1 左小指挫創、伸筋腱断装、右胸部打撲症の各傷害は本件交通事故によるものであるが、左腕部疼痛は受傷の部位、程度、発症時期等からみて本件事故とは因果関係がないとした事例
2 保険会社からの手当は被害者の収入源として把握することができるが、その余の業務による収入は直ちに逸失利益算定の基礎とすることはできないとして、全体として同年代平均賃金によるのが相当であるとした事例
被害者の第五、六頚椎変形性頚椎症および外傷性頚腕症候群の症状はただ一度の外傷によって発現するものではなく本件交通事故以外の原因も競合して発生しているとして右症状に対する本件事故の寄与率を8割と認め損害額を算定した事例
1 侵害訴訟裁判所が、請求の根拠たる考案が公知技術から容易推考できた無効のものであることを前提として技術的範囲を明細書掲記の実施例の示す構造に限定して解釈することは許されない 2 実用新案権の侵害につき、イ号製品の販売価格の5パーセントを実施料相当額として損害賠償を認容した事例
1 厚生省援護局の身上調査票の記載の誤りを理由とする慰藉料および謝罪広告の請求が認められなかった事例
2 他人の保有する個人情報に誤りがあり、そのことにより社会生活上不利益ないし損害を被る高度の蓋然性があるなど判示のような事情がある場合には、右個人は、人格権に基づいて右誤りの抹消ないし訂正を請求することができる
地方鉄道法21条は鉄道利用者の利益を具体的な法的利益として保護していないので、右利用者は同鉄道の特急料金変更認可処分を争う原告適格を有しないとされた事例
名目的にすぎない有限会社の取締役につき、代表取締役の横領行為を監視する義務懈怠はなかったとして第三者に対する責任が否定された事例
1 国民金融公庫と受託金融機関との間に締結された代理貸付に関する代理業務契約の受託金融機関の保証に関する8条の規定は、代理貸付金に対する受託金融機関の50パーセントの保証を定めたものであって、その100パーセントの保証を定めたものではないとされた事例
2 国民金融公庫の代理貸付における受託金融機関が代理貸付先の自己に対する預金債権を差し押えられたのちに国民金融公庫に対し保証割合である50パーセントを超えて代理貸付残金の全額を代位弁済した場合、右代位弁済金のうち右50パーセントを超える部分は右代理業務契約8条3項後段のいわゆる回金義務の履行として代位弁済されたものではないから受託金融機関がこれを代位弁済したことにより代理貸付先に対して取得する権利は民法511条にいう「差押後に取得された債権」に当たることが明らかであるとして、受託金融機関が右の権利を自働債権として代理貸付先の右被差押債権と相殺することは許されないとされた事例
高齢者の転倒による右足関節脱臼骨折等の傷害につき、保存的療法を採用したのが相当であるとして、診療関与医の責任が否定された事例
方法の特許権侵害が認められ、その方法を侵害した被告装置によって製造された商品販売額の3パーセント相当の損害賠償請求が認容された事例
貸金業者が、借主名義の借用証書、委任状、権利証、印鑑証明書等を所持しているにかかわらず、金員授受があったとは認められないとして金銭消費貸借契約の成立が否定された事例
労働組合に対する不当労働行為の解決金名下に当事者の企業ではなくそのいわゆる背景資本に対し金員の交付を要求した行為が社会的相当性を具備するものではないなどとされた事例
免責条項は例外規定であるから厳格に解釈すべきであり、同条項中「飲酒運転中の事故」とは酒に酔って正常な運転ができないおそれのある状態で運転されたときの事故と解すべきで、昭和56年約款で「法令に定める酒気帯び運転」と表現が変更されたことにより前記解釈を変更する必要はなく、「酒に酔って正常な運転ができないおそれのある状態」とは単に呼気濃度のみでなく、普段の飲酒量、事故前の運転状況等諸般の事情を考慮して綜合的に判断すべきであるとしたうえ、本件では条項該当の状態にあったとはいえないとした事例