最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 町長及び収入役が違法に町の土地買収資金の借入れをしてその利息を支払ったという住民訴訟において、右利息の支払による町の損害を否定した事例
2 上級審の裁判の拘束力の範囲
1 法人税法違反で無罪となった者が国に強制調査、逮捕、勾留、告発、起訴、検事控訴、公訴追行が違法であったとして求めた損害賠償請求が否定された事例
2 国税局長らが記者の質問に応じ、法人税法違反の嫌疑での告発予定について公表したことが名誉毀損に当たらないとされた事例
納税者が租税特別措置法26条1項の規定により事業所得の金額を計算し確定申告をした場合と国税通則法23条1項1号による更正の請求の許否
別居期間が30年に及びその間に未成熟の子がない夫婦につき、有責配偶者からの離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情があるとはいえないとされた事例
1 民訴法312条本文の所持者には地方公共団体の機関も含む
2 行政訴訟において民訴法312条2号所定の引渡請求権と閲覧請求権は公法上の請求権を含まない
墓地の設置予定地の付近住民は、墓地、埋葬等に関する法律10条1項に基づく墓地の経営許可処分の取消しを求める訴えの原告適格を有しないとした事例
県が旧国鉄職員のみを対象として実施した採用試験につき、これが憲法14条等に違反する違法なものであるとして、県知事個人に対しその費用の内金10万円の損害賠償を求めた住民訴訟を不適法な訴であるとの理由で却下した事例
週休日が固定され、その変更を行わない慣行が確立している職場において、週休予定者の中から代替勤務者を確保する可能性を検討しないまま、最低配置人員を欠くことを理由としてされた時季変更権の行使が、適法とされた事例
1 取引の終了により根抵当権によって担保すべき元本が確定したとの主張が認められなかった事例
2 訴訟の提起が不法行為を構成しないとされた事例
リース契約が実質上貸金債権の債権者交替による更改であって、旧債務は消滅し、新債務は旧債務の元本及びこれに対する利息制限法限度内の利息であるとされた事例
ファイナンス・リース契約において、リース会社がリース物件の瑕疵について責任を負わない旨の免責特約は瑕疵の修補が全く期待できない場合は信義則違反として無効である旨のユーザーの主張が排斥された事例
クレジットを利用して締結した商品の売買契約における買主の商品引渡不能による売買契約解除の抗弁をもって信販会社に対抗することができないとされた事例
いわゆる銀河計画グループに属する豊田ゴルフクラブの会員権売買名下に金員を騙取したものとして、関連会社の営業部部長席及び外務員の不法行為責任を認めた事例
1 遺骸・焼骨の所有権は喪主が当然に承継する
2 祭祀主宰者は関係当事者の合意によって定められる
3 姻族関係終了の意思表示によって当然に祭祀主宰者の地位を喪失するものではない
4 祭祀主宰者の地位確認を求める訴えは適法である
デモ行進中の日雇労働者の警戒に当たっていた県警機動隊員の職務行為が、警戒に必要かつ相当な限度を超えた実力の行使であるとして、県に国家賠償法1条1項の賠償責任を認めた例
建設大臣が管理する1級河川(鶴見川)の河川敷の構造に瑕疵があるとして、4歳の男児の転落溺死事故につき、国賠法上の損害賠償責任を認めた事例
出産時の会陰裂傷に対して三度の縫合手術が行われたものの同部創傷の治癒不全等を後遺とした結果につき、患者の体質及びその放置等を理由に、診療債務の不履行がないとされた事例
エックス線写真についての読影の誤りから、胃癌を慢性胃炎等と診断したため、他病院での手術不能の結果、患者が全身衰弱で死亡するに至ったとし、関与医師に過失を認めたが、死亡との間の相当因果関係はないとし、延命利益の喪失につき慰藉料を肯定した事例
先行車両を追い越そうとしてセンターラインを超えて緊急走行中のパトカーと対向車との正面衝突事故につき、パトカーに自賠法3条但書の免責を認めた事例
新車購入30分後に追突された被害車両について、新車との買替を前提とする車両損害の主張を認めず、その車両損害額は、事故前の被害車両の価格から事故後未修理状態の同価格を控除した額とするのが相当であるとした事例
保険約款上被保険者死亡の場合の保険金受取人が指定されていないときは「法定相続人」が受取人となるとされているときは、被保険者の死亡の時点における法定相続人に均等に帰属させる趣旨であるとした事例
被告が電子楽器に使用している商標を電子楽器の宣伝広告及び販売促進用の物品であるTシャツ等に附して顧客に無償で配付する行為は、Tシャツ等を商品とする商標の使用にはあたらないとした事例
何人にも生命、身体、財産等を侵されることなく平穏な日常生活を営む人格権があり、この権利が受忍限度を越えて違法に侵害されたり、又は侵害される恐れがある場合には、その被害者は、加害者の当該行為が外形的には権利行使の範囲内のものであっても、加害者に対し、その行為の差し止め等を請求することができる。とりわけ、当該侵害行為の差し止め等が緊急を必要とするような場合には、仮処分によってその目的を達成することができるとされた事例
1 期間入札において複数の最高価入札人のうち1人のみが開札期日に出頭し更に同一価額で入札した場合には、当該入札人を最高価買受申出人と定めるべきである
2 執行官による最高価買受申出人の決定に法令の解釈上明白な誤りがある場合に他の買受申出人に対し売却許可決定をすべきであるとされた事例
3 不動産売却不許可決定を受けた者以外の者が執行抗告の利益を有するとされた事例
1 売買基本契約書・注文書がないのに他の文書を総合すれば、民事執行法193条1項にいう「担保権の存在を証する文書」の提出があるとされた事例
2 抗告審において原審の却下決定を取消した場合の措置
殺人目的で、一酸化炭素を含まない都市ガス(天然ガス)を室内に漏出させた行為につき、不能犯ではなく、殺人罪の実行行為性があるとした事例
荷台に積載した砕石から多量の水を路上に滴下させた行為が、道路交通法71条4号所定の運転者の遵守事項に違反するとされた事例
被告人と犯行を結びつける直接証拠のない轢逃げ事件につき、加害車両の特定上決定的に重要な現場遺留塗膜片の鑑定に、鑑定資料のすりかえ・混同の疑いが解消されていないとして、審理不尽・事実誤認を理由に有罪の原判決を破棄差戻した事例