1 転付命令を受けた執行債務者が法定期間内に提出した抗告理由が不適法であり、右期間経過後に執行債務者が請求異議の訴えを提起し執行停止決定を得て追加抗告理由書にその旨記載して提出したとき、かかる抗告理由は民執法10条3項の抗告理由書提出期間の制限に服しない
2 民執法159条6項にいう裁判を留保すべきか否か疑問のあるとき、中間判決に準じ、裁判を留保する旨の決定をした事例
低血糖誘発効果を有するインシュリン注射をした約30分後に、かつ、ビールを飲んだ上で傷害致死の犯行に及んだ事案について、右犯行当時まだ右注射による低血糖症状下にはなかった等として、心神耗弱の主張を排斥した事例
建築途上のマンションの買受希望者が売主に自己の希望する設計を施行させたが売買契約が不成立に終り売主に損害を与えた事実につき、該買受希望者に契約締結上の過失を認めた事例
炊事場のガス元栓を誤って開栓したことによって発生したプロパンガスの爆発事故につき、プロパンガス供給会社と右会社から委託を受けて保安点検を実施した保安点検員に、未使用閉止弁のゴムキャップを装着せずまたは装着するよう指示しなかった義務違反があったとして、損害賠償責任が認められた事例
賃貸借の終了に基づく建物明渡請求訴訟の被告が、控訴審において、相手方が賃貸借の終了につき虚偽の主張をして明渡請求認容の原判決を詐取したこと等を理由とする損害賠償請求の反訴を提起する場合には、相手方の同意を要しない
不同意部分のある供述調書につき、その部分を覆うか、同意部分を抄本として提出する等の措置をとることは法の要求するところではなく、かつ、不同意部分が裁判官の目に触れたとしても、その一事をもつて、事実認定及び量刑に影響を及ぼすおそれがあるとは即断できない旨判示した事例
競馬の競争に関する情報を騎手が特定の第三者に提供し、その対価として現金の供与を受けた場合において競馬法上の収賄罪の成立を認めた事例
1 役員賞与の支給につき商法269条の総会決議を要するか(消極)
2 役員の退職慰労金支給を案件とする株主総会の招集通知にその支給基準を明示することは必要か(消極)
小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律9条1項所定の「みなし賃借権」に対する借地法の適用の有無(積極)
借地人のした地代の弁済供託は無効であるが信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情があるとして賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除を無効とした事例
1 約束手形金請求の訴が可能である場合、その請求権確認の訴は確認の利益を欠き不適法であるとした事例
2 XのYに対する約束手形金請求訴訟に、Zが右手形金債権は自己に属するとして、Xに対し右手形金債権がZに属することの確認、Yに対し右手形金支払を求めて参加した場合、XのYに対する請求を棄却し、ZのX及びYに対する各請求を認容する旨の一審判決に対し、Yがその敗訴部分の取消、ZのYに対する請求の棄却を求めて控訴したにとどまり、Xが控訴又は附帯控訴をしない場合であっても、一審判決中ZのXに対する請求を認容した部分は確定を遮断 され、控訴審は合一確定のため一 審判決中右部分をZに不利に変更 することができるとされた事例
3 営業主は、使用人の手形振出の代理権の欠缺を知らないことにつき重大な過失がある第三者に対しては、右使用人が営業主名義で振出した約束手形について、商法43条2項による責任を負わないとされた事例
4 手形振出の代理権を有しない被用者による約束手形の振出行為が民法715条1項の「事業ノ執行ニ付キ」なされたと認められる場合、右手形の受取人である被害者が重大な過失によって右代理権の欠缺を知らなかったときに、過失相殺をした事例
更生手続開始前更生会社の取締役名義とされていた更生会社の土地を手続開始後会社名義としたうえで売却し、売得金の大部分を抵当権及び仮差押債権者に弁済した場合、その事情を記載していない更生計画をそのまま認可することはできないとして、原審の更生計画認可決定を取り消して差戻した事例