1 いわゆる三角取引(業転取引)において引渡し(占有移転)があったと認められた事例
2 三角取引による売買の中間に介入した商社に対し、三角取引(業転取引)の事実を告知しなかったとしても不作為に基づく詐欺は成立しないとされた事例
乙が甲所有の車に甲を同乗させて走行中運転を誤って甲を負傷させた事故について乙に不法行為責任を認めたが、甲が同乗するに至った事情を検討し公平の見地から慰藉料減額事由として考慮した事例
契約上の代金債権が譲渡されたのちに、それと同時履行の関係にあった反対債権が不履行のため損害賠償債権に転化したときは、その損害賠償債権を自働債権とし代金債権を受働債権とする相殺は、代金債権譲受人に対抗することができる
抵当権が設定された土地上に建物を建築した第三者がその後右土地の所有権を取得した場合、抵当権者は、右建物についても民法389条に基づき競売権を取得することができるとされた事例
鮮魚類の取引が売買契約に該当するとしてなされた代金請求について、当事者双方はその取引内容につき十分確認しないまま、一方は売買であると思い込み、他方は販売委託であると思い込んで取引を行ってきたのではないかとの疑いもある等として、右請求を棄却した事例
被告人に確定的詐欺の犯意および明示的共謀共同正犯の成立を否定し、未必的詐欺の犯意および黙示的共謀共同正犯の成立を認定判断した第一審判決を肯認した事例
会社の主張する懲戒解雇の理由は、一応就業規則違反に該当すると認められるが、使用者である会社が懲戒解雇をなすに至った理由には、組合活動に対する嫌悪、組合に対する支配介入という不当労働行為意思の存在を認めることができるとして、従業員たる被控訴人(原告)らの従業員としての地位確認の請求が肯定された事例
定款に取締役の任期は就任後2回目の定時株主総会終結の時に満了する旨の定めがあるが、右定時総会の実質的決議がなされない場合の取締役の任期
1 中学校校舎2階窓からの生徒転落事故について、営造物の設置、管理に瑕疵があったとして国賠法上の責任が肯定された事例
2 治療の長期化につき、原告側に過失があるとして慰藉料の算定にあたり斟酌した事例
1 被害者が死亡当時安定した収入を得ており、生存しておれば将来昇給等による収入増加を相当の確かさで推定できるから予測し得る範囲で控え目に見積って将来の逸失利益を算出することが許されるとし、また、55歳(退職後)から67歳までの間は賃金センサスと対比して3段階に分け退職時の年収額の7割、6割、5割に相当する額を基礎に逸失利益を算定した事例
2 退職一時金も賃金の後払いの性格があるとして生活費を控除した事例
登記官が、委任状の登記義務者の印影と通知書の回答欄の印影が異なるのを看過して登記申請を受理したことに過失があるとして、国に対する損害賠償請求が認容された事例
債権者ポルシェ・アーゲー社(甲)が自動車の販売に使用する「ポルシェ」の表示・その欧文字表示・図形代表示が、その商品および営業活動の表示として著名であったとし、債務者がこれと酷似する標章を商品サングラスのフレームに付し、その販売のための広告・宣伝活動等に使用していることが、商品主体混同行為および営業主体混同行為に当たるとし、使用差止めの仮処分決定が認可され、甲社の許諾のもとに活動するポルシェ・デザイン社(乙)からの仮処分申請については、その根拠たるポルシェ・デザインの欧文字の表示が周知性を得ていなかったとして原決定取消しのうえ、却下された事例
弁護士報酬について一般宅地よりも低額になる要素をもった土地につき近隣基準地の公示価格をもって係争物の価格としたうえ、報酬規則を基本とし、事案の内容・難易、解決に要した時間・労力等の事情を勘案して算定した事例
名目上の取締役につき、その任務懈怠行為と第三者の被った損害(債権の回収不能)との間に因果関係が認められないとして、商法266条ノ3の責任を否定した事例
私鉄の駅構内で2社のタクシーが競合して営業している場合において、私鉄に対し2社のタクシーが交互に乗車稼働する機会を与えるよう命ずるとともに、1会社に対し営業活動妨害の禁止を命じた事例
1 不動産売買の仲介を依頼した買主が、仲介報酬の支払いを免れる目的で、売主と交渉中の仲介者をことさらに排除して、直接売主との間で売買契約を締結した場合において、仲介行為の内容、契約成立に至る経緯など諸般の事情を考慮し、報酬額を売買代金額の2パーセントとした事例
2 不動産売買の仲介を依頼した買主が、仲介報酬の支払いを免れる目的で、売主と交渉中の仲介者をことさらに排除して、直接売主との間で売買契約を締結した場合において、売主が直接取引きに応じたことが仲介者に対する不法行為を構成するものではないとされた事例