クレジットを利用して商品を販売した業者に債務不履行がある場合において、売主と買主間で売買契約が合意解除されたときは、買主とクレジット会社間の立替払契約も合意解除されたものと推認され、買主は立替金の償還義務を免れるとされた事例
賃借人が、社員寮として使用する目的で賃借した建物に施した増改築が、右建物を使用する上で有用なものではあるが、右賃貸借契約の内容、増改築の経過、態様等に照らし、当該賃貸借関係における信頼関係を破壊する不信行為にあたるとして、賃貸人による賃貸借契約の解除が認められた事例
営業所長名の手形の裏書をした者は、会社の裏書としては不適式であっても、他人をして会社の真正な裏書であるとの誤信を生じさせるおそれがあるので、権限なくこのような裏書をしたことにより他人に生じさせた損害を賠償する義務を負うとした事例
会社の資金繰りひつ迫下において代表取締役のなした融手の交換が会社の利益のためになされ経営判断上明らかに不合理なものとはいえないとして右取締役の商法266条ノ3の責任が否定された事例
パートタイムのプレス工として稼働していた主婦につきその労働能力の減退による逸失利益を事故当時支給されていた賃金の額と全勤労時間中に右プレス作業の占める割合とに基づいて算定した事例
自転車に乗って県道を通行中の者が突風によりバランスを失い側溝に転落して負傷した事故につき、防護柵を欠いた点における道路の設置・管理の瑕疵が否定された事例
土地の賃貸借において、権利金、敷金等の授受がなく、賃料を従前の賃貸借の場合より低額とし、屑鉄置場及び作業場として使用するための仮設の建物等を建設し、3年後には確実に明渡す旨を約した等の事情がある場合に一時使用目的の賃貸借と認めた事例
1 構成部分の変動する集合動産の譲渡担保につき目的物の範囲が特定されていると認められた事例
2 集合動産の譲渡担保設定後に加入する個々の動産についての対抗要件
3 民法333条の「引渡」には占有改定を含むか(積極)
私人の事業所で発生した労災病につき、国の監督機関の監督権不行使がありかつそれが違法であるとして、国に国家賠償法1条1項の責任が認められた事例
ある行政処分に関する取消訴訟が適法に係属している場合には、右処分に関する無効確認訴訟は、訴えの利益を欠くとして不適法却下された事例
ビルの区分所有者等が設立した管理組合の委員長が地位を悪用して管理費の負担を不当に配分し巨額の管理費の支払を免れている旨の文書を配布したことが、名誉毀損の不法行為を構成するものとされた事例
交通事故により左腎破裂等の傷害を受けた被害者の死亡に基づく、右事故加害者及び診療医らに対する損害賠償請求につき、医師のウィルムス腫瘍診断及び転医指示上の義務違背を否定し、右事故加害者に対し、右傷害後遺症及び血清肝炎の限度で責任を認めた事例
1 相手方に重過失のある場合と商法42条1項本文(表見支配人)の規定の適用の有無(消極)
2 請負人の被用者が注文者たる村から請負代金を騙取したことによる請負人の使用者責任が問われている事案について、村の執行部が右被用者から饗応を受けるなどしたため同人に対し気を許し必要な注意を怠ったという事情の存することを考慮し4割の過失相殺をした事例
夫の実印・印鑑証明書及び権利証を所持した妻が代行する形で、妻の債務についての連帯保証、根抵当権設定契約を締結した場合に、右契約の相手方である金融業者について、民法110条による表見代理の成立を否定した一事例
タクシー会社が、従業員を雇用するに際して行なった健康診断の結果、精密検査を要するとの診断が出たにもかかわらず、これを本人に知らせないままタクシー業務につかせたため、病状(肺結核)が悪化したとして、債務不履行に基づく損害賠償請求が認められた事例
1 特定の日時・場所における覚せい剤の所持を内容とする訴因と右の日時・場所に至るまでの約35分間の継続した覚せい剤の所得を内容とする訴因の間に、公訴事実の同一性があるとされた事例
2 覚せい剤の所持につき正犯意思を欠くとの主張を排斥して、正犯が成立するとされた事例
3 覚せい剤所持における「営利の目的」とは、犯人みずから財産上の利益を得る目的を有する場合のほか、第三者にこれを得させることを動機・目的とする場合をもいうとして、営利の目的による所持であるとされた事例