起訴休職処分にされた職員について、その後起訴事件が第一審で無罪となった(ただし控訴あり)後も、公務上復職させる必要性を判断のうえ、右処分を取り消さないことに違法がないとされた事例
米軍の通信用基地内に侵入した児童が高圧線の鉄塔に接触感電して死亡した事故につき、右鉄塔およびその関係防護施設の設置または管理に瑕疵があったとはいえないとされた事例
訴外会社は被害者のいわゆる個人企業であってその売上高の2割は被害者の収入であり会社の減収分を損害であるとし、予備的に訴外会社からの役員報酬および個人としての不動産取引による利益を失ったとする主張をすべて排斥し、同年令の平均収入を基礎として逸失利益を算定した事例
被告会社は自己所有の普通貨物自動車を自社修理担当従業員Aに貸与し管理させていたところ、Aが友人Bに同車の運転を委ねてこれに同乗して帰宅した後、Bが勝手に同車を運転して起した交通事故について、被告会社はAに同車を私用に使うことを黙認しており、AもBに対し同車の使用を容認していたものとして、被告会社に同車両に対する運行供用者責任を認めた事例
信用組合が、資金繰りに追われている会社経営者に500万円を貸し付けるにあたり、回収困難な他人の債務144万円を引き受けさせてその支払いを受けるなど、判示のような事情のもとにおいては、右債務引受契約は独禁法19条、民法90条に違反して無効であり、かつ、右貸付契約中、実質貸付額356万円とこれに対する約定利息・損害金を超過する部分の約定は、民法90条に違反して無効であるとされた事例
1 地方自治体の財産取得についての議会の議決と民法127条、130条の条件(消極)
2 地方自治体の財産取得の仮契約にあたり、契約につき議会の議決がなければ効力を生じないことを説明しなかったことは違法ではないとした事例
賃貸家屋の損傷による賃貸人の蒙った損害賠償の範囲につき、その修復費用に当該家屋の耐用年数を考慮して減額した額および、第三者に賃貸できなかったことによる賃料相当の損害を3ヶ月に限定して、相当因果関係があるとした事例
被告が、原告の取引先に、原告販売にかかるイ号物件が訴外人の特許権を侵害するという虚偽の事実を葉書で通知したことが、不正競争防止法1条1項6号の営業中傷行為に当たり、原告の営業上の利益を害したとして、差止請求および弁護士費用と鑑定料相当の損害賠償請求が認容された事例
人口ダイアモンドの製造に関する特許権侵害の成否 (A)明細書に発明の構成についての一般的な説明が欠けている場合には、実施態様または実施例の説明を参酌して技術的範囲を解釈すべきであるとし、結局、被告の人工ダイアモンド製造装置は原告の特許発明の技術的範囲に属せず、特許権侵害が成立しないとされた事例 (B)1 明細書のごく一部に、特許請求の範囲を含むその余の大部分の記載と矛盾する記載があって、全体を統一的に理解することが不可能である場合には、右の、ごく一部の記載は余事的記載とみて、全体を解釈するほかない 2 被告方法が触媒の添加時、圧力条件等の点から、原告の合金発明または単体発明の技術的範囲に属する方法を実施してダイアモンドを製造したものとはいえないとして、権利侵害を否定した事例 3 権利侵害とならないとされた被告の行為について、警告状を送付したり、通産省に申入れたり、提訴した原告の行為が、一応合理的な判断のもとになされたもので、不法行為にはあたらないとされた事例 (C)特許法104条の推定を破るためには、権利主張の発明との対比に必要な程度に異なる生産方法の特定・認定ができればよいとし、その技術的範囲に属しないとして、被告製品の輸入販売行為の特許権侵害が否定された事例
競落土地所有者の自力救済による右土地上の建物の取り毀しにつき、右建物の仮登記担保権者よりの慰藉料請求を認容した事例(10万円)
1 課税処分の前提となる税務調査手続の違法は、違法性の程度が刑罰法令に触れたり、または公序良俗に反する程度に至ったような場合を除き、課税処分の取消事由とはならないとした事例
2 税務調査にさいして、当該係争事業年度の事業を調査対象とする旨告知していなかったとしても、特定年度の事業についての調査の承諾には、右特定年度と相前後する年度の事業に対する調査への受忍の意思も含まれるから違法はないとした事例
1 長尾鶏は、著作権法2条1項1号に定める「著作物」に該当するか(消極)
2 長尾鶏を飼育する者が、長尾鶏の写真を撮影し、これを販売する者に対してなした著作権侵害を理由とする損害賠償請求訴訟の提起(後に請求放棄により終了)が右撮影・販売者に対する不法行為にあたらないとされた事例
金融機関が、資金繰りに困窮している顧客に対し不良債権144万円の重畳的債務引受を条件として500万円を融資して直ちに右144万円の支払いを受けた場合に、右債務引受は民法90条に反して無効であり、右消費貸借は実質貸付額356万円と約定利息および損害金を定めた限度において効力を有するとされた事例