被告人と犯行とを結びつけるべき客観的証拠等及び被告人の捜査段階における自白の信憑性に疑問がある旨の詳細な職権判断が示され、被告人を真犯人と断定するについては合理的な疑いを容れる余地があるとして一審の有罪判決を破棄し無罪の言渡をした控訴審判決が維持された事例
襲撃計画メモにつき、要証事実との関係から伝聞証拠であるが、表意者の表現時における精神状態に関する供述であるので、反対尋問の方法による正確性のテストを受けなくても、伝聞法則の適用を受けない書面として証拠能力が容認された事例
大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律7条に基づく変更勧告は抗告訴訟の対象となる処分にあたらず、かつ、周辺中小小売業者は右変更勧告の取消を求める原告適格を有しないとされた事例
電柱に添架された有線音楽放送の線条を数か所において切断した仮処分の執行につき国および電々公社の賠償責任が否定された事例
コンクりートミキサー車のドラム缶内にいた者がドラムハッチから上半身を外に出し、仰向けになった姿勢のまま同僚にドラムの位置を動かしてくれと依頼したので、同僚がミキサー車のエンジンを始動させたところ、すぐドラムが回転を始め、依頼者を死亡させた事故につき、死者を自賠法3条にいう他人に当るとした事例
1 対向車どうしの衝突事故につき、進路前方の道路の形状に照らし、大型車両が道路中央線をはみ出して進行してくることが予想されるので、対向車運転者としても前方を注意してできる限り左側に寄り、かつ、交通の状況に応じて安全な速度と方法で進行すべきであるとし、これを怠った被害者に35パーセントの過失相殺を認めた事例
2 自賠責保険から死亡に至るまでの傷害による分として支払われた保険金も死亡による損害に弁済充当されるとした事例
労働者が、段ボール箱を棚から降そうとした際、腰を捻って受傷した腰痛症(変形性脊椎症等)が、その後の治療により、慢性症状となり、医療効果を期待し得ない状態になったとして、労災保険法にいわゆる治ゆに当るとされた事例
1 労働者が指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちに使用者がした時季変更権行使の効力
2 労働者が指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちに使用者がした時季変更権行使の効力が認められた事例
職場外の私的行為(政治活動)としてデモに参加し、その際逮捕、勾留され刑事裁判に付され有罪となったこと等を理由とする通常解雇が有効と認められた事例
甲に対し住宅ローンによる貸付を実行し、かつ甲名義の不動産に右債権担保のための抵当権を設定した被告(銀行)が、右不動産が原告の所有であり、甲名義の所有権登記は右ローン設定のための譲渡担保であること知悉していた場合につき、譲渡担保契約を解除した原告は被告が甲に対する別の債権担保のために設定した抵当権の無効を主張してその抹消を求めることができるとした事例
偽造のため支払いに応じられない旨の付せんが付されて不渡返却を受けた手形の支払いを求めた訴訟の提起が不法行為を構成しないとされた事例
ある敷地についていわゆる接道義務を満たすため、右敷地に接する南北2本の私道について同時に建築基準法42条2項の道路指定があり、それが右条項に違反するものではないとされた事例