1 建物賃貸を目的とする会社の株式の評価にあたり、その前提となる会社所有の不動産の評価につき収益価額を基礎として算出するのが相当であるとした事例
2 相続人のうち抗告人のみが現住居を奪われる結果となる等を理由に原審判が定めた具体的分割方法が相当でないとした事例
訴訟の終局近く敗訴が必至となった段階において、もっぱら本件債務の履行を免れるため、実質上無価値に等しい債権を廉価で取得し、これを自働債権としてした相殺が、権利の濫用として許されないとされた事例
胃癌の疑いを抱かず胃潰瘍としての治療を継続の後患者が死亡するに至った場合において、診療関与医につき債務の不履行を認めたものの、右死亡との間の因果関係を否定し、死期を早められたことによる慰藉料を肯定した事例
贈賄被告事件で、収賄者及び賄賂の授受仲介者の各証言及び贈賄者の捜査官に対する自白の信用性を否定して、無罪を言い渡した事例
裁判所による嘱託登記事件の登記権利者が嘱託裁判所の使者として登記嘱託書類を登記所に提出すると同時に、これに連続して自己を登記義務者とする登記申請をした場合に、右登記申請書に登記義務者の権利に関する登記済証が添付されていなくとも、いわゆる連件処理の取扱いにより右登記済証の提出が補正されたとして適法な登記申請と認めた事例
知事が都市再開発法11条に基づいてした市街地再開発組合の設立認可につき、施行区域の付近住民は、右認可の取消訴訟の原告適格を有しないとされた事例
新生児黄疸に対する医師の措置が、当時の開業医の医療水準に照らし相当であるとし、高ビリルビン血症による脳性麻痺の結果につき、診療及び転送上の義務違背がないとされた事例
比較的軽微な追突事故の事案において、事故状況に関する鑑定等により、前車の運転者について「むちうち症」の傷害が生じたことを認定しながら、右傷害の発生について、これを自認する被告人の捜査段階の供述を信用できないとして、救護義務違反の罪の成立を否定した事例
取り壊された建物の朽廃すべかりし時期が将来の時点で確定しうるからその時点の到来をもって土地賃貸借が終了するとして、右時点の到来とともに建物を収去して土地を明渡すべき旨を命じた事例
市長の特別職職員に対する退職手当の支給が違法な公金の支出にあたるとしたが、右市長に故意又は過失がなかったとして、損害賠償の支払を求める住民訴訟が棄却された事例
受刑者が、刑務作業中同房者から顔面を金槌で殴打され、右側頭骨陥没骨折等により左半身痙性麻痺等の症状を後遺とした場合に、看守の右金槌貸与の安易な許可、及び、医務課長医師の骨折不発見等に各過失があるとし、国につき国賠法1条の賠償責任が肯定された事例
売買契約の対象となった土地の一部の私道部分が、建築基準法42条2項の指定道路であった場合、売主は、民法570条、566条による損害賠償責任を負い、買主の被った損害額は、私道部分の対価として支払われた更地価格から、私道としての価格を差し引いたものとなるとした事例
虚偽の廃印申請及び偽造の印鑑登録申請を受理し、それに基づき印鑑証明書を発行した区役所職員の行為に過失があるとして、横浜市に対し求めた国家賠償責任が否定された事例
公正証書に表示されている請求権と実体上の請求権との間の不一致が著しいから、公正証書は実体に合致しない無効のものであるとして、公正証書の執行力の排除を認めた事例
就業時間中及び企業内での政治活動を一般的に禁止したり、休憩時間中の赤旗選挙ビラ配布行為等を禁止することが、憲法21条、公序良俗(民法90条)や、労基法34条3項に違反しないとされた事例