最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、我が国初のパソコン通信ネットワーク上の発言の名誉毀損等の成否、システム・オペレーター(パソコン通信の主宰者との間の契約に基づき、特定のフォーラムの運営・管理を委託されている者。以下、「シスオペ」という。)の削除義務、パソコン通信の主宰者であるサーバーの...
《解 説》
一 申立人は、殺人、強盗殺人未遂、強盗致傷等の罪により、平成五年一〇月二七日死刑判決を言い渡され、原審(国選)弁護人は即日控訴の申立てをなしたが、申立人は同年一一月一六日控訴取下書によりこれを取り下げたものであるところ、その後申立人から選任された本件弁護人らは控訴取下げは無効で...
《解 説》
一 本件は、名古屋市の住民である原告が、名古屋市公文書公開条例(昭和六一年名古屋市条例第二九号。以下「本件条例」という。)に基づき、平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの市長交際費の使途についての細目を記載した公文書の公開を請求したところ、被告が、請求に対応する公文書のう...
《解 説》
一 本件は、愛知県の住民である原告が、愛知県公文書公開条例(昭和六一年愛知県条例第二号。以下「本件条例」という。)に基づき、平成元年四月一日から同二年三月三一日までの間の知事交際費の使途についての細目を記載した公文書の公開を請求したところ、被告が請求に対応する公文書のうち現金出...
《解 説》
一 住宅・都市整備公団は、埼玉県桶川市若宮一丁目所在の三七八五・三二平方メートルの土地に地上二五階建て、高さ七五・五メートルの共同住宅(以下「本件建築物」という。)を建築する計画を立て、建築基準法五二条一項所定の容積率制限の緩和のため、同法五九条の二に基づくいわゆる総合設計許可...
《解 説》
一 事案の概要
千代田生命保険相互会社は、東京都渋谷区広尾一丁目所在の約一万三〇〇〇平方メートルの土地(以下「本件土地」という。)を所有し、従前、低層施設を建築、所有していた。本件土地は、JR恵比寿駅北東約五〇〇メートルに位置し、西側から北側にかけて道路が接し、南方には大通り...
《解 説》
一 平成一〇年法律第四七号による改正前の公職選挙法によれば、引き続き三ヶ月以上日本国外に在住している日本人(在外日本人)については、地方自治体の長及び議員の選挙権が与えられないばかりでなく、衆議院議員及び参議院議員の選挙権も与えられていなかった。本件のXらはいずれも、平成八年一...
《解 説》
一 東京都は、Aから提起された訴訟事件に応訴していたが、平成一〇年三月三〇日、Aとの間で、都がAに対し八五億円を支払い、A所有の甲土地を取得するとの本件和解を成立させ、Aに対し八五億円を支出した。都では、都議会の本件議決により、都が応訴する訴訟事件の和解を都知事の専決処分とする...
《解 説》
一 本件は、県の一般会計から工業用水道事業会計への支出が、地方自治法二四二条一項にいう「公金の支出」であるとして、同法二四二条の二第一項一号に基づきその差止めを請求した事案である。
原審(津地判平12・1・27本誌一〇三一号七九頁)は、本件訴えは不適法であるとして却下したのに...
《解 説》
一 本件は、損害保険会社(以下「会社」という。)の従業員であり、その従業員で組織されている労働組合(以下「本件組合」という。)の組合員ら一九名(以下「本件組合員ら」という。)が、会社の職制の言動、会社による配置転換、休暇取得の取扱い、会社のした本件組合員らの職能資格格付け等につ...
《解 説》
本件は、錯誤無効を理由に、残土による埋め立てのための土地使用契約で交付された代金の返還を求める不当利得返還請求権の消滅時効が、これに先行する債務不履行解除を理由とする原状回復請求としての代金返還請求訴訟の審理によっても中断されていないとされた事例である。
事実関係は、次のとお...
《解 説》
一 本件の事実関係は以下のようなものである。
控訴人Y1は亡Aの妻であり、控訴人Y2はY1と亡Aの子供である。亡Aは亡Bとその夫の実子同然に育てられてきた。
亡Aは亡Bの実子ではないが、亡B夫妻によって実子同然に育てられ、昭和二六年に本件建物が建築された以後も一時を除いて亡...
《解 説》
一 本件の経過は次のとおりである。
Aが死亡し、妻B、長男C、次男YがAを相続した。Aは死亡当時、BCと同居していた。CはYに対し、Aの遺産分割に関する協議を申し入れて意見を交換したが、当事者同士では解決が困難と判断し、弁護士であるXにAの遺産分割に関する交渉を委任した。Xは...
《解 説》
一 Xは、交通事故により受傷したため、Y医院を訪れたところ、Yは、顎関節症、補綴物欠損と診断した上、咬合調整や金属製の義歯を用いた治療をした。その後、Xは、めまい、あご関節の不調、金属アレルギー反応による吐き気及び舌のひび割れ等が生じたと訴えて、A歯科を受診したところ、Yによる...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。訴外会社Aに対して「ちりめん」を販売したXは、訴外会社Aが経営破綻した後、同社と同様の「ちりめん」の加工・製造業務を行っているYに対し、訴外会社AとYは実質的に同一の法人であり、Xの訴外会社Aに対する債権の支払を免れるために訴外会社Aの「ち...
《解 説》
一 本件は、いわゆる製造物責任保険契約である損害保険契約(本件保険契約)の対象となった製造物である集塵機(本件集塵機)がその製造物業者のYから納入先のZのクリーニング工場に設置された後、当該集塵機内部からの発火による火災事故(本件火災)が発生してクリーニング工場が焼失したとして...
《解 説》
一 Yは和歌山市加太先沖の特定区域に共同漁業権を有する漁業協同組合であり、二四九名の組合員がいる(准組合員を含む)。X1X2X3はYの組合員であったが総会の決議によって組合から除名された者である。
Yの組合員であるX1らは、昭和五六年から乗合船による遊漁船業を開始し、Yが共同...
《解 説》
一 事案の概要
A信用組合は、マンション用地の開発業務等を行っていたB及びその関連会社五社に対し、平成元年ころから多額の貸付を継続的に行っていたが、その後、B及びその関連会社五社が、バブル崩壊や土地価格の下落の影響で事実上返済不能となり、A信用組合は、右貸金のうち大部分につ...
《解 説》
本件は、覚せい剤精神病に罹患していた被告人が、自宅で同居していた父母に対し、殺意を持って包丁で数回突き刺すなどし、その結果父親を殺害し、母親に重傷を負わせたという、殺人及び殺人未遂の事案であり、被告人の責任能力が主たる争点となったものである。
本件事案の詳細は判文を参照してい...
《解 説》
一 本件は、アニメ作品「宇宙戦艦ヤマト」の著作者が原告(X)と被告(Y)のいずれであるかが争われた事件である。Xは、別紙作品目録記載の1ないし8の各作品(以下「本件各著作物」という。)を著作して、著作者人格権を取得したことを前提として、Yが本件各著作物を著作した旨述べた行為は、...
《解 説》
一 本件は、金融業者である原告の、連帯根保証人に対する保証債務履行請求事件である。
被告は、本案前の答弁として、原告の支配人は訴訟遂行の便宜のために形式的に選任されているだけで決定権がなく、支配人としての実質を欠くからその訴訟行為は無効であり弁護士による追認の余地もないと主張...
《解 説》
本件は、平成一三年一二月二五日に施行された刑法の一部を改正する法律(平一三法一三八)により新設された危険運転致死傷罪を適用した初めての事件である。
事案の概要は、運転開始前の約四〇分間に焼酎四杯(約二合)を飲酒した影響により前方注視および運転操作が困難な状態で普通貨物自動車を...