一、重複して保険契約を締結しょうとする保険契約者にその事実の通知を義務付け、通知がなければ、保険会社に保険契約の解約権を与える旨合意された保険契約につき、右の通知がなかった場合でも、保険契約者等に保険制度を悪用する意図がなければ保険契約の解約はできないとされた事例
二、海外旅行中に溺死した者の夫らが、保険会社に対し保険契約に基づく死亡保険金の、旅行会社に対し補償契約に基づく補償金の各支払を求めた事案つき、右死亡事故の態様・原因には強い疑問が残るが、保険契約者・補償金受取人が故意に惹き起こしたと認めるには足りないとして、請求をいずれも認容した事例
一、財務会計上の行為が違法無効であることに基づいて発生する実体上の請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求期間は当該行為のあった日又は終わった日を基準に計算されるとされた事例
二、監査請求期間徒過について地方自治法二四二条二項の正当な理由がないとされた事例
時限装置を作動させて火炎弾を発射した行為について、共謀共同正犯に問われた被告人に対して、情況証拠を詳細に検討して、右装置の作製に関与したことは認めたが、共謀を認める証拠は不十分であるとして、火炎びん使用の幇助の成立を認めた事例
パブ店員の暴行により客が死亡した事故につき、客の粗野な言辞、挑発、受傷後の診療拒否を考慮して五割の過失相殺が認められた事例
1 原子炉施設の周辺住民は、原子炉設置許可処分の取消しを求める原告適格を有するとされた事例 2 原子炉設置許可処分取消請求訴訟において、審理・判断の対象となる事項は、原子炉施設の基本設計ないし基本的設計方針に係る安全性に関する事項に限られる 3 原子炉設置許可処分は裁量処分であるが、原子炉災害の重大性にかんがみ、右裁量権には行使上の制約がある 4 チェルノブイル発電所における放射能汚染事故が原子炉設置許可の際の安全審査の合理性の判断に影響を及ぼすものではないとされた事例 5 福島第2原子力発電所につき、内閣総理大臣がした原子炉設置許可処分が手続的にも実体的にも適法であるとされた事例
1 同時破産廃止の決定の確定から免責決定の確定までの間にされた強制執行による破産債権への弁済と不当利得の成否((1)事件) 2 同時破産廃止の決定の確定から免責決定の確定までの間にされた破産財団及び新得財産に対する強制執行による破産債権への弁済と不当利得の成否((2)事件)
被害者が約一年四か月の間に二回の交通事故にあった場合において、第二事故発生前に第一事故による症状が固定したとされ、第一事故の保険会社から被害者に対する不当利得返還請求が認められた事例
元津事件第二審判決 一、一連の糾弾行為という組織的行為の一環として、路上及び付近空地で糾弾行為をした者は、それより約一一〇メートル離れた路上の乗用車中にいて、脱出困難な状況にはあったが、直接糾弾行為を受けなかった者に対する関係でも共同不法行為の責任を負うとした事例 二、いわゆる糾弾権を内容とする違法性阻却事由の主張を排斥した事例
妊婦が出産のため入院中に、胎児が母体内で死亡した事案につき、その原因は胎児循環障害又は細菌感染症罹患であると推認して、医師に帝王切開術施行遅延の過失があったと判断された事例
1 訴訟上成立した和解につき、真実の当事者本人が関与したものでないとして、和解が無効とされた事例 2 弁論調書の証明力
《解 説》
一、判示事項一について
本判決は、労災保険法に基づく療養保障給付請求権は現物支給を原則とするもので、一身専属の権利であるとして、本人の死亡により当然消滅するとして、相続人からの不支給処分取消訴訟は不適法であるとした。最判昭42・5・24民集二一巻五号一〇四三頁(朝日訴訟)は生...
《解 説》
Xは司法書士であり、Y保険会社との間で司法書士賠償責任保険契約を締結していた。本件は、XがY社に対し、右保険契約に基づき、A社に損害賠償として支払った和解金一五〇〇万円の支払いを求めた事案であり、そのいきさつ及び争点等はおよそ次のとおりである。
Xの補助者Bは土地の所有者を名...
警察の広報行為として行われた特定人逮捕の記者発表及びこれを報道した新聞記者について名誉毀損の不法行為が成立しないとされた事例
元総理大臣の後援者の会合における演説の中で昭和二四、五年当時の日本共産党宮本委員長の活動に言及した発言が、名誉毀損に当たらないとされた事例