債権者に保証を立てさせたうえで保全処分を発した場合は、疎明資料において被保全権利の不存在が明確であるなど特段の事情がある場合を除いて、被保全権利の疎明が不存在又は不十分であるというだけでは、直ちに保全処分が国賠法上違法とはならない
1 不動産の二重売買において、第二の買主の第一の買主に対する不法行為責任が否定された事例 2 売主の相続人が被相続人において第一の買主に右不動産を売渡していることを知らないで第二の買主に二重売買した場合に、売主の相続人は右二重売買により第一の買主に対する移転登記義務を履行不能とした責任を負担するか(積極)
麻すい注射による虫垂切除手術施行後、緑膿菌感染による急性脳脊髄膜炎のため患者を死亡するに至らしめた医師の責任が肯定された事例
借地条件変更申立事件が係属し、その検証、鑑定等の証拠調が近く行われることが予測される段階において、借地人が増改築禁止特約に違反して改築工事をなしたときは、土地賃貸借について賃貸人、賃借人間の信頼関係を破壊するおそれがあると認められた事例
1 河川の溢水による浸水の一因となった道路工事が違法な公権力の行使にあたらないとされた事例 2 河川の溢水による浸水の一因となった新設道路の管理に瑕疵がないとされた事例
大阪市長の定めた妊産婦対策費支給要綱に基づき同和地区住民のした妊産婦対策費支給申請が行訴法3条5項にいう「法令に基づく申請」に当たり、同市長がその支給の許否を決定しないことに対し、不作為の違法確認を求めることができるとされた事例
自衛官は任用期間の満了と同時にその地位を失うものであり、かつ、継続任用は任免権者の裁量に委ねられているから、継続任用拒否処分に対し取消訴訟を提起することが許されないとされた事例
保険診療の医師、医療機関、薬局の各指定取消等により診療所等の経営が破綻するおそれがある場合行訴法25条にいう「回復困難な損害」があるとされた事例
競落許可決定の対象建物が、その敷地たる宅地と共に一括して競売することの妨げとなるような事情は何もないのに、右建物のみが競売された場合、同建物につき定められた特定の最低競売価額が、右建物競落のとき、その敷地たる宅地に設定したものとされる法廷地上権の価額を過少評価したことに基因し、不当に低廉であり、結局、競売期日公告に適法な最低競売価額の記載を欠くものとして競落許可が取り消された事例
1 租税逋脱犯における逋脱所得の算定につき、いわゆる財産増減法によって立証したとしても、それによって実際所得金額の少なくともこれ以下ではないという最少限度の実額が認定でき、また個々の勘定科目を争うことによって逋脱取得とされた金額が争えれば、何ら被告人の防禦に実質的な不利益を与えることはないから、右の方法による所得の立証は許容される 2 簿外ゴルフ会員権の仕入価格が不明である場合に、業界の「ゴルフ会員権相場表」で評価算定することは推計計算であるから許されないとして、判明している実際販売価格から荒利益率を用いて算出したうえ仕入原価を推認した事例