《解 説》
一、本件は、AがBから融資を受けるにつき、その連帯保証人となったXが、Bに対してAの残債務を弁済し、BがA所有の本件土地・建物に設定していた抵当権を代位取得したので、担保権の実行としての競売を申し立てたところ、Bの抵当権設定後、本件土地・建物がAからC及びDにそれぞれ期間三年間...
《解 説》
一 原告は、アメリカのミネソタ州法に準拠して設立された会社。被告は日本法人。原告は被告よりナイロン皮膜を購入したが、右製品に瑕疵があったとしてミネソタ州地裁に損害賠償請求訴訟を提起した。同地裁はわが国の裁判所を通じて、被告に訴状及び召喚状を送達したのに対し、被告は、日本を仲裁地...
《解 説》
本件は、雑居ビルの地下トイレ内で少女が強姦されて殺された事件について、被告人の自白に信用性が認められず、その他被告人と犯人を結び付ける物的証拠も存しないなどとして、被告人に対し無罪が言い渡された事例である。
本件において被告人と犯人を結び付ける証拠としては、被告人の捜査段階に...
《解 説》
一、事案の概要
Xは、強盗殺人罪等で起訴され現在上告中の刑事被告人であり、右起訴直後から東京拘置所で未決勾留中の者である。
Xは、平成元年四月及び五月の二度にわたり、東京拘置所長に対し出版原稿の発送を申し出た。
東京拘置所では、未決勾留者が著作物の発送を申し出た場合、書信...
《解 説》
本件は、昭和六二年二月一級河川(柳瀬川)の堤防から河川に転落して溺れた幼児X(当時二歳)が右事故に遭遇した結果酸素欠乏に起因する無酸素性脳症状により四肢体幹機能に後遺症が残ったとして、河川を管理するY国・県に対して、国賠法二条一項に基づき総額一億円余の損害賠償を求めたケースであ...
《解 説》
本件は、木造二階建建物の二階の一部を賃借して美容院を経営していたXが、同建物の一階の一部を賃借してパンの製造販売の店舗を経営していたYに対し、Y店舗内のY占有所有のパン焼機の設置、保存の瑕疵により火災が発生してXの右賃借部分が焼失したとして、民法七一七条の工作物責任に基づき、そ...
《解 説》
一、本件は、事案の概要にも説明されている通り、不動産の移転登記手続きの委任を受けた司法書士の責任の範囲が争われた事例である。
Xは昭和六三年八月二七日に、訴外Aから千葉市内の宅地建物を三億五八〇〇万円余で買い受け、司法書士Yに所有権移転等の登記手続きを委任して、同年九月二六日...
《解 説》
一、本件の訴因事実は、「被告人が、甲と共謀の上、乙から覚せい剤約一グラムを代金二万円で譲り受けた」という覚せい剤の共同譲受けの事実であったところ、被告人は、公判廷において、「甲に頼まれて、同人を覚せい剤を密売している乙方へ案内し事実上両名を引き合わせ、その後の覚せい剤の取引現場...
《解 説》
本件は、日本共産党員で赤旗新聞の販売員であった被告人が深夜通行中の被害女性Hに抱きつき無理やりその乳房を弄んだという強制わいせつの公訴事実について、被告人は、たまたまHを追い抜こうとして同女の背後に近づいたとき、突然同女から悲鳴を上げられたことに驚き、トラブルに巻き込まれるのを...
《解 説》
暴走族グループ間の対立に端を発した乱闘事件(以下「本件刑事事件」という。)につき、暴走族のメンバーであった原告は凶器準備集合、傷害、暴力行為等処罰に関する法律違反によって起訴された。一審では有罪になったが、二審で破棄差戻となったところ、差戻審で無罪になり、同判決は確定した。
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《解 説》
一、本件は、手乗りインコの雛二羽をY経営の大型店舗内のペットショップZから購入してXら家族で飼育していたところ、右インコのうち少なくとも一羽がオウム病クラミジアに感染していたことにより、Xらが次々とオウム病に罹患し、そのうちの一名が特に重篤なオウム病性肺炎を発症して死亡したとい...
《解 説》
Xら二名はO市の住民であるが(但し、本判決の当事者の表示によれば、そのうち一名は同市外に転出した模様であり、転出者の原告適格が問題になるはずであるが、本判決では触れられていない)、同市が町会に地蔵像の敷地として市有地を無償で使用させているのは憲法二〇条三項、八九条に違反すると主...
《解 説》
一、本件事案の概要は、次のとおりである。
X1・X2・X3は、亡Zの相続人(X1はその子、X2・X3はその両親。)であるが、亡Zは、平成元年六月九日午前一時二五分頃、Y1所有兼運転の普通乗用自動車に同乗中、右車両が神戸市須磨区内市道上で横転したため、この事故により死亡した。
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《解 説》
一、本件における原告Xの主張の骨子は、次のとおりである。
Xは、平成元年二月にNTTの株式を一株あたり一七四万円で八〇株購入したが、その後株価は下落を続け、同年七月右のうち四一株を一株あたり一五六万円で売却するところとなって一株あたり一八万円の評価損を被り、なお三九株を所有し...
《解 説》
Xは不動産会社の社長であり、昭和五八年に京都市議会で議決され、話題となった古都税の反対運動に関わっていた者であるが、Xに関して書かれた月刊誌「現代」の記事により名誉を毀損されたとして、発行社のY1、編集人のY2、取材記者のY3に対し、謝罪広告の掲載及び慰謝料の支払いを求めた。
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《解 説》
一 京都府は、府内を流れる鴨川の改修計画を予定し、その構想を検討するため、河川管理者である被告京都府知事が、昭和六二年七月鴨川改修協議会を設置した。府が鴨川の景観対策、治水対策につきいかなる方策を採るかは住民の関心も高く、特に鴨川流域の住民にとっては、ダムサイト建設による治水対...
《解 説》
一、請求者X(妻)と拘束者Y(夫)との間には、被拘束者Z1(長女、八歳)及び同Z2(次女、六歳)がある。Xは、Z1、Z2を残したまま家を出て、以後はYと別居するようになったが、間もなくYとの離婚を求める調停を申し立て、次いでZ1、Z2の引渡しを求める調停を申し立てたが、その後、...
《解 説》
甲市はゲートボール場等の施設用地として、民有地を三・三平方メートル当たり五〇円の報償費を支払って借り受けている。そして、地主との契約により右土地の固定資産税を賦課していない。本件は固定資産税を賦課しないことが違法であり、甲市は税額相当の損害を受けたとして市長に対して提起された住...
《解 説》
本件は、東京都の住民Xが地方自治法二四二条の二第一項四号前段に基づき、都清掃局長Y個人に対し、北清掃工場の建替えに伴う地元還元公共施設(還元施設)の調査設計業務委託契約に基づく委託料三九九万円余の支出を違法であると主張して、Yに右と同額の損害賠償を都に対してするよう求めた住民訴...