Z社(被告・被控訴人)に対する住宅ローン貸付金及び連帯保証責任に基づく金銭請求訴訟である(被告等補助参加人甲・乙社は連帯保証人Z社のための物上保証人)が、この住宅販売等に関連し...
《解 説》
一 本件は、肝細胞癌による患者の死亡につき、延命利益の侵害を理由とする慰謝料が認容された事例である。
訴外Aは昭和六一年当時五五才であったが、被告Yが開設する医院に十年来通院して、糖尿病、肝硬変等の治療を受けていた。Aは同年二月の肝機能検査で異常を呈し、大学病院でCT検査を受...
《解 説》
一 Aは昭和五九年当時一七歳の高校生であったが、一〇月三日夜、腹痛と発熱でYが開設、運営する病院に入院した。医師は諸検査によって急性虫垂炎と診断したが、開腹手術の結果、重症の急性腸炎と診断を改め、その後これに対する治療を行った。しかしその後もAは腹部の膨満や腹痛が続いて、同月八...
《解 説》
一 本件は、売却のための保全処分の申立が却下された事例である。
本件の申立人は、更地に抵当権の設定を受け、その実行としての競売を申し立てた差押債権者である。相手方(土地の所有者兼債務者)は、隣地所有者と共同して、隣地をあわせた土地全体の上に共同ビルを建築中である。申立人は、こ...
《解 説》
内航海運業法によれば、総トン数一〇〇トン以上又は長さ三〇メートル以上の船舶による内航運送業等を営もうとする者は、運輸大臣の許可を要し、許可を受けた内航海運業者が、事業の用に供する船舶の代替船を建造する等事業計画を変更する場合には運輸大臣の認可を要することとなっている。また、内航...
《解 説》
一 本件は、「事案の概要」欄にも記載されている通り、麻酔薬テトカインに関する薬害訴訟である。
昭和六二年六月、当時一五才であったAはB病院において、脊椎麻酔による虫垂炎の手術を受けたが、手術終了直後から呼吸困難、低血圧、不整脈を生じて死亡した。Aの相続人であるX1、X2(両親...
《解 説》
一 本件は、カーポート兼バルコニーの設置及びこれに附随する工事契約につき、訪販法の適用の有無が争われた事例である。
Xは、YとY所有建物につき改修工事請負契約をし、施工していたところ、Yは民法六四一条により契約を解除したので、Xは工事出来高相当の損害を被ったとして、その賠償を...
《解 説》
一 外国裁判所の判決による強制執行は、わが国において執行判決を得た場合にのみ許され、執行判決を付与するには、外国裁判所の判決が確定したことが証明されること及び民事訴訟法二〇〇条各号所定の要件を満たすことが必要である(民事執行法二四条一項、三項)。本件は、アメリカ合衆国テキサス州...