1 食用油の製造工程においてPCBを主成分とする熱媒体(カネクロール)が混入した食用油を摂取したことにより生じた被害につき、油製造業者の代表取締役、熱媒体製造業者および国に対し、いずれも不法行為責任が認められた事例
2 有機的組織体としての企業自体が不法行為責任を負う場合に、その代表取締役に代理監督者責任を認めた事例
3 農林省係官の厚生省等への通報懈怠及び鑑定上の過誤が違法であるとして、国に対し全被害の3割につき国家賠償法上の責任が認められた事例
集中豪雨により山林が崩壊して発生した人身災害につき、県知事と市長に防災行政の怠慢があったとして国賠法1条1項の損害賠償責任が認められた事例
特定の型式を有する商品の部品(卓上型ポットの蓋と把っ手)をその特定の型式に合わせて製造納入する下請業者が当該部品を作り過ぎたことにより被った損害について、民法536条2項の法意を準用して親企業者にこれを負担させた事例
推定相続人廃除の審判前にその推定相続人の持分を差押えた債権者に対して、相続財産の受遺者は、その遺贈による取得を登記なくして対抗することができるか(積極)
一般には建設機械の所有権留保の有無の調査義務が強く要求される場合のある金融業者が当該機械を担保に供されあるいはこれを買い受けるにつき、その相手方に対し質問するなど以上に調査すべき義務はないとされた事例
銀行が船会社から、抵当物件である砂利採取船の権利証と船舶の検査合格証を取り上げ、第三者に融資してその船舶を別用途に供する計画をたて、代物弁済予約を原因とする所有権請求権仮登記を受け、第三者をしてその船舶を回航させその鍵を取り上げるような事実があるときは、銀行がその船舶を代物弁済としその船舶に付けられた抵当権の被担保債権を消滅させたものとみるのが相当であるとされた事例
国税調査官が、税務調査のため店舗に臨場し、不在を確認する目的で、内扉の止めがねを外して作業場内に入ったことが、国賠法1条1項上、違法な職務の執行にあたるとした事例
会社の従業員制度として、中途入社社員につき、最初は見習社員として採用し、次いで試用社員、さらに社員登用試験を経て、正社員となるとしている場合に、社員登用試験の不合格を理由として、試用期間中の社員として通常解雇することは解雇権の濫用にあたるとされた事例
重症てんかん患児に対し定位脳手術による視床内髄板破壊術を決定・施行した医師らの診療に関する過失及び国病院の責任が否定された事例
債権の一部についての代位弁済により代位者が債権者と根抵当権を準共有するに至ったが、その後右代位者の債権が消滅したときは、右債権者は、右根抵当全部について優先権を行使することができるとされた事例
有限会社の名目的平取締役に対する第三者からの損害賠償請求につき、右取締役に職務懈怠はあるが重大な過失が認められないし、仮に、これが認められても損害と右過失間には相当因果関係が認められないとして棄却した事例