1 労働者が、社宅財形融資制度を利用して、会社、他の銀行、労働金庫から住宅資金を借入れ、右融資が判示のような約旨のもとになされている場合、会社が、労働者の同意のもとに、退職金等から右各借入金残額を控除したことは、労働者の退職金債権等と会社の融資金返還請求権、他の銀行、労働金庫に対する返済を委託されたことによる費用前払請求権等とを相殺(合意相殺)したものであり、労働者の完全な自由意思による同意があること、その他判示の理由から、労基法24条1項に反しないとされた事例
2 右合意相殺にかかる労働者の意思表示につき右労働者の破産管財人のした破産法72条1号の否認権の行使が認められなかった事例
3 右破産管財人による退職金等の支払請求及び独立当事者参加した右労働者自身による退職金等の4分の3の部分の支払請求等がいずれも棄却された事例
組合員の政治的活動が組合の統制を乱し、また組合及びその執行部に対する批判が組合の名誉を汚したものとする組合からの除名とこれを理由とするユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力がいずれも否定された事例
いわゆる広告付ポール式地名標識につきなされた道路占用許可申請に対して道路管理者がした不許可処分に裁量権の濫用、逸脱がないとされた事例
有効期間1年の定めのある農機具の販売代理店契約において期間満了3カ月前の当事者一方の終了告知によっても契約は終了しないとされた事例
都心の土地の買収に協力する団体から協力のための誓約書を取らずに1億5000万円の手形を振り出し交付しても、取締役の職務執行につき重大な過失があるといえないとされた事例
県が旧国鉄職員のみを対象として実施した採用試験につき、これが憲法14条等に違反する違法なものであるとして、県知事個人に対しその費用の内金10万円の損害賠償を求めた住民訴訟を不適法な訴であるとの理由で却下した事例
推計課税取消訴訟において、実額を主張して推計の合理性を争う場合には、その主張する実額が真実の所得額に合致することを合理的疑いを容れない程度に立証する必要があるとされた例
1 予防接種により被接種者が死亡し又は障害を受けたことにつき、国の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行責任並びに民法709条及び国家賠償法1条の各不法行為に基づく損害賠償責任が否定された事例
2 損害賠償請求に損失補償請求を併合することが許されるとされた事例
3 憲法13条、14条1項、25条1項及び29条の各条項の解釈上、憲法29条3項の規定の当然の含意として、予防接種被害に対する国の損失補償責任は肯認することができるとされた事例
4 予防接種被害に対する補償は、完全な補償であり、補償されるべき損失には、逸失利益、精神的苦痛が含まれるが、弁護士費用は含まれないとされた事例
5 予防接種法16条以下に規定された法的救済制度があることは、予防接種被害につき、損失補償をすることの妨げとはならないとされた事例
6 予防接種被害に対する国の消滅時効の援用は権利の濫用として許されないとされた事例
1 共犯者の自白の信用性が否定された事例
2 不作為による殺人幇助罪が成立するとされた事例
3 控訴審における事実取調べの終了間際にされた予備的訴因の変更請求が、訴因変更の時期的限界を逸脱しないとされた事例