製鉄会社がその構内に設けた1日の車両通行量約1万4、000台、総延長約100キロメートルの道路が、構内への出入りが人的物的に制限されていること、公安委員会等の交通規制をうけることなく右会社が独自に設けた交通安全規定等によって構内の秩序維持が図られていること等により、「不特定」の人や車の通行できる場所ではないとして、道交法上の「道路」に当たらないとされた事例
1 火災保険約款に保険の目的物を第三者に譲渡したときは保険会社にその旨通知しその承認を得なければならないとあるときは、その保険目的物を第三者に譲渡担保に供しただけで占有を移転したのでない場合でも通知を怠れば保険会社は損害補填の責任を負わないとされた事例
2 利益保険は契約者が企業を再開することを前提とするものであるところ、契約者が企業を再開したとは認められないとして利益保険金の請求ができないとされた事例
新生児の緑膿菌感染症の罹患と症状増悪につき、助産所を開設管理する助産婦に、助産所の清潔保持義務違反と医師受診の指導義務違反がないとされた事例
托児所を経営し乳幼児を預って保護養育にあたる業務に従事する者が預っていた、生後4か月20日の自力で寝返りできる健康な男児が、ベットの棚に頭をくっつけ、うつ伏せになり、マットで鼻口を塞ぐようにして死亡し、死体解剖の結果、気管(支)内に胃内容物と同じものが存在し,他に死因と認められるような創傷・疾病が存在しない場合について、死因は窒息死(事故死)であるかSIDS(乳幼児急死症候群)であるか、いずれとも判定しがたいとして無罪の言渡しをした事例
1 国選弁護人に対する報酬の決定は刑訴法38条2項によってなされるがその本質は民事の非訟事件の決定と同じで裁判所の決定で決まるものである。それに対する不服申立は刑訴法419条でなすべきものであり民事訴訟で争うべきものではない。対審構造の民事訴訟で決定しなくても憲法に違反するものではない
2 国選弁護人の報酬が私選弁護の場合の基準の2分の1であるべきだという主張は採用できない
債権者がその取得した手形に関する遡求権を消滅させたことにつき法定代位をなすべき者の容認があったとして、右の者の民法504条の規定による免責を否定した事例
「クレジット会社と顧客との間で訴訟の必要が生じた場合はクレジット会社本支店所在地を管轄する裁判所を合意管轄裁判所とします」との規約がクレジット会社と顧客との間にある場合に、右規約は専属的合意管轄を定めたものではないとした事例
マンションの1室を賃借している賃借人の息子が、友人と共にマンション建物の玄関付近に屯し、専用モータープールをバイクで走り廻り、モータープールに駐車していたマンションの住居者の車の間や、マンション建物内の便所でシンナーを吸ったり、賃借部屋で毎夜の如く騒ぐなど、判示のような迷惑行為をしたことを理由に、賃貸借契約における信頼関係が破壊されたとして、賃貸借契約の解除を認めた事例
造船の請負契約による建造船舶に比較的軽微な瑕疵があるがその補修に著しく過分の費用を要する場合において右補修に代えて改造工事費及び滞船料相当の金員につき損害賠償請求をすることが許されないとされた事例
建物所有を目的とする借地契約の更新拒絶に正当の事由があるかどうかを判断するにあたり建物賃借人の事情を借地人側の事情として斟酌することの許否
県立高校の一般体育の時間のラクビー試合中にタックルして重傷を負った高校生の事故につき、学校側の損害賠償責任が否定された事例
抵当不動産を用益する目的をもって設定されたものでない短期賃貸借は、民法395条の短期賃貸借に該当せず、先順位の抵当権者に対抗できないとされた事例
胃潰瘍との診断による胃の一部切除手術後、病理組織検査等を施行しなかったため、胃癌についての適切な治療の機会を失し、患者を死亡するに至らせたとして、医師に対する延命の可能性に基づく慰藉料の支払が肯定された事例
1 旧軍隊内で上官からリンチを受け傷害を負った事件につき、消滅時効完成後に債務承認がなされたとして時効援用を否定し、不法行為に基づく賠償義務を肯定した事例
2 慰謝料を口頭弁論終結時までの事情を斟酌して算定し、これに対する遅延損害金の起算日を口頭弁論終結日の翌日とするのが相当であるとした事例