《解 説》
一、本件は、京都弁護士会所属のX弁護士が、警察署代用監獄に勾留中の被疑者との接見を警察官や検察官に妨害されたとして、滋賀県と国に対して国家賠償を求めた訴訟の上告審である。すなわち、X弁護士は、昭和五五年一一月一九日午前九時一五分ころ、滋賀県内の草津警察署に赴き、弁護人として同署...
《解 説》
本件は愛媛県今治市織田が浜の埋立てに関し、住民らが同市長に対し、右埋立ては公有水面埋立法四条、瀬戸内海環境保全特別措置法一三条等に違反するとして、右埋立てのための公金の支出の差止めを求めた地方自治法二四二条の二第一項一号による住民訴訟である。右訴訟において差止めの対象とされたの...
《解 説》
一 本件は、ナイトクラブを経営する被告との間で、ナイトクラブにおいてホステスとして稼働する契約(以下「本件契約」という。)を締結していた原告が、被告に対して、「給料」、「歩合」、「立替戻し」、「ホステスチャージ」と称する金員の支払を請求した事案である。
本件契約においては、被...
《解 説》
Xはタクシー乗務員であるが、昭和六三年四月一一日午前一一時三二分ころ、制限速度毎時四〇キロメートルと指定された地点において毎時六二キロメートルの速度で走行したことにより午前一一時四〇分現行犯逮捕された。Xは午後一時四五分ころ、警察署の留置場内の身体検査室において全裸で身体検査を...
《解 説》
一 X会社は、青森市に本店を置き、弘前市に支店をもつ、総合衣料、食品等の小売を業とする会社であり、補助参加人A組合は、弘前店の従業員をもって結成された労働組合である。
A組合は、Y(青森県地方労働委員会)に対し、昭和五三年度、同五四年度及び同五五年度の各賃金改定(基本給の額及...
《解 説》
和歌山県海草郡下津町において出納室長として勤務していたAが約二年間に三三五回にわたり、合計一〇億〇八二七万円余を着服横領するという事件があった。本件は、同町町民であるXら三名が当時の町長Y1、助役Y3及び収入役Y2に対し、これと同額の町への損害賠償を求めた住民訴訟である。
本...
《解 説》
刑訴法八一条による接見禁止は、被告人・被疑者を勾留してもなお、逃亡・罪証隠滅を防止し得ないと思われる場合に対処するためのものであるから、同条所定の「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」とは、勾留だけでは賄いきれない強度で具体的なものを指す。この点には、法律論として...
《解 説》
一 本件の本案訴訟は、O県の住民Xらが、O県知事であるY個人らを被告として提起した地方自治法二四二条の二第一項四号の住民訴訟である。Xらは、O県知事が大嘗祭関係儀式である主基斎田抜穂の儀に参列したY個人らに対し旅費等を支出したことについて、憲法の政教分離の規定に違反する違法な公...
《解 説》
X(弁護士)はY1~Y3を当事者とする四件の訴訟事件について訴訟代理人として訴訟追行したが、このうちの一件は61・11・25一審で敗訴したので61・12・8控訴した(本件控訴事件)。Xは61・12・6この件について相手方代理人弁護士との間で和解Aを成立させた。その後Yらは62・...
《解 説》
Xの主張によれば、XはZ保険代理店を介しY保険会社との間で、X所有の本件自動車について従前から自動車保険契約を結んでおり、二回更新をしていたところ、Xの長女Aが本件自動車を運転中原付自転車等と衝突する本件交通事故を起こしたため、右原付自転車の運転者等に対し合計約四〇〇〇万円の損...
《解 説》
Xら(夫婦)は所得税の確定申告、修正申告の後に、更正の請求をした。Yは更正の請求に対する処分をしないまま増額更正をし、その後に、更正の請求が理由のない旨の通知をした。Xらは増額更正と更正の請求が理由のない旨の通知の取り消しを求めた。
本件で紹介したいのは、更正の取り消し訴訟と...
《解 説》
本件訴訟は、行方不明になった父Yに対する子X1、X2の損害賠償請求訴訟である。その請求原因としては、①Yが他の女性と出奔して、Yの妻でXらの母でもある亡Aとの関係で不貞行為をし、悪意で遺棄したことによる亡Aの損害賠償請求権の一部をXらが相続したこと、②Xら自身がYから悪意で遺棄...
《解 説》
一、本件事案は、つぎの通りである。Y(仮処分債務者)は、(一) 平成二年六月二九日、H信用金庫から、四五〇〇万円を、利息年八・七二パーセント、損害金年一四パーセント、返済方法は、平成二年七月一〇日から完済まで、毎月一〇日限り三六万九〇四八円ずつを分割して支払う旨の約定で借受け、...
《解 説》
一 申立人は、市民グループの代表であるが、集会開催のために被申立人に対して熊本県立劇場大会議室の使用許可申請をなした。この申請について、被申立人は、これを一旦許可したが、その後、申立人らの右集会に反対する団体・個人からの抗議行動がなされるなどしたため、熊本県立劇場条例五条(知事...
《解 説》
一 Xは工務店Y1(代表者Y2)に自宅の建築を請け負わせ、完成・引渡の段階に至ったが、Xの主張によれば、右建物には、地下車庫及び採光に瑕疵(傾斜が急過ぎて乗用車の車庫乗入れができず、またそのシャッターを閉めると一階が暗くなる)があり、また建物の面積不足及び設計図不交付という債務...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
原告Xは昭和五七年四月以降、第二子出産準備のため、被告Yが運営する病院を受診しており、同年九月二四日、Y病院に入院した。二五日夜には陣痛室に入ったが、難産で、立会のS助産婦らがクリステレル娩出法(産婦の腹部を外から圧迫して、胎児の娩出を図る...
《解 説》
一 本件は、石炭採掘による地盤沈下等による損害を被ったとする各建物所有者が、九州地方鉱業協議会裁定委員会に対して石炭鉱害賠償等臨時措置法一一条の二以下の規定に基づく鉱害賠償に関する裁定を申請したところ、同委員会が本件各物件について原告会社には鉱害賠償責任がある旨の裁定をしたこと...
《解 説》
本判決は、いわゆる田園調布資産家殺害事件の控訴審判決であり、一審判決は本誌六九九号二五二頁に紹介されている。本件被告人は、かねて親交のあった被害者Aを殺害し、その後Aの財産を次々と処分して費消したとして、殺人のほか、有印私文書偽造、同行使、公正証書原本不実記載、同行使、詐欺の罪...