所有者である兄が、教職のため郷里を遠く離れ、その間係争の田畑のほか、宅地建物を実弟に預けておいた使用関係について、留守居の仕事を委任したものであるから賃貸借ではなく準委任契約であり、兄の死亡とともに契約は終了し、明渡義務ありとした事例
会社がその代表取締役として登記されている事項が不実なものであるとし、その名義による手形の支払を拒んでいる事案について、登記事項が不実の故をもって善意の第三者に対抗できないのは、当該登記の申請した者から主張しえないということであり、登記申請に関与しない者は不実登記であることを主張することは妨げない
1 株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないでした対外的な個々的取引行為の効力 2 中小企業等協同組合が代表理事に対し委任できる業務執行の意思決定の権限の範囲
架空会社の名義でされた取引が、営業活動をしていた個人だけの責任であり、単に、会社設立ののち社長に就任する意向を示したに止まり、営業活動をしていない者には責任はないとされた事例
換地予定地とその地上物件のみが売買の目的物と表示されていても、当事者の意思からみて、換地予定地を含む従前の土地全部およびその地上物件を目的物とするものと解し、その他の紛争の経緯を詳細に認定して、換地予定地外にあった地上物件の撤去を原因とする損害の補償ないし賠償の請求を理由なきものとした事例
相続人たる長男が永年無報酬で家業を手伝い遺産たる家屋の購入さらに維持増加に寄与した度合の大なる事情を考慮し、長男が右家屋の上に寄与分相当の潜在的持分を有するものと認め民法第250条の趣旨を参酌して持分を2分の1とした事例
財産分与制度は、一般に夫婦関係解消に伴う慰藉料、解消後の扶養および夫婦関係継続中に取得した財産の清算等の内容を有し、専ら夫婦間の対内的関係を律するものとして考えられているから、夫婦関係の実体のある限り、たとえ内縁であっても財産分与を認めるのが相当である。