1 婚姻関係が破綻している場合の夫婦間の婚姻費用の分担については、破綻につき有責性を認めがたい場合においても、婚姻費用分担が婚姻共同生活体を観念的に前提としていることを考慮すれば、その破綻の程度に応じておのずから婚姻費用の分担額の範囲に差異を認めるべきである 2 未成熟子扶養と破綻している夫婦間の扶養との関係については、未成熟子と生活を共にし現に扶養している配偶者側の生活保持を考慮し、しかる後に夫婦扶養を考えざるを得ないと解する 3 申立人と相手方との間の婚姻関係の破綻の程度、相手方の経済力、未成熟子との生活保持の必要性などの事情を考慮して申立人の入院費用の一定時までの未払分金額とそれ以後の入院費用の一部分を夫である相手方に負担させ、負担分については申立人の兄弟姉妹による親族扶養に期
親権者(父)が出稼中のため姉とともに養護施設に収容されている子について他方の親(母)からの親権者変更申立事件につき、事件本人は右施設において姉と仲よく快活に生活しており、姉妹を引き離して事件本人を申立人の監護下におくのは適当でないこと、申立人は事件本人を放置して現在の夫と家出したものであるところ、この夫は無職で就職の意思もなく申立人の収入に頼っていること、本件申立の動機についても事件本人に対する愛情よりもその養育あるいは同居生活を通じて現在の夫との円満な夫婦生活の維持を主たる目的としていることなど判示事情のもとにおいては、事件本人の親権者を申立人に変更することは事件本人の福祉をはかることにはならないとして右申立を却下した事例
1 犯罪にあたる事実を摘示して人の名誉を毀損した場合における真実の証明の程度 2 弁護人が訴訟手続以外の場において被告人の利益擁護のため他人の名誉を毀損する行為と違法性の阻却
1 株式会社の支店長代理の職にある者が「支店長代理」の肩書で振出した約束手形について、会社の責任が否定された例 2 右の場合に、商法42条、43条の適用が排斥された例
関税定率法21条1項3号の輸入禁制品に該当するとして保税上屋に蔵置されている輸入物件について輸入者に対する検証物提出命令を許容した事例
アメリカ合衆国国際私法上、養子縁組について準拠法の連結素とされている住所は、法定住所であることを要しないが、当事者が軍の命令に基づき暫定的に我国に居住し、除隊後は本国に帰国する関係にあって日本に定住の意思のない場合は、右にいう住所が我国にあるとはいい難いとして、反致を認めなかった事例
工事を請負わせた者に、短期間車を無償貸与したところ、請負人の従業員が右車を運転して工事現場に赴くに際し事故を惹起した場合は、車貸与者も、右請負人も、運行供用者責任を負うとした事例
襲名による名の変更は、先代の死亡により職業を継承するとかその地方の慣習として世帯の代表者としての呼称のため欠くことができないというような特別な事情があって、襲名をしなければ日常生活上著しい支障を生ずる虞れがある場合は格別、先祖代々長男の地位にある者が家督相続に伴い襲名する慣行があるというだけでは正当の事由があるとはいえない
「試料採集装置」に関する特許を無効とする審決に対し、特許権者が請求した訂正審判の訂正を認める審決によって、無効原因が除去されたとして、審決が取り消された事例
第一審判決が有罪認定の証拠とした被告人の捜査官に対する供述調書数通が全体的に矛盾が多く捜査官の理詰めの追求により真実に合致しない自供がなされたものと推認され事実認定の証拠とすることができないとして原判決を破棄して無罪を言渡した事例