1 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(新安保条約)は、主権国としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するものというべきであるから、これが違憲か否かの法的判断は、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものである 2 新安保条約は、一見極めて明白に憲法前文の趣旨、9条、98条2項に違反し無効であるとは認められない 3 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(駐留軍用地特措法)は、憲法前文の趣旨、9条、29条3項、31条に違反しない 4 駐留軍用地特措法3条所定の「駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合」とは、駐留軍の用に供するため土地等を提供する客観的必要性が存する場合を指し、同条所定の「適正且つ合理的」とは、土地等の提供の客観的必要性が高く、かつ、右提供により得られる公共の利益がこれにより失われる利益に優っていることを意味する 5 駐留軍用地特措法3条所定の要件の充足性の有無の判断については、内閣総理大臣に一定の範囲において裁量の余地が認められ、その判断に裁量権の逸脱ないしは濫用があった場合に限り、同法5条に基づく使用・収用の認定処分が違法となる 6 内閣総理大臣が、市有地について、駐留軍用地特措法5条の規定に基いてした使用認定処分に裁量権の逸脱なし濫用の違法はないとされた事例
《解 説》
市道から市道に通ずる私道について、一個の処分で建築基準法四二条一項五号の道路位置指定がされていたが、その途中の一部について道路位置指定廃止処分がされ、その結果、右私道は途中で分断されることとなった。本件は、右私道の沿線に住み、これを利用していた近隣住民の提起した道路位置指定廃止...
公示送達により送達された判決に対する控訴期間経過後の控訴につき、控訴人の責に帰すべからざる事由により右期間を遵守することができなかったとして、控訴の追完を認めた事例
《解 説》
一、Xは店舗として使用されていた本件マンションの一階の専有部分(以下「本件専有部分」という。)を買い受けたが、専有部分は旧規約で飲食店等に使用することができない旨定められていた。本件専有部分はもともと本件マンション居住者向けの駐車場として使用されていたが、その後店舗に改造された...
ネドロイド交際費課税訴訟第一審判決
子会社である日本法人の海運代理業者が支出した交際費を親会社であるオランダ法人の船会社が負担した場合において、右交際費を税法上、子会社の支出に帰すべきであるとした事例
住民訴訟の損害又は損失、当該地方公共団体の固有財産に生じたものに限られ、当該支出が、全部国からの交付金によって賄われた場合には、当該地方公共団体には、損害や損失が生じない
拘置所長の行った文書の閲読不許可及び領置処分に対する救済を求めて、被拘束者から申し立てられた人身保護請求が棄却された事例
《解 説》
一、本判決及び参考のため末尾に併載した原判決によると、本件の事実関係はおおよそ次のとおりである。
①職人等を雇って左官業を営んでいる被告人(X)は、いやいやながらも同郷の暴力団組員Aと交際していた(Xはいわゆる堅気の一般人である)。XはAの依頼によりAの義弟Cを左官見習いとし...
《解 説》
一、Xらは大阪府の住民であり、いずれも、昭和五五年末に政治や行政を監視する目的で弁護士、公認会計士、税理士らにより結成された「市民オンブズマン」と称する民間団体の構成員である。Yらは、昭和五五年四月一日から同五八年三月三一日までの間の一定期間、それぞれ大阪府知事、大阪府水道企業...
所得税の確定申告において租税特別措置法(昭和六三年法律第一〇九号による改正前のもの)二六条一項に基づくいわゆる概算経費により事業所得金額を計算していた場合に修正申告においていわゆる実額経費に変更することが許されるとした事例