《解 説》
一、訴訟の経過
本件は、西淀川公害訴訟第一次訴訟の判決である。第一次訴訟は、昭和五三年四月提訴、平成二年四月結審、平成三年三月二九日判決言渡しの経過をたどった。第二次・第三次訴訟は併合されて、現在審理中である。
事案の概要は、大阪市西淀川区に居住し、公健法に定める指定疾病の...
《解 説》
Yは貨物自動車運送事業等を営む会社であり、Xら八名はYに大型貨物自動車の運転手として勤務する者である。Yの業務は長距離運転が多く、超過勤務手当支給の対象となる労働時間の把握が困難なため、一定の計算式と行先別の「セット時間」を決めて、実労働時間によらず、手当てを支給していた。Xら...
《解 説》
一、申告納税制度の信用を維持し、その基礎を擁護するために、隠ぺいまたは仮装したところにもとづく過少申告または無申告による納税義務違反の発生を防止する制度として重加算税の制度がある。国税通則法六八条に重加算税の課税要件として「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」と規定されて...
《解 説》
一、申立人は業務上過失傷害、道交法違反の被疑事実で逮捕されて京都家裁に送致され、少年鑑別所に収容されたが、同家裁は少年に非行事実が認められないことを理由に不処分決定をした。申立人は、この間、逮捕から少年鑑別所収容を通じ七日間身体を拘束されていたため、右の身体拘束を理由に刑事補償...
《解 説》
一、本決定は、本誌七一四号二五九頁(大阪高判平1・4・5)で紹介した生活保護法違反事件の控訴審判決に対する上告審決定である。
事案の概要は、被告人が転居をするに当たり、福祉事務所長に生活保護である敷金扶助の申請をしたが、その際、厚生省通達等により敷金扶助の受給要件として転居先...
《解 説》
一、本件事案は、次の通りである。X(債権者、抗告人)は、本件公正証書に基づき、債権差押えの強制執行を申立てたところ、右公正証書は、請求債権につき、その本旨(本文)第一条に、「昭和六一年五月二八日、Xと債務者Y及び連帯保証人ABは、別紙編綴の債務承認履行契約書記載の条項どおりの契...
《解 説》
本件は、建築予定のマンションについて、これに反対する債権者らがマンション建築主及び請負人を債務者として、その建築工事一部禁止の仮処分命令を申し立てた事案である。
事案の概略は次のようなものである。債務者らは、債権者ら(近隣住民ら)九〇名のうち八〇名が居住する既存マンション三棟...
《解 説》
一、Yは、崖上の借地に建物を所有していたが、昭和五五年、これをXに借地権付きで売却した。Xは、建物を取得するとともに賃貸人(敷地所有者)の承諾を得て賃借権を承継し、この建物に居住した。ところが、崖の擁壁に水抜穴がなかったために翌年の秋の台風の大雨で擁壁に傾斜、亀裂が発生し、本件...
《解 説》
一、事案の概要
事案は、夫の不貞を原因とする妻からの離婚請求。一審では原告勝訴。記録中の判決言渡期日調書の次に綴られた判決原本には、裁判官の署名・捺印がある。控訴期間から一二日後れて被告から控訴。被告へ送達された判決正本には裁判官の氏名の記載がなかったという。二審は、控訴期間...
《解 説》
一、本決定は、市長が発した公金の支出命令が違法な財務会計上の行為に当たることなどを理由として提起された、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づく損害賠償請求訴訟において、地方公共団体が、被告を補助するためにした参加(補助参加)の許否につき、消極に解したものである。
二、この問...
《解 説》
一、本件は、いわゆるテレホンカードの変造・交付行為について、有価証券変造罪及び変造有価証券交付罪の成立を認めた最初の最高裁判例である。
テレホンカードについて有価証券変造罪、変造有価証券交付罪等で起訴された事件は、本件を含めて二九件(被告人数による。)ある。このうち、第一審に...
《解 説》
一、X(原告・反訴被告)は、昭和六二年九月四日、普通乗用車を運転して江南市内の道路を走行中、同市中屋敷の交差点において、自転車で進行中の訴外Aと衝突し、Aに対して、腰椎圧迫骨折、肋骨々折等の傷害を負わせた。そして、Aは、入通院して右傷害の治療を受けていたが、多発性骨髄腫を発症し...
《解 説》
一、本件は、シンポジウム開催のために、原告らのうちの一名が、被告に対して、熊本県立劇場大会議室の使用許可申請をなしたところ、被告は、原告らの右シンポジウムに反対する団体・個人が来館して反対行動が行われ、館内の平穏が害される具体的おそれがあると判断し、熊本県立劇場条例施行規則四条...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Y1(地方競馬全国協会)は、競馬法二三条の二二に基づき、騎手の免許を行っているが、Xは、昭和四六年以来毎年Y1の行った調教騎手(地方競馬の競走のために馬を調教する騎手)の免許試験に合格して同五六年五月末まで免許を有していた。ところが、...
《解 説》
本件は、原告が、福岡県情報公開条例に基づき、同県内における各県立高校の中途退学者及び原級留置者数を記録した公文書の開示請求をしたのに対し、知事が同条例の除外規定を適用して不開示としたため、その処分の取消を求めた事案である。被告は、この請求に対して、まず、訴えの利益がないあるいは...