1 遺留分権利者が減殺権を行使するにはその遺留分を保全するに必要な限度を指定すべきであるが、生前贈与等により他に相続財産がぼとんどなく、相続開始時における具体的な遺産の価額が減殺請求者にとって不明であるときは、その指定方法として、遺産の具体的な価額にもとづかない単純な割合で、右限度を指定してもさしつかえないと解する 2 贈与の時期を異にする数個の贈与財産に対して遺留分の減殺請求をする場合、後の贈与から遺留分を保全するに必要な限度で減殺すべきであるとしても、遺留分権利者の遺留分を保全する限度でその効力は発生すると解されるから、慨括的な減殺方法が違法であるということはできない
韓国人男(亡)と元日本人女の重婚を理由として、その子が生存する母を相手方として申立てた婚姻取消の調停においては、人事訴訟手続法2条2項により、婚姻取消の訴につき当事者適格を有する申立人と相手方との間で、家事審判法23条に定める合意を適法にすることができる
債務者の無権代理人が作成を嘱託しかつ執行受諾の意思表示をして作成された公正証書に基づく不動産の強制競売手続によって競落人は不動産の所有権を取得するか
利害関係人に対する競売期日の通知もれと競落許可決定の効力 競落許可決定に対する異議或は抗告がなされず競落許可決定が確定し、競落代金が納入された以上、利害関係人に対し競売期日の通知がなされなかったとしても、かかる競売手続の瑕疵を理由に競落許可決定の効力を争うことは許されない
被相続人は、家出放浪中姉の死亡によりその遺産を相続したところ、その後も各地放浪のうえ、相続人なくして死亡したが、被相続人による遺産所有権の取得は、単に名目上のそれにすぎないなど判示事情のもとにおいては、本件相続財産処分の当否を判断する関係では、申立人と被相続人の姉との特別縁故関係の存否によって事を決すべきであるとして、被相続人とは直接の特別縁故関係のない申立人に相続財産を分与した事例
1 婚姻費用の分担額を決定する際に斟酌さるべき収入とは、現実に夫婦の生活費に供しうる額にほかならないのであるから、給与所得者である抗告人の収入額の算定にあたっては、市民税および県民税の額を控除するのが相当である 2 電話料および自動車税は、本来抗告人自身の生活費として支出すべきものであって、婚姻費用の分担額決定に際して斟酌される収入の額の算出にあたって控除さるべきではない
1 交差点において広路を進行する車が徐行しなかったとしても、これのみで過失あるとすることはできないが、安全確認義務まで否定されるわけではないと判示した事例 2 子の死亡に伴ない父が支出した葬儀費等の積極損害も被害者たる子に過失がある以上、父に過失なくも過失相殺の対象となる所以を判示した事例
婚外子の氏の父の氏への変更に際しては、その父の婚姻関係者が有する婚外子の氏変更に対する障碍事由を可能なかぎり除去するよう調整活動を尽し、婚外子の父の氏への変更と父の戸籍への入籍という問題が婚姻関係者の社会生活上ないし法律上の利益をできるだけそこなうことの少ないようにすることが必要であるとして、婚外子の父において右調整活動が尽されていると認め婚外子の父の氏への変更を許可した事例
本人の実印を所持する代理人と金融機関との間で継続的取引契約上の債務につき締結された連帯保証契約と民法110条の代理権ありと信ずべき正当の理由の有無
1 会社の訴訟上の代表者の確定と民法109条、商法262条の適用の有無 2 控訴裁判所が被告会社代表者の代表権限の欠缺を看過してなされた第一審判決を取り消す場合の措置