エポキシ樹脂塗料を点模様の凹凸に吹付け、凸部の頂部を平坦にする壁面の製作方法の発明において、クレーム中の「カツト」の語義は、公報自体の解釈からも文字通り「切り取る」ことを意味し、また当時の技術水準で困難ないし不適当視されていた「押しつぶす」工法までは含まれず、その権利範囲は「切り取る」工法に限定されるとした事例(侵害訴訟棄却維持)
1 新民法(昭和22年法第222号)施行前に建立された墳墓の権利が、建立者の家督相続人に承継されず、建立者の生前処分によって家業の承継人に承継されたと認められた事例 2 家審法9条1項乙類6号の権利の承継人指定申立事件において、申立人の指定希望者以外の者を、権利の承継者として指定することが許されるか(積極)
1 産婦を要約者、産婦人科医を諾約者、胎児を第三者とする診療介助についての第三者のためにする契約の成立が認められた事例 2 鉗子分娩術において胎児の眼球を傷つけたにも拘わらず、鉗子操作に過誤がないとされた事例
後願登録商標「ハビタドリンク」は、先願登録商 標「ビタドリンク」と、ともに一連に称呼されるのが自然で称呼上類似するとして、「ハビタ」と「ビタ」の部分のみに識別性を認め非類似とし商標法8条1項を根拠とする無効審判請求を棄却した審決を取消した事例
1 農地小作人は、当該農地に係る農地法5条の所有権移転許可処分の無効確認を求める原告適格を有しないとされた事例 2 農地法5条の所有権移転許可処分の無効確認請求訴訟において、当該農地の所有者の原告適格が否定された事例
洋菓子の販売委託契約が実質的には建物の一部の賃貸借契約であると解したうえ、受託者が建物所有者から右の実質上の賃貸借が無断転貸である旨の告知を受けたときは、民法559条、576条により以後賃料に相当する金員の支払を拒絶できるとした事例
17才の息子が約1.5トンの船の操縦を過って、同乗中の女性を転落死させた事故について、2人を自宅に滞在させ本件船に乗せたまま現場を去った祖父と祖父に息子の監督をまかせきりにしておいた父母に監督義務のけ怠があったとして民法709条の責任を認めた事例
1 株主総会決議不存在確認の判決を求める者の株主資格が争われている場合に、その者の名義の分を含めた会社の全株式が有効に発行・存在するとの事実は、自白の対象となる 2 取締役選任決議不存在確認請求訴訟の係属中、定款所定の会社存立期間の満了により会社が解散し、取締役がその地位を喪失したでも、定款の定めによる清算人又は株主総会の選任による清算人がないときは、右訴えの利益がある
国道の路肩部分の窪地の存在が道路の管理上の瑕疵にあたるとしたが、右瑕疵と右窪地に落輪して発生した自動車交通事故、同乗者の死亡との間に相当因果関係がないとされた事例
1 鉄道線路の犬釘抜き、ぺージ外し請負契約において、いわゆる契約の一部解除の法理を適用し、出来高相当の代金支払を認めた事例 2 注文者の責に帰すべき事由により仕事の完成が不能となった場合、請負人は請負代金全額の支払を請求することができるが、工事の完成に必要とされ費用相当分は控除すべきものとされた事例
デリック(起重機)等により船荷を船倉内から巻上げて荷揚げするについては、デッキマン(甲板上作業員)はたえず巻上げ中の船荷の動静を注視し、できるだけ安全な位置を保持しながら巻上げるよう、ウインチマン(起重機等運転員)に適切な合図を送る注意義務がある
1 弁護士謝金算定の基礎となる「得たる利益」とは、当事者が当該訴訟の結果得た実質的経済的利益をいうものと解すべきである 2 数人の弁護士が共同して訴訟追行を受注した場合は、各弁護士は依頼者に対し連帯債権者の地位に立つものと解するのが相当である
他主占有者が明示的に所有の意思を表示しなかったときでも、その内心の意思が所有の意思に転換したと推認されるような客観的状況が存し、かつ占有をなさしめた側がそれを認識しながら、当該占有を容認した場合にはその占有は自主占有に転換したものと解すべきである