《解 説》
Xは中学教師であるが、生徒Aに体罰(暴行)を加えたとの事実で水戸簡裁に略式起訴され、罰金五万円の略式命令を受けたが、正式裁判を請求し、同簡裁で罰金三万円の有罪判決を受けた。Xの控訴により、東京高判昭56・4・1(判時一〇〇七号一三三頁、本誌四四二号一六三頁)は、Xの行為は正当な...
《解 説》
Xは某郵便局に合計三〇〇万円の定額郵便貯金を預けていたが、不和となった妻AがXに無断で証書の再交付を受け、後に払戻まで受けてしまった。本件は、XからY(国)に対し、右貯金の払渡しの正当性を争い、あらためて払戻を求めた事案である。
本判決は、右払渡しの際、同局員が証書の氏名と印...
夜間国道上に駐車していた大型特殊自動車に自動二輪車が衝突して運転者が死亡した事故について、大型特殊自動車の運転者に過失があったとして、民法七〇九条の損害賠償責任が認められた事例
産婦が、出産直後に弛緩出血等を原因とする大量出血で死亡した事案につき、医師が不必要な陣痛誘発剤を投与したこと、その量が過剰であったこと、出血に対する措置としての輸血が不十分であったことが過失であるとして、その責任が認められた事例
1 労働者を常時粉じん作業に従事させることを目的とする雇用契約と使用者が労働者をじん肺に罹患させないための措置をとるべき使用者の履行義務及び労働者の履行請求権 2 坑内において削岩作業に従事した労働者のじん肺罹患について右労働者の実質的な使用者に債務不履行による損害賠償責任があるとされた事例 3 複数の債務不履行の競合と民法719条1項後段の類推適用 4 使用者行為災害の被災労働者が受給した労働者災害補償保険特別支給金支給規則に基づく休業特別支給金、傷病特別支給金及び傷病特別年金と逸失利益からの控除
《解 説》
高校生が仲間同士でドライブ中に死亡事故を起こし、死亡した同乗者の父母(Xら)が、同じく死亡した運転者の父母(Yら)に対し損害賠償を請求した事案。原審は、Xらの請求額の約三割を認容したが、Xらから控訴が提起され、Yらからも附帯控訴が提起された。本件の争点は、Xらは搭乗者傷害保険金...
連帯保証人について生じた時効の中断 (担保権の実行としての競売) が主債務者に効力を及ぼさず、主債務について時効が完成したので付従性から連帯保証債務も消滅したとされた事例
甲と乙が外国で麻薬を本邦内のA宛に郵送する旨共謀したのに、乙がこれを独占しようとして本邦内のB宛に郵送した場合における麻薬輸入罪の共同正犯の成否 (積極)
産業廃棄物処理場からの汚泥の流出により近隣住民が死亡し建物が汚泥に埋没した事故について、知事の産業廃棄物処理業者に対する指導監督権限不行使の違法があるとして国家賠償責任が認められた事例
原告Aの被告BCに対する請求ならびに参加人DのABCに対する各請求が合一にのみ確定すべき独立当事者参加訴訟において、AのBCに対する請求を棄却し、DのABCに対する請求をそれぞれ一部認容する旨の一審判決に対して、AがDの控訴に対する附帯控訴をしたにとどまる場合でも、控訴審は、合一確定に必要な範囲で、BCの関係においても、一審判決中D勝訴部分をDに不利益に変更することができるとされた事例
入院中の産婦が分娩中に低酸素状態が発生し、胎児仮死から新生児脳性麻痺に至った場合において、外出していてこれに即応できなかった産婦人科開業医の責任が認められた事例
一、運送人が高価品の種類及び価額の明告を受けなかったが高価品であること及びそのおおよその価額について漠然たる認識を有していた場合における商法五七八条の適用の可否 二、運送人の重過失に基づき美術品が紛失したとされた事例 三、不法行為責任への商法五七八条の類推適用の有無 四、赤帽運送業者がその所属する組合から「赤帽」なる商標の使用の許諾を受けてする営業が組合の名板貸しとはいえないとされた事例
盗品の近接所持の事実及び目撃者の識別供述がいずれも犯人と被告人の同一性を肯定するに足りる証拠価値を有しないなどとして、無罪が言い渡された事例
《解 説》
本件は、A会社が保険会社から二〇〇〇万円を借りるに当たって、A会社が控訴人Xと信用保証委託契約を結び、BはXに対し、同契約上の債務につき連帯保証した。その後A会社は昭和五五年九月二四日不渡処分を受け倒産し、Xは昭和五六年一一月二七日保険会社に一四二一万八一三三円の代位弁済をした...