正常な経営を維持することが極めて困難な状態となっていたのに手形を振出し買入れをしたのは重大な過失であるとし、有限会社法30条の3による代表取締役の損害賠償責任を認めた事例
延焼により損害を蒙った倉庫業者が地方公共団体に対し消防職員の消火活動上の過失を理由に損害賠償を請求した事案において、失火責任法の適用を肯定したうえ、消防職員に重過失はない(軽過失もない)として請求を棄却した事例
15万円の貸主が、その貸金債務の保証人から裏書を受けた額面300万円の約束手形を取立に回し右保証人に右手形金全額を支払わせたときには、右保証人に対して損害賠償責任を負うとされた事例
1 ある書籍の奥付に「編者A研究所、発行者Y2、発行所株式会社Y1」と記載されている場合、同書籍の出版、発行に至る実状にてらし、右出版発行が原告らの権利を侵害したときに、発行者Y2と出版元であるY1が共同不法行為の責任を負うべきものとされた事例
2 政治団体と密接な関係を有する団体に対し、これと異る思想、政治理念を有する者が、右団体の実態、運動方針等を批評するにあたり作為を加えた資料に基づき論評、誹謗することは不公正な論評であり、右団体の名誉を毀損するものと認められる
下垂体腫瘍による末端肥大症の患者に対し放射線療法を実施した医師らにつき、患者の現症状はその有する右肥大症によるものであるとして、その賠償責任を否定した事例
1 債権者Xの主債務者AのためBが連帯根保証人となり、つぎにCがXに対しBのため連帯根保証契約を結び、ついでYがXに対しCのため連帯根保証契約を結んだ場合、YがAの債務についても保証の責を負うことは当事者の合理的意思に即しないとしてYの保証の範囲をBの主債務(Aの為の連帯保証債務を除く)に限定した上、XYの合意が公序良俗に反しないと解した事例
2 過失相殺の法理は連帯根保証契約による保証債務元本及び遅延損害金請求には適用されないと解した事例
全国銀行協会が財団法人銀行取引指導協会の理事が詐欺を働き警察沙汰になったことがある趣旨の内部メモを新聞記者に配布しこれが新聞に報道されたことについて、名誉毀損、業務妨害が成立しないとされた事例
甲から乙に対する債務不存在確認請求訴訟が係属中に、乙が甲を相手方として右債権に基づく給付訴訟を提起することは、民訴法231条に違反するとして後訴が不適法却下された事例
市立小学校の教室内で、授業開始のチャイムが鳴った後担任教諭の入室が遅れた間に発生した児童間(小学4年生)の傷害事故につき、担任教諭に監督義務違反があったとして、市の損害賠償責任を認めた事例
妻が夫の度重なる女性関係に反省を促す意味でその真意でないのに離婚届に必要事項を記入して夫に署名押印を求めたところ、夫は家出し愛人と同居し離婚届出をすませた事案につき、夫婦の宗教上の信条の差による不和はあったが、、協議離婚に至ったのは夫の責に帰すべきものとして夫に300万円の慰藉料の支払を命じた事例
夫婦共同縁組において縁組意思を欠く一方配偶者からの縁組意思を有する他方配偶者と相手方との養子縁組無効確認請求が認容された事例
プロパンガス充填工場の敷地として賃借した土地上に建築した工場を数年後に他に移転し、地上建物を倉庫及び事務所として使用したとしても用法違反にあたらないとされた事例
銀行の支店(振込支店)からの振込により、被振込支店の預金者の当座勘定元帳に入金の記帳がなされた場合において、右入金の記帳がなされる以前に、振込支店から被振込支店に対し、振込の撤回の意思表示がなされた場合には、預金債権は成立しないが、右入金の記帳後に撤回の意思表示がなされた場合には、預金債権は成立し、右撤回によってその効力に影響がないとされた事例