《解 説》
一、本件は、外国人がした公正証書遺言の効力が、その遺言の趣旨の口授という作成方式との関係で争われた事例である。
訴外Aは外国人で、東京都新宿区内に約一六〇〇平方米の宅地を所有していたが、昭和六二年七月に公正証書遺言(旧遺言)をし、Xを遺言執行者に指定した上、遺贈もする旨を決め...
《解 説》
本件は、医薬品容器等販売業を営む被告人が、架空仕入れを計上するなどしたほか、本名、仮名により株式の継続的取引をした所得の全部を除外して確定申告をし、多額の所得税を脱税した事案である。争点は、犯意(ほ脱の意思)、実行行為(「偽りその他不正の行為」・所得税法二三八条一項)のほか、被...
《解 説》
一、被相続人A女の遺産分割において、その非嫡出子である抗告人が嫡出子と同じ相続分を主張したのに対し、原審は、民法九〇〇条四号但書を適用して、抗告人の相続分を嫡出子の相続分の二分の一として遺産分割審判をした。抗告人は、右規定が憲法一四条、一三条に違反するほか、女子に対するあらゆる...
《解 説》
一、訴訟の経過
本件は、西淀川公害訴訟第一次訴訟の判決である。第一次訴訟は、昭和五三年四月提訴、平成二年四月結審、平成三年三月二九日判決言渡しの経過をたどった。第二次・第三次訴訟は併合されて、現在審理中である。
事案の概要は、大阪市西淀川区に居住し、公健法に定める指定疾病の...
《解 説》
Yは貨物自動車運送事業等を営む会社であり、Xら八名はYに大型貨物自動車の運転手として勤務する者である。Yの業務は長距離運転が多く、超過勤務手当支給の対象となる労働時間の把握が困難なため、一定の計算式と行先別の「セット時間」を決めて、実労働時間によらず、手当てを支給していた。Xら...
《解 説》
一、申告納税制度の信用を維持し、その基礎を擁護するために、隠ぺいまたは仮装したところにもとづく過少申告または無申告による納税義務違反の発生を防止する制度として重加算税の制度がある。国税通則法六八条に重加算税の課税要件として「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」と規定されて...
《解 説》
一、申立人は業務上過失傷害、道交法違反の被疑事実で逮捕されて京都家裁に送致され、少年鑑別所に収容されたが、同家裁は少年に非行事実が認められないことを理由に不処分決定をした。申立人は、この間、逮捕から少年鑑別所収容を通じ七日間身体を拘束されていたため、右の身体拘束を理由に刑事補償...
《解 説》
一、本決定は、本誌七一四号二五九頁(大阪高判平1・4・5)で紹介した生活保護法違反事件の控訴審判決に対する上告審決定である。
事案の概要は、被告人が転居をするに当たり、福祉事務所長に生活保護である敷金扶助の申請をしたが、その際、厚生省通達等により敷金扶助の受給要件として転居先...
《解 説》
一、本件事案は、次の通りである。X(債権者、抗告人)は、本件公正証書に基づき、債権差押えの強制執行を申立てたところ、右公正証書は、請求債権につき、その本旨(本文)第一条に、「昭和六一年五月二八日、Xと債務者Y及び連帯保証人ABは、別紙編綴の債務承認履行契約書記載の条項どおりの契...
《解 説》
本件は、建築予定のマンションについて、これに反対する債権者らがマンション建築主及び請負人を債務者として、その建築工事一部禁止の仮処分命令を申し立てた事案である。
事案の概略は次のようなものである。債務者らは、債権者ら(近隣住民ら)九〇名のうち八〇名が居住する既存マンション三棟...