単行本出版と他社による文庫本化との関係 先行出版社の契約が単なる出版の許諾にすぎない場合であっても、他の出版社は先行出版社の立場を尊重して3年程度は同一著作物の出版を差し控えることが望ましいとされ、当該著作物を出版するときには先行出版社の了解ないし見返りの提供を前提とする一応の慣行が出版界にあることは認められるものの、慣習法又は事実たる慣習として定立していないとして、単行本による先行出版社から他社による文庫本化出版が出版権侵害に当たるとして提起された他社及び原著作権者を相手方とする差止請求、損害賠償の訴えが却けられた事例
懲戒解雇により会社従業員たる地位を喪失した期間について、会社が支払った地方税・社会保険料(健康保険、厚生年金保険)の立替払いが、不当利得として、その返還が認められた事例
1 特許庁における審判請求事件において、原告が提出した意見書および手続補正書を一括して不受理とし、その旨の通知が1通の書面でされている場合、手続補正書のみを特定して異議申立てを行っている以上、意見書の不受理は容認しているとみる外なく、代理人の過誤に基づくものであっても行政事件訴訟法8条2項3号に規定する裁決を経ないことにつき正当な理由があるものとは認められないとして、異議申立ての手続を経ていないことを理由に不受理処分の取消を求める訴が不適法として却下された事例 2 審判請求人の住所「広島」を「東京」に、氏名「佐竹利彦」を「株式会社佐竹製作所」と表示した手続補正書を、「請求人相違」の理由で不受理にした特許庁の処分が相当であるとして、不受理処分取消の訴が却けられた事例
履行補助者による大型プロジェクトの契約締結準備交渉の結果、契約が締結にまで至らなかった事案につき、 (1)「契約締結上の過失責任」が、原告主張の約8ケ月間の右履行補助者の各種の行為につき、所謂契約締結上の過失責任における注意義務違反が存したか否か、及び原告主張の右各種行為により原告が信じたとする契約成立の見込み、を遂次検討の末、排斥し、 (2)右履行補助者の契約締結準備交渉が上司の決裁をうることなく継続したことにつき不作為による不法行為を肯定して、使用者責任を認容した事例
1 国税犯則取締法上の犯則嫌疑者に対する質問調査の手続と憲法38条1項の規定による供述拒否権の保障
2 国税犯則取締法上の犯則嫌疑者に対する供述拒否権の告知と憲法38条1項
1 当事者間の約定に基づき、期間の定めのない通行地役権の設定登記手続義務を認めた事例
2 登記を具備する土地賃借権が背信的悪意者に該るとして、未登記の通行地役権に基づく右土地賃借権設定登記の抹消登記手続請求を認容した事例
航海中の遠洋鮪漁船に補給された燃料油や食料等の代金債権がわが国において船舶所有者が締結した契約に基づいて生じたものである場合に右債権が商法842条6所定の債権にあたるとされた事例
1 柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準を定めた厚生省保険局長通知(昭和33年保発第64号及び同53年保発第14号)が、健康保険法(昭和55年法律第108号による改正前のもの)43条ノ9第2項により療養に要する費用の額の算定方法を定めた厚生省告示(昭和33年厚生省告示第177号)によって算定される額を一応の基準としており、かつ、内容的にも同法44条ノ2第1項の規定の趣旨に適合した合理的なものであるとして、神奈川県知事が右通知に従ってした柔道整復師の施術に係る療養費の支給額決定が適法とされた事例
2 神奈川区長が国民健康保険法(昭和55年法律第108号による改正前のもの)54条3項による裁量権に基づいて柔道整復師の施術に係る療養費の算定方法として合理性を有する右保険局長通知を適用してした柔道整復師の施術に係る療養費の支給額決定が適法とされた事例
3 柔道整復師の施術と医師の治療とを同一に取り扱うことは適当ではなく、柔道整復師の施術について医師の治療に適用される前記厚生省告示とは異なる療養費の算定基準を設けることに合理性があるとした事例
4 前記保険局長通知は協定料金を実施している協定団体に所属している柔道整復師のみに適用されるものではないとした事例
「コンピュータランド」という名称が、フランチャイズシステムを展開してパソコン、ソフトウェア等の販売等を営む米国法人である原告の営業表示として日本国内においても周知であったとし、「コンピュータランド北海道」「コンピュータランド」等の類似表示を使用する被告の行為が不正競争防止法上の営業主体混同行為に当たり、また原告商標権の侵害にもなり、原告の営業活動に重大な損害をもたらすおそれがあるとされ、差止請求の仮処分申請が認容された事例
副都心地区に近い住居地域における日照妨害を理由とする3階建建物の一部撤去の請求が棄却され、損害賠償請求が一部認容された事例
昭和52年5月出生の未熟児の失明を理由とする同網膜症訴訟事件につき、病院医師の酸素投与、型の診断及び眼底検査の実施等に義務違背がないとされた事例
右母指腱鞘炎の治療としてなされた薬剤の投与につき、右耳難聴との間に事実的因果関係もなく、また、処置上の不適切も認められないとして、開業医の責任が否定された事例