他の共同保証人の連帯保証が有効なものと誤信して連帯保証をした場合に、要素の錯誤を認め、主債務の2分の1の限度でその連帯保証責任を否定した事例
一、いわゆる自動継続特約に基づく定期預金の期限延長は、預金当事者の一つの処分であるとして、これをもって先行する国税徴収法上の差押に対抗できないとされた事例
二、債権質の目的となっている債権が国税徴収法によって差し押さえられた場合、質権者は換価代金に対して優先権を主張できるのみで、国の取立自体は防げられないとされた事例
借家法一条ノ二にいわゆる正当の事由に基づく都営住宅の解約申入れと東京都営住宅条例(昭和二六年東京都条例第一一二号)二〇条一項六号の適用の有無
《解 説》
一、X(中学一年)は、同じ都営住宅に住む友人Aと釣りに行くために、A宅前の廊下でAを待っていた際、AがA宅の隣室で窃盗未遂事件を起こしたため、一一〇番通報で駆けつけた警察官に共犯者と疑われた。Xは、同所で職務質問を受けたうえ警察署に連行され事情聴取を受けたが、共犯であるという確...
《解 説》
本件は、殺人事件について過剰防衛に当たるとして刑を免除した事例として、注目を浴びた判決である。
本件の事案は、大学生である被告人が高校を中退した弟に「表に出ろ。勝負したる。」などと挑発されたうえ、仰向けに押し倒され、上から乗りかかられて両手で首を強く絞められたため、防衛の意思...
《解 説》
マンションの区分所有者であり、管理組合の役員であるXら六名が、本件管理人室は、管理事務室と一体不可分のものとして利用されるべき共用部分(建物区分所有法四条一項)であると主張して、その共有持分権に基づき、Yらに対し、本件管理人室の保有登記の抹消と明渡しを求めた事案である。争点は、...
《解 説》
一、本件は、主に自動車産業向けにコンピューター制御旋盤を製造・販売している、資本金約一億円の株式会社であるYが、円高及び貿易摩擦による輸出規制により、輸出及び国内の自動車産業への販売が激減し多額の欠損を出したとして、全従業員の約三分の一にあたる五五名の人員整理を打ち出し、希望退...
純然たる金銭債権の訴求に対して、他から債権譲渡を受けた慰謝料請求権をもってする訴訟上の相殺が、相殺制度の目的を逸脱するなどの理由で権利の濫用とされた事例
肺癌の疑いでなされた気管支造影検査の翌日に患者が心筋梗塞で死亡した事案につき、医師の説明、患者の承諾を含めて、右検査の実施に違法性がないとされた事例
立入り禁止の校舎屋上で卒業アルバム写真を撮影中の高校三年の男子生徒が転落して死亡した事故について、学校側の設備管理義務及び指導監督義務違反の責任が認められた事例
《解 説》
選挙の規定に違反があり、選挙の結果に影響を及ぼすときは選挙が無効となる(公職選挙法二〇五条一項)が、「選挙の規定に違反する」とは、選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続きに関する明文の規定に違反するときばかりでなく、明文の規定はなくとも、選挙の自由公正の原則が著しく阻害さ...
《解 説》
一、本件は、警察官の職務質問やいわゆる「任意同行」の適法性が争われた事例である。
原告の主張によれば、労働組合団体の役員であるXは、昭和六〇年一一月一六日の午後二時頃、東京練馬区内の道路を歩いているうちに練馬署の警察官数名から、氏名や所持品に関する職務質問をされ(これは練馬区...
《解 説》
本件は、農業協同組合の理事会で起立議決の方法で組合長を選任したが、それに先だって総会に代わる総代会で、理事会における組合長選任は無記名投票の方法によるとの動議が可決されており、農業協同組合法四一条(民法五三条後段準用)で理事は総会の決議に従わなければならず、右決議に拘束されるも...