競落土地所有者の自力救済による右土地上の建物の取り毀しにつき、右建物の仮登記担保権者よりの慰藉料請求を認容した事例(10万円)
1 課税処分の前提となる税務調査手続の違法は、違法性の程度が刑罰法令に触れたり、または公序良俗に反する程度に至ったような場合を除き、課税処分の取消事由とはならないとした事例
2 税務調査にさいして、当該係争事業年度の事業を調査対象とする旨告知していなかったとしても、特定年度の事業についての調査の承諾には、右特定年度と相前後する年度の事業に対する調査への受忍の意思も含まれるから違法はないとした事例
1 長尾鶏は、著作権法2条1項1号に定める「著作物」に該当するか(消極)
2 長尾鶏を飼育する者が、長尾鶏の写真を撮影し、これを販売する者に対してなした著作権侵害を理由とする損害賠償請求訴訟の提起(後に請求放棄により終了)が右撮影・販売者に対する不法行為にあたらないとされた事例
金融機関が、資金繰りに困窮している顧客に対し不良債権144万円の重畳的債務引受を条件として500万円を融資して直ちに右144万円の支払いを受けた場合に、右債務引受は民法90条に反して無効であり、右消費貸借は実質貸付額356万円と約定利息および損害金を定めた限度において効力を有するとされた事例
両眼に既に視力障害のあった者が事故により一眼につき視力障害の程度が重くなったときは、労働能力喪失率表を利用するにあたっては事故前と事故後の両眼の状態の差を労働能力喪失率とみなすべきである
個人企業を退職した従業員らが新会社を設立したうえ、その得意先に対し右企業を承継したかの如き通知を出して取引を開始し、かつ、右企業が占有使用していた工場および機械を占拠使用してその営業を妨害したことが共同不法行為にあたるとされた事例
患者が急激な喘息発作により受診中に心不全死した事故につき、診療関与医師に救急医療措置の懈怠がないとして請求が棄却された事例
「黒田りよう」と記載された投票は石原瞭候補者に対する投票として無効であり、「前田」、「上田栄太郎」と記載された投票は太田栄太郎候補者に対する投票として有効であるとされた事例
個室付浴場業の営業を阻止することを主たる目的としてされた県当局の児童遊園設置認可処分、営業停止処分及び経営者の逮捕等が違法な公権力の行使にあたるとして、県に対する国家賠償請求が認められた事例
被害車両が、まず道路左端ガードロープに接触し、続いて先行の大型トレーラー左後部に追突し、その衝撃により後方に押し戻され、さらに右にハンドルを切った状態で進行して停止状態となったとき加害車両が衝突してきて被害車両の運転者が死亡した事故について、加害車両の衝突は死亡原因といえるが、トレーラーとの衝突のさいの衝撃の方向と死因とを対比し証明度に応じ被害車側の損害のうち80パーセントの割合で加害車両の衝突と相当因果関係があるとした事例
1 交通事故の発生について、加害者に転回禁止場所で後方の安全不確認のまま急転把して転回した過失が、被害車両の運転者Aには前方不注視と超過速度運転の過失があるとして、過失割合を加害者について85パーセント、Aについて15パーセントとした事例
2 被害者が友人から自動二輪車を借り受け、往路は被害者が運転して行ったが、帰路Aに運転させ被害者が後部座席に同乗していたさい起った交通事故について、Aの前記一の過失はいわゆる被害者側の過失として評価できるが、右事情を考慮し被害者の損害について過失割合として5パーセントを減額するのが相当であるとした事例
1 左小指挫創、伸筋腱断装、右胸部打撲症の各傷害は本件交通事故によるものであるが、左腕部疼痛は受傷の部位、程度、発症時期等からみて本件事故とは因果関係がないとした事例
2 保険会社からの手当は被害者の収入源として把握することができるが、その余の業務による収入は直ちに逸失利益算定の基礎とすることはできないとして、全体として同年代平均賃金によるのが相当であるとした事例
被害者の第五、六頚椎変形性頚椎症および外傷性頚腕症候群の症状はただ一度の外傷によって発現するものではなく本件交通事故以外の原因も競合して発生しているとして右症状に対する本件事故の寄与率を8割と認め損害額を算定した事例
1 侵害訴訟裁判所が、請求の根拠たる考案が公知技術から容易推考できた無効のものであることを前提として技術的範囲を明細書掲記の実施例の示す構造に限定して解釈することは許されない 2 実用新案権の侵害につき、イ号製品の販売価格の5パーセントを実施料相当額として損害賠償を認容した事例
1 厚生省援護局の身上調査票の記載の誤りを理由とする慰藉料および謝罪広告の請求が認められなかった事例
2 他人の保有する個人情報に誤りがあり、そのことにより社会生活上不利益ないし損害を被る高度の蓋然性があるなど判示のような事情がある場合には、右個人は、人格権に基づいて右誤りの抹消ないし訂正を請求することができる
地方鉄道法21条は鉄道利用者の利益を具体的な法的利益として保護していないので、右利用者は同鉄道の特急料金変更認可処分を争う原告適格を有しないとされた事例