《解 説》
商標間の類非を論ずる場合には、先ずもって標識の属性自体として、外観、称呼、観念の三要素について、それぞれ離隔的、要部的に対比して分析するのが、従来、通例の手法とされてきた。
本件が判示する観念の共通とは、そうした標識自体が具える文字ないし文言の属性としての観念ではなく、取引者...
《解 説》
本件は、原審における被告に対する公示送達による呼出しと判決の送達手続が適法であるとされ、控訴期間の追完を否定して控訴を却下した事例である。原審において、口頭弁論は判決日を除き、八回開かれたのであるが、その途中、被告の住居が競売に付され、被告の所在が明らかでなくなったため、第六回...
《解 説》
一、Xの従業員である部外Aは、昭和六〇年五月一四日、山梨県都留市内の小形山ターミナルにおいて、自動車の荷台上で荷降し作業中、積荷である梱包されたコンデンサ盤を転倒させ、右作業を手伝っていた訴外Bを右コンデンサ盤の下敷きにして、Bを死亡させるに至った。
そこで、Xは、Bの遺族ら...
《解 説》
一 国民年金法は、昭和六〇年法律第三四号国民年金法等の一部を改正する法律(以下「昭和六〇年改正法」)により、老齢年金の支給要件及び年金額が改正され(以下、昭和六〇年改正前のものを「旧国民年金法」とし、右改正後のものを「新国民年金法」とする。)、新国民年金法の下での老齢基礎年金と...
《解 説》
債務者は、対立・抗争中の暴力団組織の組長であるが、これら暴力団組織の対立のため、沖縄においては、警官、市民を含め、複数の死傷者が出ている状況であった。そこで、右各組織の事務所の近隣住民は、その生命・身体の危険を理由とする人格権侵害を理由として、人格権に基づく妨害排除請求を根拠に...
《解 説》
本件は、クリーニング店を経営しYから建物の一部を賃借しているXら(夫婦X1X2及び息子X3)が、隣家のYの飼育するペットのシェパードの鳴き声(騒音)・悪臭により迷惑被害を被ったこと及び嫌がらせ的に賃貸借契約を解除するか又は月額三万円の賃料を一〇万円に増額する旨通知したことにつき...
《解 説》
X銀行はAらに対する債務名義に基づきAら所有の土地建物の強制競売の申立てをし競売開始決定を得たところ、B(承継前被告)もAらに対する債務名義に基づき配当要求をした。この事件は別の不動産競売事件と併合され手続が進められ、異議もなく配当が実施された。この配当手続において執行裁判所の...
《解 説》
Xはクラブの経営者であるが、同店でホステスAを雇用する際に、Yを保証人として三五〇万円を貸し付けた。本件は、Xが右保証債務の履行及びY自身の飲食残代金の支払として合計四三〇万円を請求したものである。
Yは、右貸付は公序良俗違反であると主張したが、その理由は、右貸付はAが前の店...
《解 説》
一、Xは、窃盗(スリ)未遂罪で警察官に現行犯逮捕され、引続き勾留、起訴されたが、一審で無罪となり確定した。そこで、Xは国と県とに対し、右逮捕、勾留請求、勾留延長請求、起訴及び公訴追行が違法であり、これにより不法な拘禁を受けたとして、国家賠償法一条一項に基づき損害賠償(逸失利益と...
《解 説》
一、本件は、再審請求事件の特別抗告事件であるが、再審請求の対象となった有罪の確定判決は、南支派遣軍軍法会議が昭和一九年七月二六日、特別抗告申立人(再審請求人)に対して言い渡したものである。南支派遣軍軍法会議は、南支派遣軍(第二三軍)によって設けられていた陸軍の臨時軍法会議であり...
《解 説》
一、①事件で原告は三名おり、争点はそれぞれ少しずつ異なっているが、最も重要と考えられるX1の場合をまず説明する。
X1は名古屋市内の公立中学校に勤務する教員であるが、昭和六三年八月に中国への「視察海外旅行」への参加を計画し、右旅行は教育公務員特例法(教特法)二〇条にいう研修に...
《解 説》
一、本件事案は、次の通りである。X(原告、控訴人)は、訴外Aから、自動車の展示販売に関する店舗建築のための土地開発行為を行うにつき、宅地造成に必要な土木工事の設計、協議、都市計画法二九条、三〇条による開発許可の取得等の業務を請負い、その事前審査のため、昭和六二年四月二三日、右開...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
Aは昭和六三年七月に交通事故を起こして、被告Y1が運営する市立病院に搬入され、被告Y2医師の治療を受けた。Y2医師は、レントゲン検査等から内臓損傷を疑わせる所見に乏しいと判断してAを一旦帰宅させ、経過を観察することとしたが、Aは腹痛が治まら...
《解 説》
Xら二名はいずれもI市内で小規模導管により液化石油ガスの供給事業を営むものであるが、昭和六一年二月、Yに対し、ガス事業法三七条の二による簡易ガス事業の許可を得るため、X1は九四の、X2は七八の供給地点につき、簡易ガス事業の許可申請をした。しかし、Yは、同年五月、いずれも同法三七...
《解 説》
一、Xは、昭和四五年生まれの高校生であるが、昭和六三年二月二〇日午後、Yの経営管理するレクリエーション施設内のプール(以下「本件プール」という。)で水泳中、反対側から泳いできた男性に衝突され、外傷性頸部症候群の傷害を負って入通院治療を余儀なくされた。
そこで、Xは、Yは、入場...
《解 説》
一一個に及ぶ原告各商標は、連合商標となっていること、また、これら商標と被告標章の各一部を構成する文字部分「アイ」が、漢語の「愛」及び英語の「EYE(目)」を連想させるところがあるものの、それ自体、表示として、識別性に乏しいこと、たまたま被告の妻の名前が「愛子」であったことなどか...
《解 説》
Y会社の一〇〇パーセント子会社であるA会社の従業員であったXは、Y会社の従業員持株制度に基づき、Y会社の株式一〇〇株を二〇〇万円の価額で取得し、その後株式配当によりY会社の株式四〇〇株を所有するに至り、引き続き株券をY会社に預けていた。その間、XはY会社との間で、A会社を退職す...