1 タクシー会社の争議に際し、会社が道路運送法18条による事業計画変更の認可を受けないで車輌(タクシー)の配置場所を第二組合員の就業している営業所に変えて営業を続けたため、第一組合側において、府警本部および陸運局に右違反の取締を強く要求し、その結果、警察からは違反車を見つけ次第現行犯逮捕してもやむを得ないとの言質を得、また、陸運局係員からも違反事実があれば考慮するとの言質を得たので、違反車を摘発して陸運局係員に呈示するとの方針を決定したところ、右決定に基づき、第一組合員が摘発した第二組合員乗務の違反車に対し、 (1)運転台の前面ガラスその他車体の各部に新聞紙製ビラ約30枚を貼りつけた行為につき、器物損壊罪の成立を認め(犯罪事実第5および弁護人の主張に対する判断参照) (2)違反車を陸運局前まで移動させるなどして同車によるタクシー営業を一時的不能ならしめた行為につき、組合の団結権と争議権を防衛するための現行犯逮捕に準ずる正当行為であるとして、威力業務妨害罪の成立を否定した(無罪理由(4)参照)事例 2 右争議に際し、組合員が、争議手段として、会社の意思に反し非組合員からエンジンキイ、自動車検査証等を受取り隠匿した行為につき、可罰的違法性なしとして、威力業務妨害罪の成立を否定した事例(無罪理由(1)参照) 3 右争議に際し、組合員が、争議手段として、会社の事務室および廊下のガラス窓、事務室内にある事務机その他の物にビラ多数を貼った行為につき、いまだその物の効用を害する程度に至っていないとして、器物損壊罪の成立を否定した事例(無罪理由(2)参照) 4 右争議に際し、会社側が強度の暴力を用いてピケットラインを突破し車輌(タクシー)の引出しを強行したのに対し、組合員がピケ防衛のため会社側の者に対して加えた暴行、傷害につき、正当防衛として、犯罪の成立を否定した事例(無罪理由(5)参照)
1 婚姻費用の分担額を決定するにあたり、原則として妻の特有財産の収入は資料とすべきでないという主張は理由なく、またそのような慣行はない 2 婚姻費用分担請求権は、請求権者にとって現実に履行されることを必要とするものであって、相殺による清算はその目的に反するから許されない
別件の起訴状が送達されないままに該事件の証拠調等の公判手続が進行したのちに右起訴状の送達、公判手続の更新等が行なわれた場合において前記送達前に行なわれた法令違反の判決に及ぼす影響
1 養子とする動機は、人道的に事件本人の生命を守り、かつ日本における留学の希望を叶えてやることにあるが、当事者間に真実親子関係を設定する意向があり、縁組から生ずる法律的効果を受ける意思があることは、ベトナム共和国民法の縁組要件である「適正な動機」の要件を充足するものであるとして、日本人夫婦が日本に居所を有するベトナム共和国人成年者を養子とすることを許可した事例 2 右成年者間の縁組につき、ベトナム共和国民法の要求する民事裁判所の認許は、わが家庭裁判所の許可をもって代用しうると解した事例
1 子会社所有の車について親会社に運行供用者責任が認められた事例(抗弁説による) 2 過失相殺について、運転者の過失を同乗の被害者の過失と同視して考慮した事例 3 自賠法の保険金の充当のしかた 4 慰藉料として認められない部分を逸失利益の損害として、予備的に請求していると解してこれを認容した事例
1 地方議会の議事進行に関連する議員の刑事犯罪と議会または議長の告訴告発 2 地方議会の議事進行に関する議長の措置が会議規則に違反していたとしても刑法第95条第1項にいう公務員の職務の執行にあたるとされた事例
1 刑訴法第361条の趣旨 2 第一審判決に対し被告人および検察官の双方から控訴の申立があり被告人のみこれを取り下げた場合において控訴棄却の判決に対し被告人から上告を申し立てることは許されるか