最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、仙台地方裁判所判事補がいわゆる組織的犯罪対策法案を廃案に追い込むための運動の一環として開催された集会に参加して行った言動が、裁判所法五二条一号が禁止する「積極的に政治運動をすること」に該当し、同法四九条所定の懲戒事由である職務上の義務違反に当たるとして、仙台地方裁判...
《解 説》
一 本件は、昭和六二年に近鉄東大阪線生駒トンネル内において発生した火災により、同トンネル内を通過中の電車の乗客らが有毒ガスを吸引するなどして、死者一名及び重軽傷者四二名を出したいわゆる近鉄生駒トンネル火災事故に関する控訴審判決である。原審である大阪地判平7・10・6本誌八九三号...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、平成八年一〇月二〇日施行の衆議院小選挙区選出議員選挙における和歌山県第三区の選挙の候補者及び右選挙と同時に行われた衆議院比例代表選出議員選挙における近畿選挙区の選挙の衆議院名簿登載者であって(いわゆる重複立候補者)、小選挙区選挙に落選し、比例代表選挙に...
《解 説》
一 事案の概要
原告外三社は、社会保険庁が競争入札の方法で発注していた葉書用シールの入札につき、談合してあらかじめ受注予定者を決め不当な取引制限をするという本件カルテル行為を行った。被告は、原告外二社に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「法」という。)七...
《解 説》
一 本件は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「法」という。)二条一項七号所定のぱちんこ屋の営業について、ぱちんこ屋の近隣住民であるXらが、Y(東京都公安委員長)が同法三条一項に基づいてした許可が違法であると主張して、その取消しを求めた事件である。本件の争点は...
《解 説》
一 本件は、加須市の住民であるXらが、Yが市長として市立中学校の建設のために違法な公金の支出をし市に損害を与えたとして、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、市に代位して、Yに対し損害賠償を請求した住民訴訟である。Xらは、本訴の提起に先立ち、住民監査請求(第一回監査請求)を...
《解 説》
一 本件は、分譲マンションについて、区分所有者の有する駐車場専用使用権等の一部を消滅させ、一部を有償化する内容の規約設定及び集会決議が、右区分所有者の専用使用権に建物の区分所有等に関する法律(以下、原則として「法」という。)三一条一項後段所定の「特別の影響」を及ぼすか否かが主た...
《解 説》
一 本件は、最一小判平10・10・22本誌本号二九六頁(ミリオンコーポラス高峰館事件)と同じく、マンションの分譲業者が、分譲に際し、マンション敷地の一部に駐車場としての専用使用権を設定し、一部の買主にこれを分譲して対価を受領した事案について、右専用使用権分譲の対価が分譲業者とマ...
《解 説》
一 本件事案の概要は、銀行が取引先の会社から手形割引の依頼を受けて約束手形を預かっていたのであるが、取引先会社が破産宣告を受け、その破産管財人が銀行に右手形の返還を求めたところ、銀行は、返還を拒絶し、支払期日に手形交換によって取り立てて、取引先に対する債権の弁済に充当したという...
《解 説》
一 刑法九六条の三第一項の競売入札妨害罪は、偽計又は威力を用いて公の競売又は入札の公正を害すべき行為をしたときに成立する。本件は、威力による競売入札妨害の事案であり、入札により落札者(最高価買受申出人)が決まった後の行為について、同罪が成立するか否かが問題となった。本決定は、そ...
《解 説》
一 本件は、当時の株式会社平和相互銀行(昭和六一年一〇月住友銀行に吸収合併)の監査役で顧問弁護士であり、また経営上強い発言力を持っていた被告人が、代表取締役らと共謀の上、不正融資を行ったとして、特別背任の共謀共同正犯に問われた事案である。起訴された融資は四件であり、一、二審でい...
《解 説》
一 本件は、東京都知事の交際費に係る公文書の開示の要否をめぐって争われた本誌七九八号二七七頁掲載の東京地裁判決に対する控訴審判決であるが、東京都内に事務所を置く権利能力のない社団であるXが、東京都公文書の開示等に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき、昭和六三年四月から...
《解 説》
一 Y(被告、被控訴人)は、土地改良法八九条の二第四項において準用する八七条五項に基づき、平成六年一一月四日、同日から同年一二月二日まで本件換地処分に関する換地計画を縦覧に供した。X(原告、控訴人)は、Yに対し、同月一六日、本件換地計画に対する異議申立てをした。Yは、平成七年一...
《解 説》
一 被控訴人らは滋賀県公文書の公開等に関する条例により空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等の公開を請求したところ、知事は同条例六条七号により申請を却下した。被控訴人らはこの却下処分に対し訴訟を提起し、大津地裁は請求の公文書につき同号に定める事由は認められないとしてこの処分を取...
《解 説》
本件は、原告が、被告に対し、大阪府公文書公開等条例(以下「本件条例」という。)に基づき、南大阪湾岸埋立工事、阪南丘陵土砂採取工事の指名競争入札に関する内申書(以下「本件内申書」という。)、予定価格調書(以下「本件予定価格調書」という。)及び入札参加資格者審査調書(以下「本件審査...
《解 説》
Yは、タクシー運送事業を目的とする会社であり、Xは平成四年六月、Yにタクシー乗務員として雇傭された。Yには二つの労働組合があり、Xはその一つのA労組において平成六年九月以降、執行委員長に就任した。A労組は、平成八年四月八日、九日、一五日の三回にわたってピケッティングを含むストラ...
《解 説》
Yは大学等を設置する学校法人であり、Xは昭和五六年以降、その大学教授であったところ、平成三年四月、Yの就業規則三九条四号(業務上又は管理上の指示若しくは命令に反抗し、秩序を乱したとき)、九号(学園の運営に関し不実の事項を流布宣伝したとき)及び一〇号(その他前各号に準ずる不都合な...
《解 説》
一 事案の概要
博物館を経営する社団法人が、銀行から融資を受け、博物館の建設、運営を目的とする株式会社の取締役らが、融資の連帯保証人になっていたが、博物館の経営が行き詰まり、博物館及び株式会社経営の中心であった連帯保証人甲が弁済した後、甲の相続人が、株式会社の取締役であった連...
《解 説》
一 Xは、平成二年八月、「永野ゴルフ倶楽部」を経営するYとの間でゴルフ会員入会契約を締結し、預託金として二二〇〇万円を預託したが、右預託金の返還は右倶楽部のオープン(平成四年一〇月)後五年経過後とする履行期は到来したと主張し、Yに対して、二二〇〇万円の預託金の返還を求めた。
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《解 説》
一 本件の事案の概要は以下のとおりである。
Xは現役の衆議院議員であり、Yは金融機関等向けに月刊の会員制情報誌「現代産業情報」を発行する者である。Xは、右「現代産業情報」に掲載された「自民党執行部弱体と梶山氏の真の力量!」と題する記事における「甲野氏は、ご存知のように警察庁出...
《解 説》
Xは、海外不動産の売買、仲介等を業とするY1株式会社(代表者Y2)の仲介によりハワイ島所在の土地を三回にわたり、これを所有する会社(Y2が代表者又は実質的経営者)から購入し、代金を支払った。Xはそのほか、ハワイ島の土地を譲渡担保としてY1に金銭を貸し付けた。Xはその後、各土地の...
《解 説》
Xらの子A(満二五歳)は、Yが所有し、他人に賃貸している本件マンションの四階にある友人B宅に遊びに行き、Bらと飲酒して歓談中、南側窓から転落して一週間後死亡した。
Xらは本件マンションの南側窓には手すりがなく、腰壁の高さが約四〇センチメートルであって、必要な高さを保持していな...
《解 説》
一 X1は、昭和六三年一〇月一二日、Yの経営する産婦人科医院において、X2、X3の第二子の男児として出生したが、出生後仮死状態に陥ったため、救急車で近くの国立病院に搬送され、同病院等で治療を受けたが、低酸素状態による脳性麻痺等の重篤な後遺障害が残った。
そこで、Xらは、右医院...
《解 説》
一 Xは、平成五年九月九日、Y1(保険会社)との間で、父である訴外Aを被保険者とし、自己を保険金受取人とする二口の普通傷害保険契約を締結し、同月二七日、Y2(保険会社)との間で、Aを被保険者とし、自己を保険金受取人とする普通傷害保険契約を締結したところ、同年一〇月二二日から翌日...
《解 説》
一 本件は、酒類を指定商品とする「ORGANIC」という商標(X商標)の商標権を有するXがYに対し、缶ビールの容器に「ORGANIC BEER HARVESTER」、「HARVESTER Organic Beer」なる文字を含む標章(Y標章)を付してビールを販売するなどのYの行...
《解 説》
一 本件は、原告が被告に対し、被告による磁気媒体リーダーの製造販売が原告の実用新案権の侵害に当たるとして、逸失利益相当の損害賠償を求めた事案である。
二 本判決は、実用新案登録請求の範囲の記載のうち、「上記磁気ヘッドが下降位置にあるときは上記磁気ヘッドの回動を規制……する回動...
《解 説》
一 原告はえびせんべいの原料となるえび入り加工食品に係る実用新案権を有していた(平成八年一二月二日に存続期間満了)。被告らはえびせんべいの製造販売等を業とするものであり、えびせんべいの原料を一次焼成と二次焼成の二回に分けて焼成するいわゆる二度焼きの製法で製造したえびせんべいを販...
《解 説》
一 Xは、血液型の研究等に従事し、論文、小説等の執筆活動を行っており、「「血液型と性格」の社会史」という書籍(原告書籍)を著作した。Y1は、著述業に従事しており、「小さな悪魔の背中の窪み―血液型・病気・恋愛の真実―」という書籍(被告書籍)を執筆した。Y2は、出版社であり、被告書...
《解 説》
一 本件は、第二次世界大戦中の旧オランダ領東インド(現インドネシア)地域において旧日本軍の構成員から虐待等の被害を受けたとして、旧日本軍の捕虜又は民間人抑留者であった原告ら八名(いずれもオランダ人)が、被告国に対して、国際法であるヘーグ陸戦条約の三条及びこれと同内容の国際慣習法...
《解 説》
一 本件は、医療過誤訴訟について、Yから民訴法一七条による移送が申立てられた事件である。
本案は、胃癌・癌性腹膜炎により死亡したAの遺族であるXらが、受診したA病院(鹿児島市所在)開設者であるY(全国に病院を開設して医療に従事する社会福祉法人、主たる事務所所在地は東京都)に対...
《解 説》
一 Yは、A所有の不動産を競落し、Aに対する不動産引渡命令を得て、本件建物について引渡執行に着手した。これに対して、X会社から第三者異議が出されたのが、本件訴訟である。Xが主張する異議事由は、XはAから本件建物を倉庫(その後、事務所兼社宅)として賃借していたというものであった。...
《解 説》
一 本件は、自動車内に覚せい剤を所持したとされる事案において、被告人が、同せい相手が被告人を逮捕させるために覚せい剤を自動車内に隠し入れて警察に通報した疑いがあるとして争い、被告人とその同せい相手の供述のいずれが信用できるかが争点となったものである。
二 本判決は、被告人の同...
《解 説》
一 本件判決は、第一審の判決書に記載された作成日(刑訴規則五八条一項)が宣告日の一年前の日付であった事案について、これを明白な誤記と認定し、その理由を示したものである。
最高裁判例の中には、判決作成日の誤りを明白な誤記とは認めず、判決に影響を及ぼす法令違反にあたるとしたものが...
《解 説》
一 事案の概要
Xら(上告人)は、マンション分譲業者から、本件マンション(シャルマンコーポ博多)の建物区分所有権等と共に、マンション駐車場の専用使用権の分譲を受けた者である。分譲形態は、最一小判平10・10・22本誌本号二九六頁(ミリオンコーポラス高峰館事件)と類似しているが...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、マンション分譲業者が、分譲に際し、マンション敷地の一部に駐車場としての専用使用権を設定し、一部の買主にこれを分譲して対価を受領した事案について、右専用使用権分譲の対価が分譲業者とマンション管理組合のいずれに帰属すべきものかをめぐって争われた訴訟である。...