話題の事例をより深く。歴史ある判例実務誌
強制執行を受けた債務者がその請求債権につき強制執行を行う権利の放棄又は不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合に執るべき手続
担保権実行としての債権差押命令に対し,債務者が担保権(物上代位権)の不存在又は消滅という実体上の事由を主張して不服を申し立てる方法
建物の真実の所有者と主張する者は,抵当権に基づく物上代位による賃料債権の差押えについて,執行抗告の利益を有しないとされた事例
抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告において被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることの可否(消極)
執行裁判所は,強制競売の申立てが権利の濫用に当たると断定できないときには,その申立てを却下することが許されないとされた事例
債務者等に対する不動産競売開始決定の正本の送達ができなかった場合に,申立債権者が執行裁判所から債務者等の住所を補正すべきことを命じられたにもかかわらず補正しなかったとして,不動産競売の手続が取り消された事例
根抵当権者が競売の申立ての際に提出した当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されている登記簿謄本とみなされる登記事項証明書と民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条 1項 3号の文書
同順位の根抵当権者の1人が提出した不動産競売事件の申立書の被担保債権及び請求債権の部分における「金 8億円 但し,債権者が債務者に対して有する下記債権のうち,下記記載の順序にしたがい上記金額に満つるまで。」との記載が被担保債権の一部について担保権の実行をする趣旨の記載ではないとされた事例
抵当地上の建物の一部が抵当地以外の土地をも敷地として築造されている場合であっても,建物の相当部分が抵当地上に築造されている場合には,民法 389条 1項による一括競売をすることができるとされた事例
建物賃貸借契約締結の外形はあるが,真実は抵当権実行による競売手続において経済的利得を得る目的で他の者と意思を通じて適法な占有者の外形を作出したにすぎない者は,建物所有権を取得した者に対抗できないとされた事例
互いに主従の関係にない甲乙 2棟の建物がその間の隔壁を除去する等の工事により 1棟の丙建物となった場合と甲建物又は乙建物を目的として設定されていた抵当権の消長
土地を目的とする 1番抵当権設定当時土地と地上建物の所有者が異なっていたが後順位抵当権設定当時同一人の所有に帰していた場合と法定地上権の成否(消極)
更地に1番抵当権が設定された後,建物が建築され,土地建物に 2番抵当権(共同担保)が設定されたが,土地の抵当権につき順位変更がされた場合の法定地上権の成否(消極)
土地を目的とする先順位の甲抵当権が消滅した後に後順位の乙抵当権が実行された場合において,土地と地上建物が甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったが乙抵当権の設定時には同一の所有者に属していたときの法定地上権の成否(積極)
地上建物の共有者の 1人にすぎない土地共有者の債務を担保するため土地共有者の全員が各持分に共同して抵当権を設定した場合に法定地上権が成立しないとされた事例
所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に地上建物が取り壊されて新建物が建築された場合の法定地上権の成否(消極)
所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に建て替えた新建物に土地の抵当権と同順位の共同抵当権を設定した場合に当該抵当権の被担保債権に優先する国税について執行裁判所に対し交付要求がされたときの法定地上権の成否(消極)
不動産の強制競売手続において仮登記担保権の付着する債権として届け出られた債権が差押債権と同一である場合と民事執行法63条にいう「差押債権者の債権に優先する債権」の範囲
二重開始で,先行事件は無剰余だが,無剰余にならない後行事件があるときは,先行事件を取り消さないでそのまま進行させるという取扱いの適否(積極)
抵当権に基づく不動産競売において抵当権の不存在又は消滅を売却許可決定に対する執行抗告の理由とすることの可否(消極)
短期賃借権者が物件明細書に自己の権利が記載されなかったことを理由として売却許可決定に対して執行抗告をする利益の有無(消極)
所有者による執行抗告において,最低売却価額の決定に誤りがあったとしても,実際に定められた最低売却価額が本来定められるべき額よりも高額である場合には,その違法を主張する利益を欠き,当該違法は売却許可決定の取消事由とはならないとされた事例
競売不動産の利用について公法上の規制が存することが代金納付前に判明した場合の民事執行法 75条の類推適用の可否(積極)
買受人が,競売対象土地の面積が実測面積より過大に認定されてその価額が評価され,これに基づいて最低売却価額が定められていたことを知らないまま買受申出し,売却許可決定がされた後,それが判明した場合において,民事執行法75条 1項を類推適用して売却許可決定が取り消された事例
不動産競売事件において,最低売却価額の決定に当たり,競売市場における特殊性を考慮した減価率を40パーセントとしたことに重大な誤りはないとされた事例
不動産工事の先取特権の対象となるべき不動産の増価額が不動産競売手続における評価人の評価又はこれに基づく最低売却価額の決定に反映されていないことが同先取特権の被担保債権が優先弁済を受けるべき実体的権利に与える影響の有無(消極)
借地上の建物につき表示登記を経由した後に,増改築により建物の構造,床面積等に大きな変動が生じた場合において,旧表示登記のままで旧建物保護に関する法律 1条(借地借家法 10条 1項)所定の対抗力を有するとされた事例
競売開始決定を原因とする差押えの登記前で,かつ,仮差押えの登記後の用益権に基づいて競売不動産を占有する者は,引渡命令の相手方となるか(積極)
滞納処分による差押えがされた後強制競売等の開始決定による差押えがされるまでの間に賃借権が設定された不動産が強制競売手続等により売却された場合において当該賃借権に基づく不動産の占有者に対して引渡命令を発することの可否(積極)
代金納付後に期間が満了した短期賃借権者に対して不動産引渡命令を発令することができるとして,執行抗告の原審却下が許容された事例
不動産競売手続において交付要求書の延滞税の欄に法律による金額の交付を求める旨のみを記載してした交付要求の効力の及ぶ範囲
1 債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合における被担保債権への充当方法
2 債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合において同一の目的を有する複数の被担保債権があるときの案分の基礎となる被担保債権額の算出方法
共同抵当の目的となった数個の不動産の代価の同時配当に当たり, 1個の不動産上にその共同抵当に係る抵当権と同順位の抵当権が存する場合の配当額の計算方法
不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保しそのうちの 1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときの上記売却代金からの弁済受領額
配当異議の訴えにおいて,競売申立書の被担保債権の記載と異なる真実の権利関係に即した配当表への変更を求めるための要件
最先順位の抵当権者に対抗することができる賃借権により競売不動産を占有する者が当該不動産に設定された抵当権の債務者である場合における引渡命令
最先抵当権設定前に設定された賃借権が,債権回収を目的とするものに変容したとして,民事執行法83条 1項ただし書の「買受人に対抗することができる権原」に該当しないとされた事例
債権回収目的の賃借権者から転借権の設定を受けた占有者は不動産引渡命令の相手方となり,そのことが明らかな場合には当該占有者に対する審尋が不要であるとされた事例
抵当証券に基づく不動産競売の申立てにおいて抵当証券に記載のない期限の利益喪失条項による弁済期の到来を他の文書で主張立証することの可否(積極)
登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売において民事執行法 181条 1項 1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」に該当するための要件
限定承認の場合の相続財産換価のための競売(民法 932条)への無剰余による取消しの規定(民事執行法63条)の適用の可否(積極)
1 建物(ホテル)に対する担保不動産収益執行開始決定において表示された給付請求権が,担保不動産収益執行の目的である当該建物から生じる収益に該当し,その特定につき違法な点はないとされた事例
2 担保不動産収益執行開始決定に対して給付義務者の申し立てた執行抗告において,給付義務者が執行債権や収益給付義務の有無を争うことの可否(消極)
継続的給付を内容とする金銭債権に対する強制執行において,貸金元本の完済までの間における履行期未到来の附帯請求を請求債権とすることの可否(消極)
第三債務者である各金融機関の支店等を列挙し,これに順序を付して差押債権を表示する,いわゆる限定的支店順位方式による差押命令の申立てについて,差押債権の特定として足りていないとされた事例
保険医療機関,指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権と民事執行法 151条の 2第 2項に規定する「継続的給付に係る債権」
外形上債務者の責任財産と認められない他人名義の預金債権であっても,債権者が当該債権が真実債務者の責任財産であることを証明した場合には,執行裁判所は適法に執行手続を開始することができるとされた事例
債権に対する仮差押えがされても,当該仮差押債務者は,被仮差押債権を請求債権として,その債務者である仮差押えの第三債務者が有する債権につき差押命令を申し立てることができるとされた事例
1 貸金庫の内容物についての強制執行の可否及び方法
2 貸金庫契約上の内容物引渡請求権に係る取立訴訟における個々の動産の特定及び存在の立証の要否
支払保証委託契約を締結する方法により強制執行停止の担保が立てられた場合において同契約締結の際にされた定期預金の払戻請求権に対して転付命令を得た第三者が担保の取消しの申立てをすることの可否(消極)
証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の受益者が受益証券を販売した会社に対して有する一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者が取立権の行使として上記会社に対し解約実行請求をして同請求権を取り立てることの可否(積極)
請負工事に用いられた動産の売主が請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することの可否(積極)
1 動産譲渡担保権に基づく物上代位権の行使が認められた事例
2 動産譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後における当該譲渡担保権に基づく物上代位権行使の可否(積極)
抵当不動産の賃借人が抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって賃料債権に物上代位権の行使としての差押えをした抵当権者に対抗することの可否(消極)
建物賃料債権の差押えの効力が発生した後に建物を譲り受けた者が賃貸人の地位の移転に伴う賃料債権の取得を差押債権者に対抗することの可否(消極)
動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使としての債権の差押命令の申立てと他の債権者による債権差押事件の配当手続における優先弁済
金銭債権に対する差押えの申立てにおいて附帯債権を申立て時までの確定金額として請求債権が表示された場合に配当手続で債権計算書を提出して申立て後の附帯債権を請求債権に加えることの許否(積極)
債権に対する仮差押えの執行後に本執行がされた場合において仮差押えが取り下げられたときの仮差押えの執行後本執行前にされた被差押債権の弁済の差押債権者に対する効力(積極)
不動産について被担保債権を共通にする第 1順位と第3順位の根抵当権を有する債権者が,両根抵当権に基づいて当該不動産の賃料について物上代位による債権差押えを行い,これを取り立てた後に,当該不動産が担保権実行により競売された場合,上記各根抵当権を有する債権者が,当該不動産の売却代金の配当手続において,「物上代位によって取り立てた賃料は第 3順位の根抵当権により取り立てたものである」と主張することができないとされた事例
差押えがされている動産引渡請求権を更に差し押さえた債権者が先行する差押事件で実施される配当手続に参加するために執行裁判所に対して競合差押債権者の存在を認識させる措置を執るべき義務の有無(消極)
不動産競売の配当請求権を差押債権とする債権配当における当該不動産競売申立債権者代理人弁護士の報酬請求権の共益費用(民法307条)該当性(消極)