《解 説》
本件は、Yの長男であるAを通じてY所有の農地を買い受けたというXらがYに所有権移転登記等を求めた事案である。一審においては、Y名義の答弁書が陳述擬制されて手続が進められ、Xらの請求が認容され、原審においては、専らAの代理権の有無をめぐって争われたが、Yの控訴が棄却されている。こ...
《解 説》
一、株式の共同相続人と株主総会決議不存在確認の訴え(①事件)ないし合併無効の訴え(②事件)の原告適格が争われた事案であり、商法二〇三条二項の解釈適用が問題になっている。
①事件は、Y会社(被告・控訴人・上告人)の発行済株式の全部七〇〇〇株を所有していたAが死亡して、妻B、長男...
《解 説》
一、Xは、昭和五九年六月、Y1に対し、金一七五〇万円を貸付け、Y2がY1のXに対する右借受金債務について連帯保証したと主張し、Y1とY2に対し、右貸金元金と利息合計金一七六七万円余を請求した。
これに対し、Yらは、右貸金と連帯保証を否認するとともに、仮にYらが右借受金債務を負...
《解 説》
Xは宅建業者であるが、宅建業法六九条一項の聴聞手続を経たうえ、Y知事からXの違法行為は「反復継続、その他諸般の事情に照らし、情状が特に重い」との理由により、宅建免許を取り消された。聴聞手続の過程において、Xは関係書類の閲覧・謄写を求めたところ、Y(都市部建築指導課宅建指導班担当...
《解 説》
日本在住のXが、ドイツを訪れた際、日本の法人Y1のドイツにおける現地法人甲に対し、ベンツを購入したい旨申し込んでいた。ところで、ドイツにおいては、国内の物品売買に対し一四パーセントの付加価値税が掛かるが、輸出品についてはこれが掛からないところから、甲がドイツにおける自動車販売会...
《解 説》
一、被拘束者三名の父親(請求者・拘束者の夫)が新興宗教(オウム真理教)に入信した拘束者(請求者の妻・被拘束者らの母親)が被拘束者らを連れて家出し、被拘束者らを同教の施設で生活させ、これを拘束しているとして、人身保護法に基づき被拘束者らの引渡しを請求した事案。被拘束者らの年齢(原...
《解 説》
一、本件は、A管理組合(権利能力なき社団)が、昭和六一年Yらに対し係争土地に埋設された水道管の手抜き工事等を理由として一億二〇〇〇万円の損害賠償請求訴訟を提起し、係属裁判所で審理中のところ、平成元年一二月に「訴えの変更」を申立てる旨の準備書面を提出し(この準備書面はYらに送達さ...
《解 説》
一、本件は、業務上横領罪の起訴に対して単純横領罪の成立を認めて有罪を言い渡した原判決について、公訴時効の完成を看過したとして最高裁がこれを破棄し、免訴を言い渡した事案である。
二、本件被告人は、業務上横領罪により昭和六一年三月七日に起訴された。公訴事実の要旨は、「宝飾品の加工...
《解 説》
一、本件はスモン訴訟の最新判決であり、また唯一の高裁判断である。
周知の通り、スモン病(亜急性脊髄視神経症)とは、キノホルムに起因すると考えられる中毒性神経障害であって、昭和三〇年代後半から、キノホルムの使用が禁止される昭和四五年まで多数の患者が発生し、キノホルムを製造・販売...
《解 説》
一、事案は明確でないが、使用者(会社)と労働者との間で、企業内の低利金融について相殺予約の約定が成立していたようで、相殺予約に基づく相殺の適否が争われており、事件名が取立金請求事件であることを考慮すると、労働者が、原告になって、相殺を無効として、不払分を取立金として請求したもの...
《解 説》
本件は、印刷業者が、いわゆるホテトルの経営者の依頼を受けてピンクちらしをまとめた宣伝用小冊子を作成したことにつき、売春防止法六条一項(周旋)の罪の幇助の責任を問われた事件である。一審の東京地判63・4・18本誌六六三号二六九頁は、事実認定の問題として、故意の不存在をいう弁護人の...
《解 説》
本件は、貸金の請求であり、原告は、被告の利息の支払について、貸金業の規制等に関する法律四三条のいわゆるみなし弁済規定の適用を主張し、利息制限法の制限利率を超過した分も、元本に充当せず、これを適法に取得することができるものとして、貸金残額を計算して請求している。
貸金業法四三条...
《解 説》
本判決は、民訴法旧七四四条に基づく異議の申立てに対するもので、保全の必要性が認められないとして、債務者に対する債権仮差押決定を取り消した一事例である。
仮差押え及び仮処分においては、いわゆる被保全権利と保全の必要性が実体的要件となることについては、判例学説上ほとんど異論がなく...
《解 説》
一、Xは、いわゆるロス疑惑の渦中の人物であるが、昭63・8・7Aに対する殺人未遂等被告事件について東京地裁で懲役六年の有罪判決を受け(控訴中)、さらに、いわゆる銃撃事件(殺人被疑事件)について昭63・10・20逮捕され、11・10起訴されている。Yは、昭63・10・21夕刊に「...
《解 説》
一、本判決は、賄賂として提供された現金五〇万円を受領した市議会議員である被告人につき、賄賂性の認識を欠くとして無罪を言い渡した原判決を、検察官の控訴を容れて、事実誤認を理由に破棄し、収賄罪の成立を認め有罪の自判をした控訴審判決である。事案及び原判決の概要については、本判決冒頭の...
《解 説》
一、被告は土地区画整理法に基づいて設立された土地区画整理組合であり、原告は被告が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内に宅地を有している。被告が原告所有の宅地について換地処分を行ったが、その内容は従前の宅地三〇九三平方メートル(本件土地)のうち周辺部の三三三・七平方メートルが...