1 抵当建物の使用者が、民法395 条2 項所定の使用対価を元所有者又はその管理者に支払ったとしても、買受人に支払ったとはいえず、建物引渡猶予制度による保護の適用を受けることはできないとされた事例(①事件) 2 平成15 年法律第134 号附則5 条が定める経過措置の適用を受ける賃貸借が、改正法施行後に開始された不動産競売開始決定を原因とする差押登記後に期間満了により更新されたことから、賃借人が、当該更新を抵当権者に対抗できず、抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当建物を使用することになったとしても、建物引渡猶予制度による保護の適用を受けることはできないとされた事例(②事件) 3 不動産競売開始決定を原因とする差押登記後に抵当建物を賃借して占有を開始した者は、基本事件に関する事情を知らない善意の第三者であったとしても、建物引渡猶予制度による保護の適用を受けることはできないとされた事例(③事件)
[①事件]東京高裁平成20 年12 月19 日決定(平20(ラ)第1913 号)
[②事件]東京高裁平成21 年12 月16 日決定(平21(ラ)第2126 号)
[③事件]東京高裁平成21 年9 月3 日決定(平21(ラ)第1386 号)