女性が男性に妻のあることを知りながら情交関係を結んだとしても、情交の動機が主として男性の詐言を信じたことに原因している場合で、男性側の情交関係を結んだ動機、詐言の内容程度及びその内容についての女性の認識等諸般の事情を斟酌し、女性側における動機に内在する不法の程度に比し、男性側における違法性が著しく大きいものと評価できるときには、貞操等の侵害を理由とする女性の男性に対する慰藉料請求は、許される。
権利能力なき社団の代表者(会長)名義で登記された社団所有の建物に対し、右会長に対する債権を被保全権利としてした仮差押え執行が、「社団は代表者個人の名義のままで第三者に対してその権利を対抗できる」として排除された事例
建築主事が、モーテル類似建築物を新築するため提出された建築確認申請を受理しながら、地元町長の行政指導を理由にその許否を遷延したことが違法であるとされた事例
不動産について登記原因たる贈与を否定して所有権移転登記の抹消登記手続を求める前訴を提起して敗訴した者が右贈与の負担の不履行を理由に贈与契約を解除したとして所有権移転登記を求める後訴を提起した場合において後訴の提起は信義則に違反するものとはいえないとされた事例
職場の上司から思想の表明を強要されたとして慰藉料を請求したが、それは会社の強要とはいえないとして請求を棄却された事例
1 信販会社東北地区本部の管理課長が支配人として選任・登記されている場合、その者がした訴訟代理行為は適法か(消極)
2 右の者がした訴訟代理行為は追完追認により有効になるか(消極)
1 公職選挙法138条2項の規定と憲法21条
2 公職選挙法138条2項にいう「選挙運動のため戸別に特定の候補者の氏名を言いあるく行為」にあたるとされた事例
農地の売買契約成立後、市街化調整区域に編入された場合にも、農地法上の許可申請協力請求権は、売買契約成立の日から10年の経過により時効消滅するとした事例
1 当時者が一審で敗訴し、控訴しなかったとしても、弁護士である訴訟代理人の解任、請求の放棄と同視することはできない
2 弁護士報酬請求が排斥された事例
1 破産法366条の9の事由は具体的に認定される必要があるか(積極)
2 破産者が賭博や飲酒遊興していた事実だけでは、破産法375条1号の事由は認められないとした事例
3 破産者が破産手続中に所在不明であったことを理由に免責が不許可とされた事例
釈明処分のため口頭弁論を開いた後弁論を終結せず、判決言渡期日の告知、呼出手続もしないで、民訴法202条により訴えを却下した原判決に手続違背があるとされた事例
仮登記担保権の清算期間徒過後に、債務者が代物弁済予約完結権行使による所有権移転を追認したことにより、所有権移転の効力が生じたものとされた事例
刑事被告事件において無罪判決が確定した事案について、検察官の公訴の提起に違法性が認められないとして、請求を認容した原判決を取消し請求を棄却した事例
1 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律3条にいう「排出」及び「事業活動に伴って」の意義
2 工場から塩素ガスが流出し、地域住民ら公衆の身体に危険を生じさせ、傷害を負わせた事故について同工場の製造課長らが過失により右ガスを排出したとして、同法3条2項違反の罪が成立するとされた事例
公示送達により離婚無効確認・婚姻取消等の判決の送達を受けた者が控訴期間を遵守することができなかったのは、離婚無効の追及を免れようとして住所を秘匿していたためで、訴訟も予測された状況の下では、重大な過失があるといわざるをえず、責に帰することのできない事由はないとして控訴の追完を許さなかった事例