住宅地造成のため市街化調整区域内の農地を買い受けた場合であっても、買主の売主に対して有する知事に対する農農地法5条所定の許可申請協力請求権の消滅時効の起算点は、売買契約成立の日であるとされた事例
被疑者逮捕に向った警察官の前にXがたちはだかり警察官の手をつかんだためその警察官がXの手を逆にねじったところ、Xが尻餅をつき右手がその尻の下に入り傷害を負ったとしてその警察官の所属するY県が損害賠償を命ぜられる場合、Xが生活保護法による生活扶助を受けていた場合は、その賠償額の休業補償、逸失利益の喪失額から既に受けた生活扶助の金額を控除できる
病室内での妊婦の突然の分娩により、児に対する措置が遷延して重度の脳性麻痺を後遺とした場合につき、関与医師、看護婦らの過失を否定したが、看視体制の不十分を理由に病院の直接の不法行為責任を肯定した事例
いわゆる前金保証約款にいう既存の債務を回収する方法として前金保証制度を利用する場合にあたるとして、住宅産業保証信用会社の責任を否定した事例
勾留中の被疑者が非定型精神病に罹患して拘置所保護房内で凍死した事故について、拘置所長、看守、非常勤医ら拘置所職員の各過失を認め、これに基づく拘置所の医療体制の不備を理由に国家賠償責任を肯定した事例
派遣先企業が労働契約上の使用者ではないが、本企業と意思相通じて派遣契約を解除した場合、右派遣企業も労働法7条の使用者にあたり、右派遣契約の解除は不当労働行為で無効であるとされた事例
覚せい剤使用の事実について選択的(択一的)に事実認定したことが、審判の請求を受けない事件について判決をしたことにあたるとされた事例
甲の乙に対する売買代金債務が履行されなかったために、乙との約束により、右代金を貰い受けて自己の債務の支払に充てることを予定していた丙が、債務不履行の責を問われて損害を破った場合において、甲の丙に対する不法行為責任が否定された事例
(イ)1年間を限った私立高校の非常勤講師の雇傭契約が、過去に3回更新された事実があっても、期間の定めのない契約とはいえず更新継続を期待する客観的状況もなかったとして、その更新拒絶(傭止め)を有効とした事例
(ロ)3ヶ月を限った前大学長である69歳の専任嘱託教授の雇傭契約が、過去数回の反覆更新と70歳までは更新継続する大学の慣例に照らし、期間の定めのない契約であって、更新継続を期待する客観的状況があったとして、その更新拒絶(傭止め)を無効とした事例
1 交差点内における自動車の衝突による交通事故につき、衝突車の信号無視が決定的原因であるが、他方、見とおしの悪い街中の交差点に酒気を帯び、制限速度を超える時速60キロメートルのスピードで進入した被衝突車にも過失があるとして、被衝突車に同乗していて下半身完全麻痺、知覚脱失等の傷害を負った女性に対し共同不法行為責任を肯定した事例
2 住居改造費500万円を右損害に算入した事例
3 民法711条による固有の慰藉料を同女の母親については肯認したが、妹についてはこれを否定した事例
1 刑法247条にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加へタルトキ」の意義
2 信用保証協会職員の保証業務行為が背任罪に該当するとされた事例
油槽船の操機手が航行中に行方不明になった場合について、勤務時間外の私的行為により甲板に出た際に発生した事故であり、甲板に設置された転落防止の防護柵にも欠陥はなかったことなどを認定した上、船員保険法50条1項3号の職務上の事由による死亡とは認められないとした事例
大作映画の公開寸前の著名な映画監督に対し、酒場での行為をマスコミに公表するとして畏怖せしめ、執拗に金銭を要求した所為は、社会的に許容される限度を超えた違法な行為で、民法96条1項の「強迫」に該当する
民法のラジオアナウンサーとして採用された女性職員に、他の職種である業務局編成事務部(主にキーパンチャーの業務)勤務を命じた配転命令が無効とされた事例(東京高裁昭和58年5月25日)
1 防衛庁長官に対し自衛隊演習場において実施される射撃訓練の差止めを求める抗告訴訟の適否(消極)
2 防衛施設局長に対し自衛隊演習場内への立入りを禁止する措置の差止めを求める抗告訴訟の適否(消極)