鋭利なあいくちにより腹部を突き刺した事案につき、検察官の確定的殺意ありとの主張を排斥しつつ、殺人の未必的故意ありとして殺人未遂罪の成立を認めた原判決をさらに破棄して、持凶器傷害の罪(暴力行為等処罰二関スル法律第1条の2第1項)の成立を認めた事例
信用共同組合がその組合員の負担する手形債務について民事上の保証をすることは、組合の附帯業務として有効であるとされた事例
マルチ商法業者が通産省の行政指導や世論の批判によりスペシャルボーナス廃止を伴う販売組織を変更するため右業者とファミリー契約を締結している業者との契約を解除したとしてもボーナス支払義務を免れるものではないとされた事例
建物賃貸人が自己の建物の道路に面したガラス戸に賃料増額請求に応じない賃借人を非難する趣旨でした貼紙が賃借人の名誉を侵害したとして損害賠償が命じられた事例
支払った賃料が低額であるとしても借家法7条2項にいう「相当ト認ムル借賃」にあたらないとはいえず賃借人の右賃料の支払が賃貸借契約において債務不履行があったことにはならないとされた事例
原因は不明であるが、プレス機械の安全装置が動いて安全であるべき状態のときに、プレス機械が急に動いて手指を切断された事故につき、会社の安全配慮義務違反が認められた事例
土地区画整理事業の施行者である市長がしたいわゆる保留地予定地の売却処分は、住民訴訟の対象となる財産の処分に当たるとされた事例
自己が代表者をしている株式会社の負債の整理のため借地上の建物と借地権を移転した場合につき、右負債を完済して右建物の所有権を回復する可能性もなく背信行為に当らない特別事情も認められないとして民法612条の解除原因の存在を認めた事例
土地の一部譲渡により袋地が生じた後囲繞地の所有権が第三者に譲渡された場合でもすでに囲繞地内に通路が開設されていれば通行受忍の負担は右第三者に承継されるとした事例
修理又は補修のため改造けん銃又は真正けん銃を分解して所持していた行為について、銃砲刀剣類所持等取締法3条1項所定のけん銃の所持に該当するとした事例
1 大型貨物自動車の運転者が、交差点において右折するに当たり、方向指示器により右折の合図をしたうえ右折を開始した後、自車の右側を通行しようとした原動機付自転車を自車と衝突させその運転者を死亡させた事例につき、「信頼の原則」の適用を排除すべき「特段の事情」ありとして業務上過失致死罪の成立を認めた事例
2 事故発生後、他人に警察への連絡を依頼した場合につき、道路交通法72条1項後段の報告義務を尽したものとはいえないとされた事例