最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は、貝割れ大根の生産業者である原告が、被告に対し、平成八年七月に大阪府堺市において発生した病原性大腸菌O―157による学童の集団下痢症について被告(厚生省)が公表した調査結果が、科学的根拠がないにもかかわらず原告が出荷した貝割れ大根をその原因食材であると事実上断定するも...
《解 説》
一 本件は、公選法の戸別訪問禁止、文書頒布規制等の規定の合憲性、市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)適合性が争われた事案(①事件)、及び戸別訪問禁止、事前運動禁止の規定の合憲性、B規約適合性が争われた事案(②事件)である。本件は、いずれも昭和六一年の衆参同時選挙におい...
《解 説》
一 本件は、日本軍の軍人として従軍し、戦後シベリアに抑留された在日韓国人である原告が、恩給法に基づき普通恩給の請求をしたところ、日本国籍の喪失を理由に請求を棄却する旨の処分を受けたことから、(1)恩給法の国籍条項は憲法一四条に違反すると主張して、被告総務庁恩給局長に対して普通恩...
《解 説》
一 本件は、東京都町田市の住民らが、市が日本下水道事業団と委託協定を締結して委託した下水道施設建設工事に関し、同事業団がそのうちの電気設備工事を業者に発注したところ、業者らの談合等により、その工事請負代金が不当につり上げられ、委託者としてこれを負担した市が損害を被ったとし、市は...
《解 説》
一 本件は、大阪府の住民らが、府が日本下水道事業団と委託協定を締結して委託した下水道施設建設工事に関し、同事業団が業者に発注した電気設備工事の請負代金が、業者らの談合等により不当につり上げられ、府がこれを負担することにより損害を被ったもので、府は談合業者らに対し、不法行為による...
《解 説》
一 本件は,富山県の住民であるXらが提起した住民訴訟で,怠る事実に係る住民監査請求について地方自治法二四二条二項本文の規定(以下「本件規定」という。)が適用されるかどうかが争点である。Xらが住民監査請求及び住民訴訟の対象としているのは,同県がYらに対して有する不法行為に基づく損...
《解 説》
一 本件は、被告人らが手形ブローカーから入手した盗品である約束手形を窃盗の被害に遭った会社の子会社に売却し、有償の処分のあっせんをしたという事案である。すなわち、A社は、約束手形一八一通(額面合計約七億八〇〇〇万円)等を盗まれたが、被告人は、共犯者と共謀の上、氏名不詳者から、こ...
《解 説》
一 女性Aは、平成七年九月一日当時、東京都東村山市の市議会議員であったが、同日午後一〇時三〇分ころ、同市所在のビルから転落し、両膝下開放骨折等の重傷を負った。そこで、Y(東京都)が管轄する消防署から救急隊(隊長、救急救命士、機関員の三名構成)が出動したところ、当初Aは一定程度の...
《解 説》
一 本件は、平成八年七月二八日、渓流で水遊びなどが楽しめる渓流公園の渓流で遊んでいたAに崖上から大きな枯れ木が落下して当たり、Aが死亡した事故について、遺族が右公園の設置者(村)、管理者(財団法人)及び崖上の管理者(県)に対し、安全配慮義務違反、工作物(営造物)の設置管理の瑕疵...
《解 説》
本件は、渋谷区長Y1が区内の二町会の記念行事に祝儀として渡す慶祝用清酒(一升瓶)計四本の購入代金七七〇二円を、資金前渡の方法により処理されていた区長交際費から支出したことが違法な公金の支出に当たるとして、渋谷区民であるXが、Y1につき当該支出について指揮監督権の行使を怠ったこと...
《解 説》
一 X(石油製品の卸売業者)は、Aとの間に不動産・給油所付帯設備一式を賃貸し、石油類製品等の特約販売契約を締結した。Yは、Aの右債務について連帯保証した。Xは、Aに対する債権等を担保するためB所有の土地建物に根抵当権を設定したが、X代表者夫妻甲乙は、Bから右土地建物を買い受けた...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Yは、昭和五九年三月、A社に対し、自己が所有する建物(本件建物)の一部(本件賃借部分)を、期間同年四月から一〇年間、賃料月額約四四三万円との約定で引き渡すとともに(本件契約)、Aから敷金約一二八三万円(本件敷金)及び保証金約九九七七万...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、平成一一年四月、Yとの間で、A社の所有する本件土地をYが八億八〇〇〇万円で買うことについて、専任媒介契約を締結した。Xは、Yから本件土地の買付証明を受け、これをA社に提出するなどして仲介活動を開始したが、その後仲介活動は中断した。とこ...
《解 説》
一 Yの夫のAは、母であるXが所有する本件土地に本件建物を建築して所有していたが、Xは、Aが平成九年一〇月二日に死亡した後、本件建物を相続したYに対し、無断で自己所有地に建物を所有していると主張し、建物収去土地明渡しを求めた。
Yは、XはAに対し、Yが同席しているところで本件...
《解 説》
一 本件は、他人のデータベースを複製し、それを自動車整備業用システムに組み込んで販売した行為が不法行為に当たるとする中間判決がなされた事件(東京地判平13・5・25)につき、損害論等についての終局判決がなされたものである。
二 この中間判決は、知的財産権訴訟において、中間判決...
《解 説》
一 事案の詳細は原審の解説(本誌一○五三号一三七頁)を参照されたい。Xは、不動産販売業を営むY1から新築建売住宅(本件土地建物)を購入した者であり、Y2はY1の代表取締役であると共に本件建物の建築主である。Y3は、本件建物の施工者(請負人)であり、Y4は二級建築士で、本件建物の...
《解 説》
一 本件は、原告が海外商品先物オプション取引(以下「本件取引」という。)をしたところ、被告らの勧誘行為について、説明義務違反・断定的判断の提供等の違法があったとして、不法行為責任が問われた事案である。
すなわち、原告は、本件取引当時専業主婦であったところ、被告らが原告に対して...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、平成七年一〇月にPHS事業を開始したA社が、その後の携帯電話会社との競争に苦戦して累積損失を発生させ、平成一〇年六月と一二月の各株主総会で携帯電話会社Y2(ドコモ九州)への営業譲渡(本件営業譲渡)と会社解散(本件会社解散)を決定したため、これに反対する...
《解 説》
一 本件は、不動産業者であるXが、建物建築等に反対する内容の看板類を掲げた近隣住民ら及びその相続人らに対して、民法七〇九条に基づき、新築建物の販売価格の下落分等を請求した事案であるが、詳細は以下のとおりである。Y1ないしY6、P(Y7の被相続人)及びQ(Y8ないしY11の被相続...
《解 説》
一 訴外Aは、平成六年一〇月ころから、舌の異常を感じるようになったため、平成七年三月、Yの経営するB病院で診断を受けたところ、舌癌が頸部に移転していると診断されたため、同年七月、舌半切除・右頸部郭清等の手術(以下「本件手術」という。)を受けた。
Aは、本件手術後、B病院で術後...
《解 説》
一 本件は、役務について別紙被告標章目録記載の標章(以下「被告標章」という。)を使用しているYの行為が、Xの有する役務に係る商標権を侵害するとして、XがYに対し、同商標権に基づいて、同標章の使用の差止めを求めた事案である。
Xは、電気めっき等の指定役務について、別紙商標目録記...
《解 説》
一 Xらは、発明の名称を「置換プリン」とする特許の特許権者とその独占的通常実施権者である。Yらは、同特許の実施品であるアシクロビルをその有効成分として含む医薬品(ゾビラックス)七〇〇〇錠を購入し、この錠剤を崩壊させて、その有効成分であるアシクロビルを抽出・精製し、アシクロビルを...
《解 説》
一 原告らは、発明の名称を「超微粒ソルビトールアセタール及びキシリトールアセタールを含有するポリオレフィン組成物」とする特許権(請求項により方法の発明と物の発明とがある。)及びその専用実施権を有する者であるが、被告製品は本件発明の方法の実施にのみ使用する物又は本件発明に係る物の...
《解 説》
一 Xらは並行輸入業者であって、海外ライセンシーに由来する○○・××商標の付されたポロシャツ(本件商品)を並行輸入して国内で販売していた。これに対し、同商標の商標権者であるYは、Xらの輸入販売する本件商品は偽造品である旨の広告を業界紙に掲載し、大手スーパーマーケットに対して、本...
《解 説》
一 事案の概要
被告は、官公署等の依頼を受けて土地家屋に関する登記の嘱託手続等を行うことを主な業務とする社団法人であり、その受任業務については、被告内部に設けられた配分委員会による配分を受けて、その社員である各土地家屋調査士において行うことが一般的な形態であったところ、被告の...
《解 説》
本件は、争点の一つであった改造けん銃の「銃砲」さらには「けん銃」該当性について、消極の判断が示された事例である。本判決は、銃砲刀剣類所持等取締法にいうけん銃にあたるか否かについて、その構造、形態、使用方法などを総合的に検討するべきであること、同法にいう銃砲の実質的要件としての発...