最も長い歴史をもつ判例実務誌
好意で預った近所の幼児が溜池に落ちて水死した事故につき、右幼児を預った近所の夫婦の監護に過失があったとして損害賠償責任が認められた事例
訴えの利益を欠くという理由で請求を棄却した第一審判決を取り消す場合であっても控訴審が事件を第一審裁判所に差し戻すことなく自ら直接右請求の当否について判断したことが違法とするにはあたらないとされた事例
退任取締役に贈呈する退職慰労金の額等の決定を取締役会に一任する株主総会の決議及び右の決定を更に取締役会長等に一任する取締役会の決議が無効とはいえないとされた事例
認可された更生計画において債務の一部免除及び弁済期の猶予が定められ複数の更生債権について一括して免除額等が表示されている場合と更改の成否
1 区分所有建物の共用部分に附合した設備に対する第三者からの撤去請求につき右建物の管理組合が被告適格を有しないとされた事例
2 区分所有建物の管理組合につき民法44条1項の規定の準用が否定された事例
刑事裁判で犯人と断定しうる立証がないとの理由により無罪になった者の国家賠償請求が、検察官の公訴提起等に違法はなく、かつ、原告が無実であることの証明もないとして棄却された事例
弁済により根抵当権の被担保債権が消滅したとしてなされた根抵当権設定登記の抹消登記請求を拒否した事案につき、右拒否に理由があり不当抗争と認めなかった事例
取り壊された建物の朽廃すべかりし時期が将来の時点で確定しうるからその時点の到来をもって土地賃貸借が終了するとして、右時点の到来とともに建物を収去して土地を明渡すべき旨を命じた事例
裁判所による嘱託登記事件の登記権利者が嘱託裁判所の使者として登記嘱託書類を登記所に提出すると同時に、これに連続して自己を登記義務者とする登記申請をした場合に、右登記申請書に登記義務者の権利に関する登記済証が添付されていなくとも、いわゆる連件処理の取扱いにより右登記済証の提出が補正されたとして適法な登記申請と認めた事例
分割前の遺産である土地上に相続人の1人が建物を建築所有して右土地を占有している場合、他の相続人は右建物所有者に対しその建物の収去を請求することができるか(消極)
多額の債務を負担していた夫が離婚に際し妻に対して所有土地の3分の1以上を分与したことが、不相当に過大で財産分与に仮託した不当な財産の処分であるとは認められず詐害行為にあたらないとされた事例
留置人名簿は警察署長が自己の職務として被疑者の留置を適正に行うために作成する文書であって民訴法312条3号前段、後段の文書にあたらないとされた事例
現行犯逮捕の際の警察官による傷害を理由とする国家賠償請求事件の原告が右傷害及びその程度立証のためにしたいわゆる被疑者写真(右逮捕直後に警察官が原告の顔面を撮影した写真)の原板についての検証物提示命令の申立が却下された事例
交通(人身)事故で損害賠償義務のあることを承認するが、その額については後日症状が固定した段階で話合う旨の表明は、時効中断の承認にあたり、その後における消滅時効の援用は信義則上許されないとした事例
不動産引渡命令に対し執行抗告の申立をした短期賃借権者が差押えの効力発生前から権原により不動産を占有している者でないとされた事例
競売不動産の所在位置を誤り、別個の土地の現況を前提してされた評価に基づく最低売却価額の決定に重大な誤りがあるとして、売却不許可とされた事例
1 建築基準法48条1項ただし書による許可の処分性(積極)
2 建築物の完成後における当該建築物についての建築基準法6条による確認及びそれに先立つ同法48条1項ただし書による許可の取消を求める訴の利益(消極)
1 国選弁護人に対する報酬の決定は刑訴法38条2項によってなされるがその本質は民事の非訟事件の決定と同じで裁判所の決定で決まるものである。それに対する不服申立は刑訴法419条でなすべきものであり民事訴訟で争うべきものではない。対審構造の民事訴訟で決定しなくても憲法に違反するものではない
2 国選弁護人の報酬が私選弁護の場合の基準の2分の1であるべきだという主張は採用できない
投票用紙が注文した枚数より83枚多かったこと、開票事務従事者が開票事務所から廊下や休憩室に入ったり、開票事務従事者以外の者が開票所を覗いたり、開票室の電灯の一部が約5秒間消えたり、開票の審査係が点検係の前へ来てその事務を手伝ったことがある等開票事務の進行上些か不行届、不適切さはあったが著しく不公正があって、選挙の結果に影響があったとは認められず、選挙無効の訴が認められなかった事例
建築確認申請について適合審査終了後も行政庁が行政指導などを理由に確認処分を留保したことが違法とされ損害賠償の支払が命ぜられた事例
廃棄物の処理及び清掃に関する法律9条所定の許可は羈束裁量行為であって自由裁量行為ではないことを理由に同条に基づく清掃業者の許可申請を却下した処分を取り消した事例
退職金に関する労働協約の失効後、右労働協約の内容が個々の労働契約の内容になっているとして、右失効した労働協約と同一内容の退職金を支給すべきであるとされた事例
下顎智歯の拙劣な抜歯手術により、他病院での下顎骨骨折部固定手術等の後、頚椎不安定症を後遺としたとの主張を排斥し、当初の抜歯手術後患者の愁訴を放置等した過失を理由に、精神的苦痛に対する賠償を肯定した事例
患者が脳内出血により院内で倒れた後死亡するに至った場合につき、入院後において診察も適切な指示もしなかった医師の過失を肯定し、同医師及び院長に対し賠償責任を肯定した事例
胃癌の疑いを抱かず胃潰瘍としての治療を継続の後患者が死亡するに至った場合において、診療関与医につき債務の不履行を認めたものの、右死亡との間の因果関係を否定し、死期を早められたことによる慰藉料を肯定した事例
交通事故被害者が、右下腿骨複雑骨折等の傷害を受け、これに対する不適切な診療の結果、右大腿切断に至った場合につき、運行供用者ら及び医療機関との間に共同不法行為の関係を認め、1の損害に対する寄与度に応じた一部を連帯とする責任を肯定した事例
交通事故により両眼失明の後遺障害を負ったとする被害者がその妻とともに、生命保険会社及び損害保険会社に対し、各種保険契約(傷害保険、災害保障特約付生命保険、自動車搭乗者傷害保険、自賠責保険)に基づく保険金の支払を、道路管理者である地方公共団体に対し、国賠法2条に基づく損害賠償金の支払を求めた事案につき、右事故は、被害者と妻が故意に惹き起こしたものであるとして、両名の請求を全面的に排斥した事例
1 商標登録出願人の住所に関する手続補正書に記載された事件表示の誤記は、法によって要求される本質的要件にかかわるような、治癒できない瑕疵とはいえないとして、その補正を命ずることなく、右手続補正書に対してした不受理処分を取消した事例
2 右手続補正書を、提出された後2年余放置しながら、これを適式なものでないとして、補正書の提出がないことを理由にした出願手続無効処分は、重大かつ明白な瑕疵が存するから無効である。
受像機に映し出されるインベーダーを主体とする各種影像とゲームの進行に応じたこれら影像の変化の態様が、原告商品の出所表示の機能を備え、いわゆる営業表示として周知となったとし、右影像とその変化の態様と同一または類似の各種影像とその変化の態様を受像機に映し出す被告らの商品の製造販売等の行為が不正競争防止法上の混同行為に当たるとして製造許諾料相当の損害賠償請求が認容された事例
債権者が製造・販売する玩具である超ミニカーの形態が不正競争防止法1条1項の商品表示に当たるとして、債務者の類似玩具の製造・販売差止の仮処分が立保証のもとに認容された事例
道交法違反等の被疑者を違法逮捕した警察官が右逮捕を正当化するため友人に偽証工作をしたとして東京都に対する損害賠償請求が認容された事例
万人共有の財産である文字・記号の表出に不可欠な書体は、その限度で排他的権利の対象とすることは許されず、本来的に実用的機能を期待された創作の結果であるタイプフェイスは、一品製作的な著作権法上の美術の範囲には属さないとして、その著作物性を否定した原審の判断を維持した事例