1 嫡出子否認の訴えの出訴期間は、夫が嫡出否認の原因となる出生の事実を知った時から起算するべきであるとの解釈は、民法777条の文理に反し採用することができない
2 民法772条の規定の適用上、父子とされる関係にあっても、両名間に親子としての自然的血縁関係のないことが二義を許さず、客観的に明白な場合において当該父および母子のいずれもが真実に合致しない形式的身分関係の消滅を望んでいるときは、例外的に前記民法772条の適用は排除され、親子関係不存在確認の訴えが許される
逮捕状による逮捕に伴う強制処分に関し、余罪の証拠の発見・収集のための捜索、差押えは違法であるが、その瑕疵が小さいとして、証拠物(覚せい剤)等の証拠能力を認めた事例
尿管結石患者に対する不適切な処置のためショックによる急性心不全でこれを死亡するに至らしめたとする主張が排斥された事例
急性虫垂炎手術後呈する症状に対する療法の選択を誤り、手術による縫合不全から汎発性腹膜炎により患者を死亡するに至らせたとし、診療関与医師の過失につき、病院の使用者責任が肯定された事例
鉄溶解液の注湯業務に従事している労働者に対する使用者の安全確保義務が認められ、右義務の履行が不完全であったとし、なお、労働者にも3割の過失があると認定された事例
旧南べトナム法に準拠して設立された法人は、日本政府の承認した新政権の旧法令の廃止により、法人格を喪失して当事者能力を欠くに至ったものとされた事例
癒着性脊髄膜炎に対する癒着部脊髄膜剥離手術の選択施行及び説明義務の履践に過誤がないとして、国及び医師らに対する賠償請求が排斥された事例
道路上の集水桝の甲蓋をはずして集水桝に入り、そこから地下に埋設されている排水管の中を通って団地内の貯水池に至り、誤って貯水池に転落水死した小学一年生の男児の死亡事故につき、右集水桝を設置管理する地方公共団体の損害賠償責任が認められた事例
甲から所有権留保特約付割賦により自動車を買い受けた乙から右自動車をさらに買い受けた丙が、その代金を完済して右自動車の引渡を受けたときは、丙はその所有権を取得し直接甲に所有権移転登録手続を請求することができるとされた事例
自賠責調査事務所が、被害者請求手続を行っている者に対し、被保険自動車運転者の有責性及び損害賠償額を認定したうえ、支払通知をなしたとしても、右事務所の認定、通知は法律上自賠責保険会社を拘束するものではないとした事例
法人格は別々であるが両者とも代表者、社員が同じで、税務対策上法人格を使いわけているに過ぎず、実体は同じであるからといって一方の法人が他方の法人が所持している手形債権を以て相手方の請求債権と相殺することは許されない。法人格否認の法理は法人と取引した相手方や法人の不法行為によって損害を受けた者の利益保護のため認められるべきものであって、勝手な税金対策のため法人格を濫用し、法人格の混同を生じさせている者の側から法人格の否認の法理を主張することは許されないとされた事例
土地区画整理中に仮換地を目的とする売買がされたが、清算交付金についてなんらの特約がされなかった場合、その後予定どおり換地がされたときは、清算交付金は売主に帰属するとし、売主から転買人に対する不当利得の返還請求が認められた事例
自称代理人から本人が署名し、その実印を押捺した金銭借用証書と印鑑登録証明書を提示され、且つ自称代理人が本人の実印を所持していたことから、相手方が代理権ありと信ずるにつき正当の理由ありとされた事例
権利能力なき社団の所有不動産の登記方法 数代前、権利能力なき社団の構成員全員の名義で所有権取得登記のなされていた区の所有山林、宅地につき、その子孫に対し時効取得を理由に区代表者個人が区民の受託者としてなした所有権(持分)移転登記請求が認容された事例
1 救済命令取消訴訟提起後における命令書の誤記訂正の可否(積極)
2 審問手続の全期日に使用者委員が出席しなかったことや、審問終結に当たり使用者委員の意見を聴取しなかったことが違法とはならないとされた事例
婚姻関係が全く破綻し、この破綻について、専ら夫に責任があるとか、夫の有責の度合が妻のそれより高いとはいえないとされた事例