売却許可決定前に解除の裁判により消滅している短期賃借権に基づいて建物を占有している者は、民事執行法83条にいう「差押えの効力発生前から権原により占有している者でないと認められる不動産の占有者」に準じて取り扱うべきである
会社代表者が英会話教材等の販売員の募集であることを秘し、同社が有力企業の子会社であるかのような虚偽の表現を含む「男女正社員募集」の新聞広告をなし、応募者に対し5日間の講習の末はじめて販売員の募集であることを明らかにして同委託契約の締結を余儀なくさせた等の募集方法が、著しく信義に反する違法なものとして、会社に対し不法行為による損害賠償の責任ありとされた事例
1 相続開始前における将来相続財産となるべき特定の財産に関する持分の条件付放棄契約が無効とされた事例
2 不当利得返還請求権の消滅時効の援用が信義則に反し許されないとされた事例
3 不当利得返還請求金額の算定にあたり、貨幣価値の変動に従った評価換えをすることが相当ではないとされた事例
起訴休職処分にされた職員について、その後起訴事件が第一審で無罪となった(ただし控訴あり)後も、公務上復職させる必要性を判断のうえ、右処分を取り消さないことに違法がないとされた事例
米軍の通信用基地内に侵入した児童が高圧線の鉄塔に接触感電して死亡した事故につき、右鉄塔およびその関係防護施設の設置または管理に瑕疵があったとはいえないとされた事例
訴外会社は被害者のいわゆる個人企業であってその売上高の2割は被害者の収入であり会社の減収分を損害であるとし、予備的に訴外会社からの役員報酬および個人としての不動産取引による利益を失ったとする主張をすべて排斥し、同年令の平均収入を基礎として逸失利益を算定した事例
被告会社は自己所有の普通貨物自動車を自社修理担当従業員Aに貸与し管理させていたところ、Aが友人Bに同車の運転を委ねてこれに同乗して帰宅した後、Bが勝手に同車を運転して起した交通事故について、被告会社はAに同車を私用に使うことを黙認しており、AもBに対し同車の使用を容認していたものとして、被告会社に同車両に対する運行供用者責任を認めた事例
信用組合が、資金繰りに追われている会社経営者に500万円を貸し付けるにあたり、回収困難な他人の債務144万円を引き受けさせてその支払いを受けるなど、判示のような事情のもとにおいては、右債務引受契約は独禁法19条、民法90条に違反して無効であり、かつ、右貸付契約中、実質貸付額356万円とこれに対する約定利息・損害金を超過する部分の約定は、民法90条に違反して無効であるとされた事例
1 地方自治体の財産取得についての議会の議決と民法127条、130条の条件(消極)
2 地方自治体の財産取得の仮契約にあたり、契約につき議会の議決がなければ効力を生じないことを説明しなかったことは違法ではないとした事例
賃貸家屋の損傷による賃貸人の蒙った損害賠償の範囲につき、その修復費用に当該家屋の耐用年数を考慮して減額した額および、第三者に賃貸できなかったことによる賃料相当の損害を3ヶ月に限定して、相当因果関係があるとした事例
被告が、原告の取引先に、原告販売にかかるイ号物件が訴外人の特許権を侵害するという虚偽の事実を葉書で通知したことが、不正競争防止法1条1項6号の営業中傷行為に当たり、原告の営業上の利益を害したとして、差止請求および弁護士費用と鑑定料相当の損害賠償請求が認容された事例
人口ダイアモンドの製造に関する特許権侵害の成否 (A)明細書に発明の構成についての一般的な説明が欠けている場合には、実施態様または実施例の説明を参酌して技術的範囲を解釈すべきであるとし、結局、被告の人工ダイアモンド製造装置は原告の特許発明の技術的範囲に属せず、特許権侵害が成立しないとされた事例 (B)1 明細書のごく一部に、特許請求の範囲を含むその余の大部分の記載と矛盾する記載があって、全体を統一的に理解することが不可能である場合には、右の、ごく一部の記載は余事的記載とみて、全体を解釈するほかない 2 被告方法が触媒の添加時、圧力条件等の点から、原告の合金発明または単体発明の技術的範囲に属する方法を実施してダイアモンドを製造したものとはいえないとして、権利侵害を否定した事例 3 権利侵害とならないとされた被告の行為について、警告状を送付したり、通産省に申入れたり、提訴した原告の行為が、一応合理的な判断のもとになされたもので、不法行為にはあたらないとされた事例 (C)特許法104条の推定を破るためには、権利主張の発明との対比に必要な程度に異なる生産方法の特定・認定ができればよいとし、その技術的範囲に属しないとして、被告製品の輸入販売行為の特許権侵害が否定された事例