《解 説》
一、本件は、能登原発の設置工事に必要な環境影響調査について地元漁民の間に北陸電力がこれを行うのを拒否する動きがあったことから、県が三億二四六〇万円余の費用を負担して海洋調査を行い、その結果を北陸電力に提供して、環境影響調査書を通産省に提出させたことが、憲法一三条、二五条、九二条...
《解 説》
一、本件は行政訴訟の形をとっているが、一種の嫌煙権訴訟である。
Xらはいずれも名古屋市内の公立中学校の教員であるが、それぞれの中学校に喫煙室を設けるべき旨を、地方公務員法四六条に基づいてY(名古屋市人事委員会)に対して措置要求をしたところ、Yがこれを認めない判定をしたので、X...
《解 説》
一、本件は、航空機内清掃会社の従業員につき、安全配慮義務違反による損害賠償請求が一部認容された事例である。争点とされた箇所は多岐にわたるが、ここでは主要な点のみを紹介する。
X1~X3は、昭和四七年春以来、機内清掃等を業とするY1(AGS)の従業員として機内クリーニング作業(...
《解 説》
一、民法八四三条は「後見人は、一人でなければならない。」旨規定している。本件は、右規定にもかかわらず、事実上複数の後見人が選ばれてしまったという珍しい事件であり、その複数の後見人が代理して締結した売買契約の効力が争われた。この点は、一審、原審では争点になっておらず、上告理由で初...
《解 説》
一、不動産競売手続の配当期日において、被担保債権が存在しなかったのに配当を受けた先順位抵当権者に対して、異議を述べなかった後順位抵当権者が不当利得の返還請求権を有するか。旧法下においては、かかる請求の可否については、民事執行法(以下「法」として引用する。)の下において、積極、消...
《解 説》
本件は、秋田県大潟村の農民が大潟村村長、秋田県知事を被告として提起した住民訴訟事案である。原告らは、大潟村村長がした、いわゆる「互助方式」による補助金支出、秋田県知事が主体となり大潟村村長が協力したいわゆる「ヤミ米検問」に伴う公金支出の各違憲、違法を主張し、大潟村、秋田県に代位...
《解 説》
一、本件は、AがBから融資を受けるにつき、その連帯保証人となったXが、Bに対してAの残債務を弁済し、BがA所有の本件土地・建物に設定していた抵当権を代位取得したので、担保権の実行としての競売を申し立てたところ、Bの抵当権設定後、本件土地・建物がAからC及びDにそれぞれ期間三年間...
《解 説》
一 原告は、アメリカのミネソタ州法に準拠して設立された会社。被告は日本法人。原告は被告よりナイロン皮膜を購入したが、右製品に瑕疵があったとしてミネソタ州地裁に損害賠償請求訴訟を提起した。同地裁はわが国の裁判所を通じて、被告に訴状及び召喚状を送達したのに対し、被告は、日本を仲裁地...
《解 説》
本件は、雑居ビルの地下トイレ内で少女が強姦されて殺された事件について、被告人の自白に信用性が認められず、その他被告人と犯人を結び付ける物的証拠も存しないなどとして、被告人に対し無罪が言い渡された事例である。
本件において被告人と犯人を結び付ける証拠としては、被告人の捜査段階に...
《解 説》
一、事案の概要
Xは、強盗殺人罪等で起訴され現在上告中の刑事被告人であり、右起訴直後から東京拘置所で未決勾留中の者である。
Xは、平成元年四月及び五月の二度にわたり、東京拘置所長に対し出版原稿の発送を申し出た。
東京拘置所では、未決勾留者が著作物の発送を申し出た場合、書信...
《解 説》
本件は、昭和六二年二月一級河川(柳瀬川)の堤防から河川に転落して溺れた幼児X(当時二歳)が右事故に遭遇した結果酸素欠乏に起因する無酸素性脳症状により四肢体幹機能に後遺症が残ったとして、河川を管理するY国・県に対して、国賠法二条一項に基づき総額一億円余の損害賠償を求めたケースであ...
《解 説》
本件は、木造二階建建物の二階の一部を賃借して美容院を経営していたXが、同建物の一階の一部を賃借してパンの製造販売の店舗を経営していたYに対し、Y店舗内のY占有所有のパン焼機の設置、保存の瑕疵により火災が発生してXの右賃借部分が焼失したとして、民法七一七条の工作物責任に基づき、そ...
《解 説》
一、本件は、事案の概要にも説明されている通り、不動産の移転登記手続きの委任を受けた司法書士の責任の範囲が争われた事例である。
Xは昭和六三年八月二七日に、訴外Aから千葉市内の宅地建物を三億五八〇〇万円余で買い受け、司法書士Yに所有権移転等の登記手続きを委任して、同年九月二六日...
《解 説》
一、本件の訴因事実は、「被告人が、甲と共謀の上、乙から覚せい剤約一グラムを代金二万円で譲り受けた」という覚せい剤の共同譲受けの事実であったところ、被告人は、公判廷において、「甲に頼まれて、同人を覚せい剤を密売している乙方へ案内し事実上両名を引き合わせ、その後の覚せい剤の取引現場...
《解 説》
本件は、日本共産党員で赤旗新聞の販売員であった被告人が深夜通行中の被害女性Hに抱きつき無理やりその乳房を弄んだという強制わいせつの公訴事実について、被告人は、たまたまHを追い抜こうとして同女の背後に近づいたとき、突然同女から悲鳴を上げられたことに驚き、トラブルに巻き込まれるのを...