拒絶理由通知として、引用例をあげ、特許法29条2項(容易推考)に該当する旨示されていれば、通常は同法1項3号(同一発明)該当とする場合に改めて拒絶理由通知を要しないとする取扱いも許容されるが、同一発明とみられる理解が容易でない特段の事情があるときは、改めて拒絶理由通知を要し、これを欠いた審決は違法であるとされた事例
1 指定商品を紅茶、コーヒー、ココア、コーヒー飲料、ココア飲料とする文字「GEORGIA」(ジョージア)なる商標は、指定商品の産地を普通に表示する標章のみからなるものであるとして、登録拒絶審決が維持された事例 2 商標法3条2項により商標登録を受けることができるのは、特別顕著性の要件を充足する特定の商品のみを指定商品とする場合に限られる 3 商標登録出願の指定商品の一部に登録要件を欠くものがあれば、その商標出願は全体として登録を受けることはできない
小学校1年の女児が、通学路を下校中に豪雨のため増水していた側溝に転落して溺死した事故につき、道路の設置または管理に瑕疵がないとされた事例
鉄筋コンクリート5階建建物の3ないし5階部分の所有者が、同所有部分を右建物の1、2階部分および敷地の所有者に売却交渉中であったところ、右建物の1階部分を賃借して中華料理店を経営している者であって、かつ、前記事情を知っている者の求めに応じて、右建物の3、4階部分を、中華料理店の宴会用座敷として使用させるために、当初期間2か月(その後、1年に延長)、賃料1か月金10万円(その後、12月、1月の両月を除いては、1か月金4万円に変更)で貸与した契約が、一時使用のための賃貸借契約であり、借家法の適用はないとされた事例
航空大学校の訓練機の墜落事故により死亡した学生の遺族が、同乗していた指導教官の過失を理由に国に対してなした国家賠償法1条1項による損害賠償請求が認容された事例
高所から転落して頭部外傷等の傷害を負った児童がその3日後脳死状態となって死亡した事故につき、当初その経過観察をし脳浮腫症状の増強を認めて転送した医師およびこれに対し開頭術を行わなかった医師のいずれにも過失がないとされた事例
佐藤登市という氏名の候補者がいる町議会議員選挙において町内で名の知られた佐藤東一なる実在人と同一の氏名の記載された投票が右候補者に対する有効投票と認められた事例
停車車両の運転者が十分後方の安全を確認することなく開扉したため右側を通過しようとした自転車に扉を衝突させ転倒死亡させた事故について、被害者が片手運転をしていた事実は過失相殺の事由とすることはできないが慰藉料算定上考慮するのが相当であるとした事例
被害者は高卒後現在まで就職していて収入を得ており後遺症により金銭的損害を受けているとはいい難いが、長期的にみた場合不利益を受ける可能性があるとして就労可能時以降就労可能期間を通じて労働能力の30パーセントを喪失したものと認め平均収入を基礎として逸失利益を算定した事例
無効審判請求人が無効事由としてあげた公然実施に関する証拠について、当該技術が当然企業秘密に属し、企業がその秘密をいたずらに公開しないことが社会通念であるとして、その証拠証明力を否定した審決は不当であるとして、これを取り消した事例
無効審決取消訴訟係属中に訂正を認める審決が確定しても、訂正された発明に対する、同一引用例を根拠とする容易推考の結論に変りがない限り、審決に違法はないとして、特許無効の審決が維持された事例
審査官が拒絶理由を通知することなく、登録異議申立人が証拠をあげて異議事由としていない実用新案法3条2項(容易推考)を根拠に拒絶査定をしたのは違法であるが、出願人が審判手続においてその違法を主張しなかった以上、責問権の放棄により、審決取消訴訟の段階において、取消事由として主張することは許されない
意匠にかかる物品自体の取引が特定の範囲の業者に限られるものであるから、これらの範囲における需要者の購買・選択を念頭において出願意匠の識別性を判断すべきであるとして、単に引用意匠と類似するとして登録を拒絶した審決を取り消した事例
仮登記担保権者が既に本登記を経ていたため負担した公租公課、並びに、仮登記担保権者が目的土地保全のため支出した不法占拠者排除に要した費用は、債務者が受戻請求に際し提供すべき債権等の額に含まれる
質権者甲が、債権質権に基づいて第三債務者乙から直接保険金を取り立てた場合、保険事故が被保険者丙の故意によってひき起こされたものであって、乙に保険金支払義務がないときは、甲と乙との間に不当利得が成立するとして、乙の甲に対する不当利得返還請求が認容された事例
会社のために手形割引をする権限を付与されていた監査役が、会社の代理人として信用金庫から600万円を借り受ける旨の貸金契約を締結した場合、右金庫において右監査役に代理権があると信ずるにつき重大な過失があったとして、民法110条の表見代理の成立が否定された事例