資金の都合のつかない振出人からは依頼返却になる予定である旨の連絡を受けていたが、持出銀行からは、所定時限内には依頼返却の請求を受けていなかった支払銀行が、時限経過後当該小切手を逆交換に付すため受託銀行に持ち出し、依頼返却の請求にも応じなかったことについて、支払銀行の過失を否定した事例
500万円の貸金債権の担保として借主から金額1000万円の約束手形(第三者振出)を預った者が右の手形を550万円で他に譲渡し、満期に右手形金が支払われた場合に、貸主が借主に対して負うべき不当利得返還義務もしくは清算金支払義務の範囲
1 道路拡幅工事現場の地ならし作業において、下請会社の従業員のドーザショベルの運転ミスにより同車を低地低部に転落させ他の下請作業員を死亡させた事故につき、元請会社の従業員である現場責任者に過失があるとして元請会社に民法715条の使用者責任を認めた事例
2 元請会社の指揮監督関係が下請負人の従業員に対して直接間接に及んでいるとして元請会社に民法715条の使用者責任を認めた事例
婚姻関係が破綻状態となった場合における婚姻費用の分担額を、労研方式により算出された金額を参考としながらこれよりある程度軽減した額に算定するのが相当であるとされた事例
保養所内の食堂のガラス戸に子供が衝突して死亡した事故につき、右ガラス戸にガラスの存在を明示する設備のなかったことは瑕疵にあたらないとして、工作物責任を否定した事例
製鉄会社がその構内に設けた1日の車両通行量約1万4、000台、総延長約100キロメートルの道路が、構内への出入りが人的物的に制限されていること、公安委員会等の交通規制をうけることなく右会社が独自に設けた交通安全規定等によって構内の秩序維持が図られていること等により、「不特定」の人や車の通行できる場所ではないとして、道交法上の「道路」に当たらないとされた事例
1 火災保険約款に保険の目的物を第三者に譲渡したときは保険会社にその旨通知しその承認を得なければならないとあるときは、その保険目的物を第三者に譲渡担保に供しただけで占有を移転したのでない場合でも通知を怠れば保険会社は損害補填の責任を負わないとされた事例
2 利益保険は契約者が企業を再開することを前提とするものであるところ、契約者が企業を再開したとは認められないとして利益保険金の請求ができないとされた事例
新生児の緑膿菌感染症の罹患と症状増悪につき、助産所を開設管理する助産婦に、助産所の清潔保持義務違反と医師受診の指導義務違反がないとされた事例
托児所を経営し乳幼児を預って保護養育にあたる業務に従事する者が預っていた、生後4か月20日の自力で寝返りできる健康な男児が、ベットの棚に頭をくっつけ、うつ伏せになり、マットで鼻口を塞ぐようにして死亡し、死体解剖の結果、気管(支)内に胃内容物と同じものが存在し,他に死因と認められるような創傷・疾病が存在しない場合について、死因は窒息死(事故死)であるかSIDS(乳幼児急死症候群)であるか、いずれとも判定しがたいとして無罪の言渡しをした事例
1 国選弁護人に対する報酬の決定は刑訴法38条2項によってなされるがその本質は民事の非訟事件の決定と同じで裁判所の決定で決まるものである。それに対する不服申立は刑訴法419条でなすべきものであり民事訴訟で争うべきものではない。対審構造の民事訴訟で決定しなくても憲法に違反するものではない
2 国選弁護人の報酬が私選弁護の場合の基準の2分の1であるべきだという主張は採用できない
債権者がその取得した手形に関する遡求権を消滅させたことにつき法定代位をなすべき者の容認があったとして、右の者の民法504条の規定による免責を否定した事例
「クレジット会社と顧客との間で訴訟の必要が生じた場合はクレジット会社本支店所在地を管轄する裁判所を合意管轄裁判所とします」との規約がクレジット会社と顧客との間にある場合に、右規約は専属的合意管轄を定めたものではないとした事例
マンションの1室を賃借している賃借人の息子が、友人と共にマンション建物の玄関付近に屯し、専用モータープールをバイクで走り廻り、モータープールに駐車していたマンションの住居者の車の間や、マンション建物内の便所でシンナーを吸ったり、賃借部屋で毎夜の如く騒ぐなど、判示のような迷惑行為をしたことを理由に、賃貸借契約における信頼関係が破壊されたとして、賃貸借契約の解除を認めた事例
造船の請負契約による建造船舶に比較的軽微な瑕疵があるがその補修に著しく過分の費用を要する場合において右補修に代えて改造工事費及び滞船料相当の金員につき損害賠償請求をすることが許されないとされた事例
建物所有を目的とする借地契約の更新拒絶に正当の事由があるかどうかを判断するにあたり建物賃借人の事情を借地人側の事情として斟酌することの許否