1 真宗大谷派がその所属の僧侶に対して行った重懲戒7年の懲戒処分の無効確認請求は、法律上の争訟にあたり、裁判所は、同処分が手続上著しく適正を欠くと認められる場合その他一定の場合に限ってその適否について判断することができるとされた事例
2 真宗大谷派の最高位者たる「門主」の後継者である「連枝」の地位は、宗教上の地位にすぎず、また連枝に対して支給される連枝回付金(手当)には権利性が認められないことから、連枝たる地位を除く処分の無効確認請求は、確認の対象となるべき適格を欠き、却下されるべきであるとされた事例
1 種痘により障害が生じたことにつき、被接種者が種痘の禁忌者に該らず、種痘を行った医師の判定に誤りはないとして、国および市に対する国家賠償請求が棄却された事例
2 厚生大臣は本件種痘当時(昭和43年4月8日)、
(1) 種痘の定期強制接種を廃止して任意接種(あるいは勧奨接種)に改めるべき注意義務
(2) 初種痘年齢を生後1年以上に引き上げるべき注意義務
(3) 痘苗製造株を大連株からリスター株に切り替えるべき注意義務、 をいずれも負っていたとは認め難いとされた事例
3 国家賠償法1条1項の規定に基づく損害賠償請求に憲法29条3項および同法25条1項の各規定に基づく損失補償請求を控訴審において予備的、追加的に併合することは許されず、右予備的請求に関する訴えが不適法として却下された事例
1 中学校建設予定地の地盤改良設計及び造成工事に過失があるとして、市長に対する右設計及び工事をした会社に対する損害賠償請求権を行使しないことの違法確認を求める住民訴訟が棄却された事例
2 市が購入した中学校建設予定地に造成工事未了の瑕疵があるとして、市長に対する瑕疵担保責任に基づき土地の売主に代位して、売主の有する右土地の地盤改良設計及び造成工事を請負った会社に対する請負契約上の担保責任による損害賠償請求権を行使しないことの違法確認を求める住民訴訟が棄却された事例
株主総会の議長は、公正証書遺言により株式を取得した株主に対し、その有効性を疑うに足りる相当の理由がある場合には、議長権限によりその議決権の行使を拒否することができるとした事例
遺産である不動産につき共同相続人の一部の者が第三者に共有持分権を譲渡した場合と他の相続人の一部の者による共有物分割の訴えの適否(積極)
架空接待による違法な公金支出であるとして水道部幹部職員等に対し損害賠償を求める住民訴訟において、監査請求が地方自治法242条2項所定の期間を経過したことにつき正当な理由があるとは認められなかった事例
期間を1年とする私立高校非常勤講師の雇傭契約が右期間の満了により当然に終了し、且つこのことにつき権利濫用・信義則違反の法理を働かせる余地なしとされた事例
1 公共用財産が公共用財産としての形態機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続するも、そのため実際上公の目的が害されることもなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、黙示的に公用が廃止されたものとして取得時効の成立を妨げない
2 右基準に適合する客観的状況は、自主占有開始の時点までに存在していることを要する
1 会社が従業員の福利厚生団体に対してした支出が、法人税法上は支出時の属する事業年度の損金の額を構成しないとした事例
2 申告におけるたな卸資産の評価方法が、かねて届出の総平均法とは異なるとして、総平均法ではなく、最終仕入法により評価するものとされた事例
3 従業員が香港に2泊3日の慰安旅行をするに際し会社のした1人2万円宛の負担は、所得税法上課税されるべき給与の支払いに当たらないとした事例
1 協業組合の代表理事の地位は、一方的な辞任の意思表示により失われるが、右意思表示は、他に代表理事がいないときは、理事会に対してなすことを要する
2 右代表理事が任期満了又は辞任によって退任しても、新たに選任された代表理事が就職するまで、なお任務継続義務あるときは、代表理事就任登記について、登記事項の変更は生じない
3 右理事が、破産宣告確定によってその地位を失うのは、破産宣告確定の時である
4 右理事が、破産宣告確定により退任した場合は、任務継続義務はなく、直ちに代表理事就任登記の変更登記手続を求めることができる