《解 説》
一、Yは、崖上の借地に建物を所有していたが、昭和五五年、これをXに借地権付きで売却した。Xは、建物を取得するとともに賃貸人(敷地所有者)の承諾を得て賃借権を承継し、この建物に居住した。ところが、崖の擁壁に水抜穴がなかったために翌年の秋の台風の大雨で擁壁に傾斜、亀裂が発生し、本件...
《解 説》
一、事案の概要
事案は、夫の不貞を原因とする妻からの離婚請求。一審では原告勝訴。記録中の判決言渡期日調書の次に綴られた判決原本には、裁判官の署名・捺印がある。控訴期間から一二日後れて被告から控訴。被告へ送達された判決正本には裁判官の氏名の記載がなかったという。二審は、控訴期間...
《解 説》
一、本決定は、市長が発した公金の支出命令が違法な財務会計上の行為に当たることなどを理由として提起された、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づく損害賠償請求訴訟において、地方公共団体が、被告を補助するためにした参加(補助参加)の許否につき、消極に解したものである。
二、この問...
《解 説》
一、本件は、いわゆるテレホンカードの変造・交付行為について、有価証券変造罪及び変造有価証券交付罪の成立を認めた最初の最高裁判例である。
テレホンカードについて有価証券変造罪、変造有価証券交付罪等で起訴された事件は、本件を含めて二九件(被告人数による。)ある。このうち、第一審に...
《解 説》
一、X(原告・反訴被告)は、昭和六二年九月四日、普通乗用車を運転して江南市内の道路を走行中、同市中屋敷の交差点において、自転車で進行中の訴外Aと衝突し、Aに対して、腰椎圧迫骨折、肋骨々折等の傷害を負わせた。そして、Aは、入通院して右傷害の治療を受けていたが、多発性骨髄腫を発症し...
《解 説》
一、本件は、シンポジウム開催のために、原告らのうちの一名が、被告に対して、熊本県立劇場大会議室の使用許可申請をなしたところ、被告は、原告らの右シンポジウムに反対する団体・個人が来館して反対行動が行われ、館内の平穏が害される具体的おそれがあると判断し、熊本県立劇場条例施行規則四条...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Y1(地方競馬全国協会)は、競馬法二三条の二二に基づき、騎手の免許を行っているが、Xは、昭和四六年以来毎年Y1の行った調教騎手(地方競馬の競走のために馬を調教する騎手)の免許試験に合格して同五六年五月末まで免許を有していた。ところが、...
《解 説》
本件は、原告が、福岡県情報公開条例に基づき、同県内における各県立高校の中途退学者及び原級留置者数を記録した公文書の開示請求をしたのに対し、知事が同条例の除外規定を適用して不開示としたため、その処分の取消を求めた事案である。被告は、この請求に対して、まず、訴えの利益がないあるいは...
《解 説》
一 昭和六二年四月一二日奈良県議会議員(大和郡山市選挙区)一般選挙(これが所謂親選挙)が執行されたが、Xは、同月二七日右親選挙の執行が公職選挙法一四四条の二、二〇条等に反するとしてY(奈良県選挙管理委員会)に異議の申出をなしたが、これを棄却されたので、平成元年一〇月一六日大阪高...
《解 説》
一、三菱重工神戸造船所で稼働していた労働者が、工場騒音の被曝によって難聴障害に罹患したことの損害賠償を求める事件のうち、第一次、第二次訴訟の上告審判決が出たので紹介する。
ここでの第一次、第二次訴訟は、昭52・11と昭53・8に提起された。第三次訴訟は昭54に提起され、昭62...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
本件は、精神障害児である原告が、養護学校高等部へ提出した入学願書が、申込者が募集要項に該当しないとの理由で受理されなかったことを争い、普通学級から養護学級高等部への入学を事実上閉ざしている教育委員会の指導通知の取り消し、教育委員会を被告...
《解 説》
本件は、税務署員の納税者の妻に対してなした質問検査が違法であるとして、右納税者が、国に対して、国家賠償法一条一項に基づき、慰謝料の請求をした事案である。
質問検査は、租税の公平確実な賦課徴収を実現するため、税務調査の一方法として設けられたものであって、必要な場合に税務調査の一...
《解 説》
一、本件は、東京と大阪に在日支店をもつ大手米国銀行が世界的な金融自由化等による収益悪化等を理由とする在日支店の合理化の一環として、大阪支店の従業員一〇名を東京支店に配転する旨を命じたところ、右従業員のうち九名が右配転命令の無効を主張して、その効力を仮に停止すべきことを求めた仮処...
《解 説》
本件は、被告人が帰宅途中の電車内で無作法な座り方をしていた被害者に注意したところ逆に被害者から執拗にからまれ口汚く罵られた上暴行を受けるなどしたためこれに反撃し被害者を死亡させた傷害致死の行為について、過剰防衛を認定した事案である。
本件においては、そもそも被害者の侵害行為の...
《解 説》
一、控訴人は、Aの姪(三親等の傍系血族)であったが、昭和二九年一二月二日、Aと結婚した。Aには、B(昭和一九年四月九日死亡)との間に被控訴人らを含む六人の子がいるが、控訴人との間にCが生まれた。ところが、Aは、昭和六二年九月一八日、その遺産をCに包括遺贈する旨の公正証書遺言をし...
《解 説》
Xの主張によると、XはYとの間で、YがA会社からゴルフ会員権を買い入れるための資金を融資する目的で消費貸借契約を締結した。ところが、ゴルフ会員権の名義を書き換える前にA会社が倒産したためYはゴルフ会員権を取得できなかった。その上、Yの主張によると、消費貸借契約の関係書類がY作成...
《解 説》
Aは、平成元年二月一日、Yとの間で生命保険契約を締結していたが、同年六月二〇日死亡したため、その受取人である相続人Xらは、Yに対し、保険金の支払を請求した。これに対してYは、抗弁として、Aには告知義務違反があったとして契約の解除を主張した。
本判決は、Aが、昭和六三年以来糖尿...