最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 Xは、セシリア・ロゼテと名乗る女性の子として長野県の小諸市内の病院で生まれたが、この女性は、Xの出産時には、旅券等のその身分を証する物を所持しておらず、Xを出産した直後に、Xを現在の養父母であるアメリカ人牧師夫妻に預けて消息不明となった。そこで、Xが、子が日本で生まれた場合...
《解 説》
一 本件は、北陸電力が石川県羽咋郡志賀町に建設した原子力発電所(志賀原子力発電所)について、付近住民らが、人格権及び環境権に基づいて運転の差止めを求めた事案である。
原告らは、差止めを求める理由として、立地選定の誤り、原子炉の工学的な欠陥など様々な点を指摘し、本件原子力発電所...
《解 説》
一 事案の概要等
1 沖縄県豊見城村の住民であるX人ら約三〇〇名が、村長であったYに対し、村有地(以下「本件土地」という。)を違法な一般競争入札により低額で売買したため(以下「本件売買契約」という。)村に損害を与えたとして、地方自治法(以下「法」という。)二四二条の二第一項四...
《解 説》
継続的取引により生ずる債務を根保証した者が、同一の債務につき物上保証人となって根抵当権を設定した場合の、根保証限度額の約定についての当事者の意思解釈が問題となった事案である。
Yは、主債務者の元妻であり、主債務者の経営するコンビニで従業員として働いていたが、主債務者が従前から...
《解 説》
本件は、通称割賦バックともいわれる取引における意思表示の解釈の問題を扱ったものであり、事実関係の詳細は判決文を参照されたい。事案を簡略化すると、リース業者である甲が、乙丙との三者間で、甲が乙に金融を得させることを目的として、乙所有の冷凍冷蔵庫を乙から丙を経て甲へ順次売却し、さら...
《解 説》
本件は、一〇歳二月と九歳一一月の共に小学校四年生の男の子が、近所の子供らから「お化け屋敷」といわれ、荒れ放題になっていた無人の倉庫に入って火遊びをした結果、右倉庫が全焼したため、右倉庫につき掛けられていた火災保険が支払われ、保険代位したXが、二名の子の親権者であるYらに対して、...
《解 説》
本件は、平成四年三月施行の暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(いわゆる暴力団新法、以下「新法」という。)三条に基づく暴力団の指定処分に対する審査請求を棄却した国家公安委員会の裁決の取消訴訟である(新法二六条一項は、三条の規定による指定に不服がある者は、国家公安委員会に...
《解 説》
Iは、精神分裂病患者であり、自傷他害のおそれがあるとしてY県立病院に措置入院されていた者であるが、昭和六一年四月一九日、作業療法の一環として、看護士ら四名の引率のもと他の患者二四名と共に院外散歩に出た際、エンジンキーを付けたまま停車していたライトバンに乗り込んで離脱し、同月二三...
《解 説》
本件は、いわゆる浅草橋焼討事件に参加して懲役五年の刑に処せられ、刑期満了により釈放された男性(訴え提起当時は受刑中であった。)と、その未決勾留中に婚姻届けを出したその妻とが、本人受刑中妻との接見や妻への信書の発受信を違法に不許可とされ、精神的苦痛を受けたとして提起した損害賠償請...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Xが①住民訴訟として、甲町がXを名誉毀損罪で告訴する件について必要な費用としてされた乙弁護士に対する五〇万円の支出が違法であるとして、甲町の町長であるYに対し、主位的にXに、予備的に甲町に五〇万円の支払いを求め、併せて甲野に対し、地方自治法二四二条の二...
1 高血圧症の基礎疾病を有するタクシー運転手の業務中の脳出血による死亡について業務起因性が認められた事例
(神戸地裁平6・3・11判決)
《解 説》
一 本件は、本件土地を購入して所有権移転登記を経由したXが、右土地上に本件建物を所有して右土地を占有しているYに対し、本件土地の所有権に基づき、主位的に本件建物を収去して本件土地の明渡しを、予備的に四二〇〇万円の支払いと引換えに本件建物を収去して本件土地の明渡しを求めたのに対し...
《解 説》
Xは、区分所有建物の区分所有者集会において、区分所有者及び議決権の過半数により建物の区分所有等に関する法律(以下、単に法という)上の管理者に選任されたと主張し、これを争う右建物の分譲業者で現に右建物の管理の業務に当たっているYに対し、管理者たる地位にあることの確認を求める訴えを...
《解 説》
一 XYは、土地賃貸借契約を結んでいたが、Yは、建物新築工事を開始して、地下室を作るとして、Xの承諾を得ることなく土地のほぼ全域を深さ二メートル以上まで掘り下げたため、湧水を生じたほか、近隣の土地に亀裂が入り、家が傾く等の被害が発生した。その上、これを埋戻しても地盤軟弱化のため...
《解 説》
一 Xは、Yらの依頼を受けYら間の不動産売買の仲介をして右売買を成立させたと主張して、約定報酬金の残金の支払を求めた。
これに対し、Yらは、①Yら間の不動産売買がXの仲介によるものではない、②Xは宅地建物取引業者としての免許を受けていないのに業として本件契約を仲介したものであ...
《解 説》
親族間の紛争のようであるが、本件紛争の全体像は、判決からは必ずしも詳らかでない。本件の争い自体は次のようなものである。原告の先代が建物所有目的で賃借していた土地の一部を、被告が地主から買い受けた。ところが、その土地の中に建築基準法四二条二項の道路に指定されている部分が含まれてい...
《解 説》
Xは、協同組合Y1を債権者、子Aを主債務者とする公正証書上、連帯保証人とされた者であるが、右Y1、公正証書作成に関しXの代理人となった司法書士Y2、公正証書を作成した公証人B(国Y3)において、Xの真意を確認すべき義務を怠り、また、その債務の内容とされる準消費貸借契約には、利息...
《解 説》
原判決は本誌八二七号九一頁に掲載されており、本控訴審判決はこれをほぼ全面的に引用して控訴を棄却したものである。
事案は、平成二年六月一七日、上野公園水上音楽堂で「今こそ安保をなくそう六・一七集会」と題する集会の開始前、弁護士である原告(被控訴人)が警察官による職務質問や所持品...
《解 説》
Xは、大手の証券会社Y1の支店従業員Aから支店次長Y2が本州製糸株の仕手戦をしているBと連絡をとっており、情報が入るから必ずもうかると言われ、Y1との間に信用取引口座を設定していなかったため、平成二年八月三一日、他の中小証券会社のC、Dを通じて本州製糸株七〇〇〇株を買い受けた。...
《解 説》
一 Xは、往年の二枚目スターとして知られる俳優Uの妻であったが、Uとの別居及び離婚、これに伴うUの長男で俳優のKとの確執、Uとの離婚の前後を通じての大手紡績会社社長Aとの交際等をめぐって、芸能週刊誌、テレビのワイドショーなどにより多くの報道がされるに至った。このようななかで、い...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年一二月、スナックで酒を飲んだ後、運転代行業者に業務用として使用していた会社所有の自動車の運転を依頼し、自ら助手席に乗車して帰宅中、交差点での衝突事故に会い、右眼球破裂等の傷害を負って失明するに至った。
そこで、Xは、会社所有の右自動車について自賠責保険契約...
《解 説》
亡Aは、胃潰瘍と診断され、Y1が経営する病院に入院し、消化器外科医であるY2の執刀のもとに胃切除術を受けたが、その直後に脳神経障害が発生して植物人間となり、約一年二か月後に死亡した。Aの家族Xら三名は、Aの障害の発生及び死亡は、右手術時の麻酔が不適切であったために発生したと主張...
《解 説》
Aは昭和四三年二月、子のYに不動産五筆を贈与し、同六三年四月、死亡した。Yの兄弟のXら五名は、同年一〇月、遺留分減殺の調停を申し立てたが、不調となったので、Yに対し、不動産六筆について各一二分の一の共有持分権を有することの確認と更正登記手続を求めた。Yは、内一筆についてAが生前...
《解 説》
X男とY女は昭和五八年一〇月に結婚してXの両親と同居し、長女と長男をもうけた。Yは昭和六三年夏ころエホバの証人の信者との聖書研究会を始め、平成二年夏ころから集会に参加してその信者となった。Yは同三年四月、Xの父Aから行く先を聞かれて信仰を家族に知られるようになり、それ以来、Yと...
《解 説》
本件は、債務者会社の筆頭株主である債権者が、商法二八〇条の一〇の株主の新株発行差止請求権を被保全権利として、債務者の第三者割当てによる新株発行について、①「著シク不公正ナル方法」による新株発行であり、また、②新株の発行価額が「特ニ有利ナル価額」であるのに商法二八〇条の二の株主総...
《解 説》
一 X1は、平成五年一月一日、夫であるX2所有の自家用小型乗用車を運転して、岐阜県大垣市内の道路上を走行中、ハンドル操作を誤り、右自動車を道路側の自動販売機に衝突する事故を起こした。
X1は、当時妊娠中であり、翌二日、帝王切開により男児Aを出産したが、翌三日死亡したため、X1...
《解 説》
一 Xは、「氣功術」という商標権を有している(平成三年改正前の商品区分二六類、指定商品雑誌、新聞)。
Yは、「気功術実践講座」と称する通信販売講座を行い、右通信販売講座において、申込者に対し六冊のテキスト教材を販売していた。右テキスト教材の表紙には、「気功術」、「実践講座」の...
《解 説》
本件は、Yが自宅において、販売店Aから袋帯ほか一点を三〇万円で購入するとともに、信販会社Xとその代金について立替払契約を締結したものの、その直後に、右代金を支払えないとして、Aに売買契約を解消する旨の意思を口頭で伝えたが、その約二〇日後にXからAに右商品代金が支払われ、Xから割...
《解 説》
Xは、Yをフランチャイザーとする学習塾加盟契約自体が不法行為であると主張してYに対し三七〇万円の損害賠償請求の訴えを松山地裁に提起したところ、Yは、右加盟店契約において、Yの本店所在地を管轄する広島地裁を専属的合意管轄裁判所とする旨の合意があると主張し、広島地裁への移送を申し立...
《解 説》
一 本件は、X(原告、被控訴人)が、同人のY(被告、控訴人)に対する連帯保証債務履行請求権につき、既に確定した給付判決を得ていたが、消滅時効中断のため再度、右確定判決と同一内容の給付を求め、さらに、予備的に、右確定判決で認容されたのと同一の債務についてその存在の確認を求めた事案...
《解 説》
一 妻である債権者は、夫であり地方公務員である債務者に対して、離婚訴訟を提起し、それに付帯して財産分与等を求めているが、離婚訴訟の係属中に、離婚に伴う財産分与請求権の内金を請求債権として、退職金から法定控除額を控除した残額の四分の一につき、仮差押決定を得た。さらに、債権者は、右...
《解 説》
一 本判決は、月刊誌の記事について、取材が不十分であったとして、五〇〇万円の損害賠償と当該出版物への謝罪広告の掲載を命じたものであるが、損害賠償額がメディアに対するものとしては高額であること、自社の媒体に謝罪広告を掲載することを命ずる場合に、広告の趣旨のみを示し、その他の細目は...