1 特許出願手続における補正書不受理処分に対し適法な異議申立てを経ていれば、右補正書の内容の説明の目的で、同日付で提出された意見書に対する不受理処分については、異議申立てを経ずに取消訴訟を提起しても、行政事件訴訟法8条2項3号にいう「正当な理由」があるというべく、不適法とはいえない
2 同日付提出の手続補正書、意見書につき、住所「広島」を「東京」に、審判請求人「佐竹利彦」を「株式会社佐竹製作所」とした誤記があったとしても、審判事件番号、代理人、住所氏名電話等が正しく記載されている以上、審判請求人の同一性の検討、その処理手続にさして困難はなく、誤記につき補正を命じその対応をまって受理の可否を決すべく、これを欠いた請求人相違を理由とする各書面の不受理処分は、出願人に重大な不利益を課するおそれがあり、違法である(取消)
1 選択的併合請求にかかる甲請求を認容した一審判決のうち、その付帯請求認容部分が不当であり、乙請求ではこれと同額の主請求および付帯請求を認めるべき場合と控訴審の裁判
2 詐欺による不動産売買の代金返還請求における不当利得ないし不法行為の関係
地方新聞社の再雇用嘱託が年末賞与計算期間に在籍していたがその支給日前に嘱託期間満了により退職した場合に、当該賞与の受給権を有しないとされた事例
公団住宅の入居者が公団および右住宅の譲受人に対して提起した賃貸借契約存否確認の訴えについて、確認の利益があるとされた事例
先取特権に基づく物上代位権を有する債権者が自ら目的債権を強制執行の手続により差し押えた場合であっても、他に競合差押債権者があるときは、配当要求の終期までに担保権を証する文書を提出して先取特権行使の申出をしない限り、優先弁済を受けることができないとされた事例
ドライブに行くため自宅の駐車場で自動車の運転席に乗り込んでエンジソを始動中、幼児を運転席のドアを開けて助手席に乗せようとして腰を捻って負傷した事故につき、保険約款上の「運行に起因する事故」にあたらないされた事例
児童(小学4年生)が本来の遊戯方法と異なる方法によって操作したブランコから転落負傷した事故について、ブランコの設置・保存の瑕疵、および管理者の過失が否定された事例
「コザック」の文字からなる被告の登録商標(指定商品第22類はきもの等)は、「コザッキー」の文字からなる先願登録商標に、観念、称呼において類似し、誤認混同のおそれがあるとして、無効審判請求を棄却した審決を取り消した事例
ビデオレンタル業者に対する、ビデオの無断複製による販売・有償貸与の差止請求および損害賠償請求が、映画著作物の著作権に基づき、認容された事例
1 分譲マンションの共用部分の管理費用の負担につき全共有者の過半数で決議された場合には建物区分所有法旧規定13条1項(新法18条)により各区分所有者は原則として右決議どおりの管理費用支払義務を負う
2 玄関ホール、階段室、エレベーター室、管理人室等が建物区分所有法旧規定4条1項但書(新法11条1項但書、3条後段)にいう一部共用部分ではなく、全体共有部分であるとされた事例
3 マンションの分譲者のためにその敷地、外壁の一部、屋上、塔屋等について設定された専用使用権の特約が公序良俗に反しないとされた事例
逋脱税額の合計が1億1,700万円余りの物品税逋脱事案について行為者を懲役1年の実刑に処した一審判決が維持された事例
不正競争防止法1条1項1号にいう商品主体混同行為の成否は、当該商品取引の実情に鑑み、取引者・需要者が両表示の外観、称呼、観念から、両表示を全体として類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断すべきであるとし、商品ウイスキーに使用する「ゴールデン・ホース」の表示およびその英語表示ならびに図形表示が、ウイスキーについての著名表示である「ホワイト・ホース」とその英語表示、図形化表示と何れも類似していないものとした原審判断を維持した事例
断行の仮処分が執行された場合であっても、本案提起前に仮処分申請が取り下げられたときは、民訴法115条3項にいう「訴訟ノ完結」にあたるとされた事例
交通事故の加害者および被害者の権利義務を同一人が相続した場合、被害者から相続により承継した損害賠償債権は混同により消滅し、被害者の相続人から保険会社に対する自動車損害賠償保障法16条1項に基づく直接請求が許されないとされた事例
被害者の頭部打撲、頚部捻挫の受傷は本件事故との間に因果関係があるが、4か月後には局部に神経症状を残す程度の後遺症を残して症状固定しており、これらの事故による傷害は、事故前の既応症であるメニエール症候群および事故後の私病とは区別して認定できるとした(いわゆる原因競合ではなく混在として取扱った)事例
1 事故を原因とする後遺症の内容程度を詳細に認定したうえ、症状固定後の治療費および鍼灸院での治療費は賠償を求めうべき損害とは認められないとした事例
2 被害者の受けていた報酬のうちには利益配当分を含んでいるから全てを労務の対価とすることはできずその区分も不明確であって結局逸失利益算定の基礎としては客観的な指標である大卒者の平均給与額によるのが相当であるとした事例
靴底材料の加工販売業を営む個人企業主の企業に対する個人的寄与に基づく収益部分は、別件の交通事故の加害者側との間の示談で合意された休業損害月額30万円をもって相当であると認めた事例
建物について所有権の登記がされたことにより表題部に記載された所有者の表示が朱抹されたときは、右所有者の表示の抹消登記手続を求める訴えは、訴えの利益を欠く不適法なものとなるとされた事例